「えんとつ町のプペル」11点 – 灰文書(批評) –

映画



【 あまりに難しい、次の一手 】

 映画「えんとつ町のプペル」は元芸人が手掛けたと考えればよく出来ている方だと思うが、「打倒ウォルト・ディズニー」を掲げるクリエイター渾身の一作だと考えるとあまりに出来が悪い。
絵本をプロクリエイターと共同で完成させたりディズニーの名を何度も出す所を見ても彼は「自分デザインのアニメブランドを作り、実際の製作は雇ったクリエイター集団に全面的に任せる」というディズニーと同じ仕組みの製作会社を作ろうとしていると思われるが、さすがにこのお粗末な映画一本で人は集まらないだろう。
世間に「西野のアニメは本当にすごい」と認知させるにはまともなアニメ映画をあと二、三本は出さなければならないと思うが西野主体で製作してもそんな事は出来ない。世間がアニメ映画に何を求めているか熟知していて、まともな脚本の組めるプロ作家を雇い入れて次作には臨むべきだが、そうして出来上がった作品は最早「西野のアニメ」とは呼べないだろう。難しい状況である。
世間が叩くとか満足度がどう、賞がどうとか下らない言い訳や論点ずらしはやめてアンチの声が掻き消える程の、本気でアニメを志すプロがどうか協力させてくれと願い出る程の本質的に優れた作品を、自分のレッテルを保ったままどう作り出すかという課題に彼はさっさと取り組むべきなのだ。

私が今後彼を見続けて得たい知見は「凡才は努力でカリスマクリエイターになり得るのか」では無く「能力のないクリエイターでも金の力で一大アニメブランドを作れるのか」という事である。彼の「寝ないし、食べない、でも人の何倍も努力出来る」という能力は私からすれば鯨の潜水や爬虫類の小食と同質に見えるが、それでも追っていて得る物は何がしかきっとあるだろう。

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