【 03.リゼ・ヘルエスタ:84点 】(前編) – VTuberレビュー(にじさんじ) –

VTuber



【 YouTubeチャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmgWMQkenFc72QnYkdxdoKA
【 所属:にじさんじ:さんばか 】
【 活動開始:2019年3月23日 】
【 チャンネル登録者数:63.6万人 】
【 直近再生回数(平均):10.88万回 】

【①爽やかでナチュラルな声優声。特徴的だがいつまででも聞いていられる声】
【➁「皇女」という王道設定と、それに見合う美麗なモデル】
【③華とカリスマを保ちつつ思慮深さと謙虚さ、礼儀正しさも兼ね備えた人格者】
【④①~③が高次元でマッチした業界最高クラスのライバーデザイン。主人公属性のV】
【⑤配信時は視聴者にも強く気遣い、礼儀正しく大人として振る舞う。チャンネル内の治安がいい】
【⑥適切な仲間を伴うと手がつけられない程面白くなる】
【⑦適切に追い詰めると手がつけられない程面白くなる】

【①あらゆる面で恵まれているが視野が狭く目線も低く、守りの意識で活動する】
【➁先輩ライバーと一緒だといい子ちゃんに徹する以外出来ず、無味無臭のVになる】
【③狙ったり計算したり作ったりすると一気にサブくなり、全く面白くない。これを全部やっている初期は今見ると地獄】

批評(前)

✔ リゼ・ヘルエスタは2019年初頭にデビューしたにじさんじのライバー。同期にはアンジュ・カトリーナ戌亥とこがいて、三人でさんばかというユニットを組んでいる。設定は「ヘルエスタ王国の第二皇女」で、にじさんじ内に散見されるファンタジー系RPGをモチーフにしたようなライバー達の魁的存在。普段の配信はゲーム実況が多い。

いやはやにじさんじは本当に恐ろしい。月ノの陰に隠れて無難に優等生をやっているライバーだという認識で軽く動画を漁ってみたらこいつはとんでもない傑物である。こんなのが中堅所で大人しくしている事務所に個人勢はもうどうやっても太刀打ち出来ないだろう。にじさんじは事務所内の仕組み作りでまだもたついている節があるが、それが完了したらV界のバラエティ部門はにじさんじの物になる。次世代のスターもその次のスターも、代々この事務所が生み続ける事になるだろう。

このご時世どのVTuberもモデルのスペックだけは高いものだが、リゼの正統派なデザインはその中でもひと際目を引く。VTuberも今や飽和状態、違いを出さなければ埋もれてしまうので色物のようなVが増えるのは仕方のない事だが、ネタ的にオカマを出して白髪のおじさんを作り、荒れた飲み会の産物みたいな顔面落書き男の次にコアラと柴犬を出してからの皇女、というのは事務所からの強い期待と特別扱いを感じる。花澤香菜から少し甘さを抜いたような破格の美声と真っ当な人格、月ノを念頭に置いた確固たる活動意志を目の当たりにしたにじさんじの採用担当とライバーデザイナーが、即断で彼女に下駄を履かせる事を決意した様子は想像に難くない。

リゼを「皇女」としてデビューさせた後にファンタジー系RPGのパーティにいそうなメンバーが続々と作られていった事はとても示唆的だ。RPGで「第二皇女」がヒロインだった場合大抵そのキャラは本家から冷遇されて自己評価が低く、闇やトラウマを抱えている。旅を進めるうちに様々な仲間達と出会い過去の因縁を乗り越え、最終的には王家の第一子を差し置いて王座に就く、というのがテンプレ的なストーリーだ。にじさんじのライバーデザイナーがリゼを見て「今は弱いがきっと成長していつかV界のトップに立つ器だ。その為の仲間になるライバーもたくさん用意しよう」と当初考えたのだとしたら総毛立つ。前から分かっていた事だがにじさんじのライバーデザイナーは中の人を見て適切なモデルを被せる能力がチートじみて高い。

リゼの中の人がにじさんじに面接を受けに行ったのと同時に以前から親交のあったアンジュの中の人も、恐らく付き添うような形で面接を受けている。アンジュを好きな私としてはこんな事は言いたくないのだが、アンジュはリゼの仲間としてついでに採用された線が濃厚だ。ある意味声優声ではあるものの咀嚼が難しくキワモノ過ぎるキャラクターは単体で採用するにはあまりにもリスキーで、被らされたモデルが彼女に全く合っていない事や「錬金術師」というRPGのパーティの脇にいそうな設定を与えられている事から見てもにじさんじは「リゼのお供になるのなら」ぐらいの軽い気持ちでアンジュというライバーを作ったのだろう。その判断はやはり正しく、リゼはアンジュを伴った時飛躍的に面白くなる。アンジュ自体も能力が高く今やリゼ以上に再生回数を稼ぐライバーになっているが、これはにじさんじとしては嬉しい誤算だっただろう。

リゼは一人での配信時はゲーム実況をメインに活動していて、相方のアンジュ同様視聴者に対してまで気遣いと礼儀を忘れないというライバーとしてはかなり珍しい姿勢を貫いている。常識と教養も十二分に備えており、そのへんの中小企業ならこの喋り方と性格だけで採用を出してしまうレベルである。ちゃんとしていると大抵面白味に欠ける物だがさんばかを始めとした噛み合わせのいいライバーとタッグを組むと飛躍的に面白くなる。特にアンジュやフレンのようなどれだけ殴ってもびくともしないようなライバーと組んで好き勝手に暴れている時は、個人勢を推している私としては「もうちょっと勘弁して欲しい」程に強い。これは単体で乱舞している月ノや調子のいい時のぽこピーを引き合いに出しても全く遜色ないレベルだろう。

2:00~ さんばかが一緒だと面白過ぎるリゼ。

31:00~ フレンと一緒だと振り切れるリゼ。

✔ 月ノや戌亥と二人きりになって追い詰められている時やホラゲでテンパっている時も相当面白いが、この二つの状況に共通しているのは「リゼが気遣いや萎縮から解放されている」という事だろう。礼儀正しく思慮深く、共演しているVや視聴者にまで気遣いを欠かさないというのは美徳だが面白さの点で言えばマイナスになる事が多い。アンジュやフレンを殴る事に夢中になっている間は視聴者への気遣いを忘れ、追い詰められている時は先輩を気にして遠慮なんかしていられなくなる。自制心という「リミッター」が条件付きで外れた時最強形態が解放される、というのはいかにもファンタジー系RPGの主人公が持っていそうな中二特性だが、それ以上に「皇女」が「錬金術師」や「女騎士」を従えた時強くなる、というのはあまりにも出来過ぎではないだろうか。にじさんじのライバーデザイナーは未来予見型の超能力者か何かなのか。

リゼの一番面白い形が適切な仲間を従えて暴れている時である以上彼女のVTuberとしての価値はそのフォーマットでどれだけ多くの仕事をこなしたかにかかってくる。リゼの場合先輩といる時や視聴者の前に単体で出た時に気遣いせずに自由に振る舞う、というのは性格上絶対に無理なので「いかに気遣いを忘れられる環境を作り、少しでも長くそこに身を置き続けるか」というのが今後の課題と言えるだろう。



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