✔ 宝鐘のデビュー以来約三年、一向に距離の縮まらない大空と宝鐘の関係性の是非を問うコラボ配信。この二人のカップリングはババドナ(ババアの宝鐘・ドナルドダックみたいな声の大空)と呼ばれているがどちらとも悪口なのはさすがに草、といったところだ。今回は大空が宝鐘の家に出向き、オフコラボの形をとって配信されている。宝鐘は毎配信40万、大空は20万以上も再生回数を稼ぐのに二人で一緒に配信をすると宝鐘の通常回と同じぐらいしか再生されないのは興味深い。宝鐘と大空を日常的に視聴しているリスナーがほぼ被っていて、「毎配信の再生回数40万強」という数字が今のホロライブの箱としての限界値という事が窺い知れる。
潤沢にして良質な「てぇてぇ」をぶん回す事で業界のトップに立ったホロライブの中にも、やはり人と人の相性の良し悪し、軋轢のような物はある。僭越ながらホロライブ初心者の私が見たところ大空と宝鐘はホロライブ内に存在するざっくりとした二つの派閥のトップ同士のように見受けられる。一般的な社会人から見ても常識的だったり、「まともな人間」と形容出来る大神だとか白銀、姫森のような「常識人組」を取り纏める大空と、ともすればヤンキーかと思う程にDQN色が強く、センシティブネタやド突き合いを好み度々非常識な側面が垣間見える紫咲や雪花、沙花叉等の「DQN組」の稼ぎ頭宝鐘、といった具合だ。ホロライブを知らない人の為に言っておくとこの二つの派閥は仲が悪いとか関係性が薄いだとかそういう事は無い。ホロメン同士は例え距離が遠くても皆兄弟姉妹、一つの家族だ。にじさんじ等と違って血の繋がりにも似た関係性がそこにはある。
まともな大空と崩れた宝鐘という相反する二人が「ホロライブは出来る限り皆で仲良くし、協力し合ってやって行かなければダメだ」という共通した意識を持っているのは面白い。一つの事務所内にあるタイプの違う二つの派閥の、どちら共がスターライバーである二人のリーダーが同じ動きをするのだから当然ホロライブ自体がそういった体質の箱になる。今のホロライブに気持ちのいい空気が充満していてすこぶる好調なのは主にこの二人の功績と見て間違いないだろう。
同じ考えを持つこの二人は毛色の違いを乗り越えお互いの距離を近づけようと当然何度も試みているのだが、「仲良くしようゼ♪」と肩を組みに行く大空に対して宝鐘がカウンター気味に乳を鷲掴みに行き、面食らった大空が慌てて飛び退き「何かダメだった?」と呆気にとられる宝鐘、みたいな噛み合わないコミュニケーションをこの三年延々繰り返していて、面白い程上手くいかない。三年頑張っても進展がない物というのはどんなに頑張っても成功しない。皆とっくに勘付いている事だと思うがこの二人の距離が縮まる事など永遠にないだろう。
✔ まともな大人なら大体分かる事だと思うが、二人が噛み合わない事に関して責任は宝鐘にある。いい歳をしたまともな大人なら誰かとコミュニケーションを取る時は相手との共通点やどちら共が知っている話題、ノリの合う部分を探るだとかしてお互いの中間地点で絡もうとするものだが「まともな大人」ではない宝鐘にはそれが出来ない。
宝鐘の人とのコミュニケーションは先ず「相手が強いか弱いか」を判断する所からだ。宝鐘にとっての「強い」は「怒りっぽい、荒っぽい、威圧的、自己中心的、常識に捉われない、向こう気が強い、生意気」等で「弱い」は「自信が無くておどおどしている」「意志が弱い」といった本来の意味に加えて「優しい、物腰が柔らかい、利他的、常識的、自制心が強い、人を立てるのが上手い、柔軟に人に合わせる能力に優れる」等が入る。そういった基準に当てはめて人を分類した後「強い」者には下手に出て100%合わせに行き(=媚びる)、「弱い」者には強く出て思い通りに動くまで攻撃を加え100%自分の方に寄せる(=マウンティング・モラハラ・パワハラ・セクハラ・粘着)、それが宝鐘のコミュニケーションの基本だ。それはこれまでの宝鐘の他Vとのコラボ配信でいくらでも確認出来る。
✔ 1:31:26~ 文化系でクリーンなホロメンの代表格角巻わためにセンシティブノリを強要する宝鐘。普段の角巻を知った上で観ると無理して合わせに行っている感が強く非常にキツい。宝鐘の物差しでは物腰柔らかで優しい角巻は間違いなく「弱い」側で、自分が角巻に寄せに行く事は一切考えていない。この画面に映っているのは「絡み方が分からない相手にネチネチとセクハラで迫る、何百回見たか分からないワンパターンな宝鐘」と「ブランディングと長所、美点を全部壊されて価値を失ったマイナーライバー」の二人だけだ。つまり宝鐘の一方的で通り一辺倒なムーブがコラボ相手の良さを殺し配信自体の価値を損なっている。
✔ 07:23~ ダジャレを強要してスベる様を見てゲラゲラ笑う原始的な素人の笑い。一番の特技が「先輩を立てる事」であり優しく礼儀正しい、常識人な博衣は宝鐘にとってイビりの対象でしかない。これをやらなかったとしても博衣に面白い事はやはり出来ないのだが、だからと言って宝鐘に地方の老害オヤジみたいなムーブで人を虐める権利はない。これに限らずシナジーのない、それも「弱い」相手と絡んでいる時の宝鐘は非常識な上に低次元で見苦しく、気持ちが悪くて面白くない。
✔ 56:27~ 宝鐘の非常識な振る舞いは外部のライバーに対しても行われる。動画のコラボ相手はにじさんじの竜胆尊だが、彼女はにじさんじ内で同僚からもリスナーからも非常に大事にされているライバーで、こういう扱いをしていい相手ではない。宝鐘は「物腰が柔らかくて怒るタイプじゃなさそうだ」という一点で竜胆を舐めて当たり屋を働いており、非常に気分が悪い。
にじさんじを箱推ししているリスナーからすれば「他所から来た下品で空気の読めない女が尊様相手にイキってる」という画にしかなっておらず、実際それ以外の何物でもないのだが、「こんなのがトップにいるホロライブってどんだけ程度が低いの?」という悪印象しか持ち得ない。自箱の内側で何をやっても許してくれる同僚相手に害悪ムーブを行うだけならまだしも外で箱自体の盛大なネガティブキャンペーンをして帰って来るのは非常にまずい。
✔ 宝鐘のこういった行動はVTuberという突飛でニッチな分野のタレントの物として見ても物凄く非常識で、日本のまともな府県だと郊外のDQNグループであっても嫌われて弾かれる類の物だ。三十路に入った大人の女がこれをやっていると考えると更にキツく、いよいよ笑えない。宝鐘の話を聴いていると宝鐘の実家は《東京から車で4時間半の場所》にあり、宝鐘の実父はエピソードトークの中でいつも完璧なイントネーションの関西弁を話しているのでこの実家が仮に東京から見て西方面にあるとして、宝鐘自身が「○○なんだワ」みたいな方言を度々漏らす事も加味すると宝鐘は愛知の出身なのではないかと私は思っているのだが、だとすれば個人的にかなりショックだ。私は関西に長く住んだ経験があるのだが愛知県民というのは関西にもかなり多く移住してきていて、そこで出会う彼らは皆常時躁状態とでも形容したくなる程大きな声で非常によく喋るのだが毒や攻撃性のような物は無く、ムードメイカーとして愛される者がほとんどだ。その中にはもちろん宝鐘のように非常識で気分の悪い動きをする者はおらず、愛知というのは私の中で「まともな県民性をした県」という認識で堅かったのだ。
宝鐘のような形で原始的で非常識な方面に逸脱した人間は基本的に東京とその近郊からしか輩出されない。簡単に言うと「宝鐘のようなおかしい人間は東京のように土地ごとおかしい場所からしか生まれようがない」という事だが、こんなのが人間関係も豊かにのうのうと暮らせていた場所と、それを含む府県をまともな地域とは最早呼べない。それが愛知なのか中部の他の県なのか分からないが、どこだとしても日本に東京並みにおかしい場所があるというのは本当に嫌な話だ。
そんな日本人の平均を大きく割った行動ばかりとる宝鐘を、常識的なホロメンは皆度々疎ましく感じている。今回の大空とのコラボでも大空が度々「喋ってると何かが自分の中に溜まってくる」と言っているが大空より更に常識的で、頭脳明晰な上に顔までいい私にはそれが何なのかよく分かる。優しい大空をギリギリ「弱い」と判じて自分から合わせにいく事を全くしない失礼さ・ガサツさ・身勝手さを含めた非常識な言動を目の当たりにする度大空のようなまともな人間は「不安感」「不信感」「絡み辛さ」を覚え相手に対してフラストレーションを蓄積させていく。今回配信の中で大空の中に溜まっていた物は間違いなくそれだし、「そこはかとなく宝鐘に当たりが強い白銀」とか「ふとした弾みで宝鐘への攻撃が止まらなくなる不知火」、ついでに「宝鐘と絡む時のみ別人のようにノリが悪くなるにじさんじのアンジュ」の中にも同じ物が溜まっているのだ。角巻や博衣のような「自分に自信がない」「弱腰」とも言える程に柔らかい人間だとされるがままに甘んじて大人しく泣き寝入りを決めるのが基本だが大空や白銀や不知火、アンジュなどは「なんでまともにやってるこっちがおかしい奴にいいようにされなきゃなんねんだよ」という我や矜持があるタイプなので宝鐘と絡む度に確実に一定のイラ立ちを覚えて持ち帰っている。それは画面のこちら側にいる、少数派ではあるが彼女らと同じまともな感覚をした視聴者も同じ事だ。
ちなみにこの記事冒頭で挙げた「DQN組」に属するホロメン達は宝鐘の非常識な言動に対してストレスを感じない。それは彼女達の中の人がそもそもDQN寄りの人間だったか東京のような地域ごと民度が低い場所から出て来たか、若しくは若過ぎて常識と非常識の境が分かっていない等で宝鐘の逸脱した言動が気にならないせいで、その事は宝鐘とシナジーが強く上手く絡めているホロメンを一人一人洗っていけば確認出来る。「宝鐘とシナジーがあるかどうか」で「育ちがいいか悪いか」「クズかまともか」「人として信用に足る者かどうか」「文化レベルが高いか低いか」等が綺麗に分かれており、そのあまりの分かり易さにはいつも笑わせて貰っている。犬山が宝鐘を痛く気に入りその一挙手一投足をベタ褒めにしている切り抜きを見つけた時などは手を叩いて笑ったものだ。
大空と五分の関係である筈の大神に対しては常々下手に出て媚びる体勢で合わせに行く宝鐘だが、これは害悪行為をする共演者がいれば配信中であってもはっきりと口に出して叱り、決して迎合しない大神を宝鐘が「強い」と判断している為だ。じゃあ大空や白銀だって同じようにすればそもそも宝鐘の害悪行為に晒される恐れが無くなるじゃないか、という話なのだが「配信中に明確に怒る」「共演者に頑として迎合しない」というのはその配信を放送事故へと誘ってしまう恐れがあり、非常にリスクの高い行為と言える。大空や白銀等がそれをやらないのは配信者としてのプロ意識故なのだが、宝鐘は実質それを逆手に取って彼女達を攻撃している事になり、本当に質(タチ)が悪く、胸糞が悪い。この卑劣な行動パターンは「同僚の若手女子社員が仕事場から逃げられず、立場的に声を上げられない事を利用して法律スレスレのセクハラ行為を行う」という宝鐘自身の実父の物と共通している。
✔ ここまでを見ると「宝鐘は低民度なクズでホロライブの癌」みたいな印象になってしまうと思うが、実際そういう位置付けになってもおかしくない程に非常識な迷惑ムーブを繰り返す宝鐘は、デビュー以来「常識人組」を含むホロメンやリスナー達からホロライブに無くてはならない存在として随一に愛され、重宝されている。「非常識だし絡み辛いし、度々うっとうしいけどなくてはならない存在」という一見矛盾した評価を宝鐘が得ている理由は主に二つある。
《①.愛情》
✔ 宝鐘は過度に人好きで、可愛い女子が尚更好きだ。宝鐘のホロメンへの感情は友情というより恋愛のニュアンスを含んでいる事も多く、それは粘着質で生々しいセクハラムーブやコラボ時のサムネが常に恋愛仕立てである事にも表れているのだが、中でも紫咲や白銀、沙花叉に宝鐘が向けている恋愛感情は多分ガチだ。それ以外のホロメンに対して恋愛ノリを用いる時とは踏み込み方が段違いだし、本人がいない所で名前を出す時のリアルな温度感や他のホロメンのエピソードトークでこの三人と絡んでいるオフ時の宝鐘の様子からは「執着」「ガチ」「あわよくば」が溢れている。
言うまでもなくこれは常軌を逸している。いくらVとは言え百合絡みは基本ネタとして行われ、プライベートにも漏れ出すような形でガチの情念を燃やしているライバーなどそうそういない。私の知っている範囲では赤井に対するさくらみこやおかころ、にじさんじアンジュもガチだがやはり一番派手に女性Vへの恋愛感情を燃やしているのは宝鐘だろう。
この暴走気味の愛情は宝鐘的に「女性として魅力的」に映らないホロメンにも一定以上向けられていて、例えばホロメン達にお母さんムーブを発動する大神の包容力にデレたり「女として全く魅力的じゃない」と断じて罵り合ってきた天音に実は全幅の信頼を寄せている事だったり、大神は輩感満載の宝鐘を警戒していて壁を作っているし天音も宝鐘と絡む時は本来の自分をかなり曲げて頑張って合わせているのが見え見えだが「宝鐘は相性の良し悪しに関係無くホロメン全体の事を愛している」という事だけは確かだ。
そして特ににじさんじ界隈を重点的に見ているような視聴者には想像もつかない事だと思うが、あろう事か宝鐘はリスナーまでをも余りに強く愛している。基本が輩の宝鐘はリスナーに対してもベース上からオラついて接するのだがふとした瞬間に漏れてしまう依存とも取れる程に強い愛情は非常にリアルで、紛れもなく本物だ。
✔ 51:35~ コロナや声帯結節が重なってなかなか配信が出来なかった頃の雑談配信。普段と違い明らかに擦れている声と咳込む様子を心配したリスナー達から再三配信を切るよう諭されてもどうしても切りたがらない宝鐘。心からの「寂しいよキミたちぃー…」が、宝鐘のリスナーへの依存度を物語っている。普段は上からの態度で汚い事ばかりやっている癖にふとした瞬間にこういう態度を見せるのはとっても狡い。この後も配信を切らない為にのらりくらりと話題を繋げ、リスナー総出で叱られてもスパチャ読みまで強行しようとする配信意欲には素直に敬意を抱いてしまう。
✔ Vライバーがリスナーに対してこんなにもガードを下げて純度の高い愛情を持つというのは本当に稀だ。リスナーをむしろ敵と見做してプロレス(実際は只の暴言の吐き合い)の相手として利用する程度に留まるにじライバーは元よりリスナーに対して友好的な者の多いホロメンの中にも宝鐘のようなスタンスを取る者はそうそういない。
この点に関してもやはり宝鐘は常軌を逸している。Vライバーのリスナーは決して民度が高いとは言えない。顔の見えない文字だけの存在で押し並べて知能は低め、好意的な上位のファンでも必ず全員がサブ垢を持っていて指示に杞憂に後方腕組み、荒らしや炎上に晒されても数で不利ならだんまりを決め込んで決して助けてくれず、手のひら返しにも暇なく応援と迷惑行為の区別がついていない者も多数で実質ツイカスと同レベル……何だか書いていて自分の胸がどんどん痛くなってくるが、そんなリスナー達に好意的に接しているホロメンも、リスナーとの距離感を調整する事と自分の言動に細心の注意を払って配信の空気をクリーンに保つ事でこれを成し遂げる程度に留まっている。それと比べると宝鐘の純度100、距離感0のリスナーへの愛情はやはり異常だ。
そしてこの捨て身の愛情を振り回している時の宝鐘はいつも強烈に可愛い。上に挙げた動画の「切りたくないよ」の態度はこちらにベタ惚れしている付き合いたての彼女が夜な夜なかけてくる電話の切り際にとる態度そのもので、これには日頃宝鐘を疎ましく思っている私でも問答無用で可愛いと思わされてしまう。まともなホロメン達が宝鐘を「困った奴」と思いながらも決して嫌いになれないのは「こっちの事が好きみたいだから嫌うに嫌えない」という事以上にこういう宝鐘の可愛過ぎる一面とそれが生み出す求心力に抗えないからだろう。
✔ 30:17~ 大本命の白銀をやられて激昂する宝鐘。相撲に負けた時のフェフ姉さんと同じ声・同じキレ方。キレるポイントも温度感も、言葉選びも全部おかしいが白銀の事が本気で好きだという事だけは伝わって来るてぇてぇ一幕。「黄色い煙は有毒」という事も知らないAPEX初心者がスピットファイアをこの精度で扱うのは結構凄い。これもきっと愛のパワー。
✔ 3:20~ 同期で親友の潤羽るしあの引退を受けてコメントする宝鐘。普段と違い過ぎる温度、言葉に詰まる間隔、精一杯に振り絞って取り繕う大人の態度の一つ一つに「受け入れられない」が溢れている。デビュー以来重ねた潤羽との関係性とこの動画での様子を併せ見ると宝鐘がこの一件でどんなに胸を痛めたかは察するに余りあり、潤羽にも宝鐘にも特に思い入れのない私のような人間でも非常に胸が痛く、感情移入と同調を禁じ得ない。にじライバーや個人勢達が仲間との関係性にこの絆、この愛情の半分でも盛り込めていたら今のような体たらくは晒していないだろうと思う。やはりVタレントは仲間との関係性が一番重要だ。
《➁.多大な才能へのリスペクト》
✔ 宝鐘は月ノ美兎型の天才ライバーと言える。可もなく不可もないモデルを超過した濃過ぎるキャラに尽きないネタ、サブカル色の強力なセンスをよく回る頭で高回転に打ち出し、特に雑談配信で圧倒的な力を発揮するガワより中身、実力派で質実剛健なパワータイプのライバーだ。ホロライブには数的に宝鐘と肩を並べる兎田ぺこら、にじさんじには月ノを再起不能に追いやった壱百満天原というスターライバーがいるが、この二人は中の人と与えられたモデル・キャラ設定等が奇跡的なシンクロ率を叩いて「一体のキャラクターとしての完成度」で評価され人気を得ていて、戦略が共通していると言える。そしてこのタイプのライバーは往々にして技量の面に難点を抱える事が多い。
そんな卓越した配信技術で横綱相撲的に、極めて真っ当に結果を出していく宝鐘をホロメンは皆尊敬している。白銀や不知火のような宝鐘の絡み辛さに度々参っているような者でも宝鐘に関して口を開けば一番に出るのは「配信者として尊敬している」だ。ホロライブには「配信を頑張ってる奴が一番偉い」「配信が上手い奴が一番偉い」という前提的な共通意識が存在していて、手ぶらで臨む雑談配信で常々当たり前に何笑いも起こす宝鐘はやはりホロライブ内で特別視されている。得意としているセンシティブなネタや自分手前で乱暴な振る舞いはほとんど誰にとっても流用出来るような物ではなく配信スタイルを参考に出来るかと言えばそういう訳ではないのだが、その在り様が全ホロメンの指標になり刺激を与え、箱に活を入れ続けている事だけは間違いない。
✔ 2:15:06~ 山程見漁ったアニメのいずれかに出ていたであろう「強大な力を持ったが故に苦悩する孤独な少女」のキャラクターになぞらえた寸劇。足掛け10分この調子で喋り続けるから凄い。サブカル色の強力なボケを一方的にかまし続けるのは全盛期の月ノにさも似たりだが、デビューから3年は経とうかというお婆ちゃんライバーがこのテンションを貫けるのは驚異的だ。
✔ 37:25~ 平均年齢の低いV界隈では知っているだけでおばさん認定されてしまう「ミニモニテレフォン」から始まる宝鐘の独壇場。園児帽を被って幼児言葉で喋りつつ天然で懐メロを歌い、若い女子に対して「ブヒイィー!!」といななく(39:44~)というやりたい放題な狂気的逆凸配信。単体でここまでパワーの出せるライバーは他におらず、Vライバーの「タイマン最強」は現状宝鐘で間違いない。
✔ 主にこの二点から大空スバルもホロメンのご多分に漏れず、かねてより宝鐘の事は好きだ。宝鐘の好きな漫画作品の画像を見つけては謎に送り付ける事を日課にしているという、思春期の子供に好かれたくて距離を保ちつつ恐る恐る絡む父親みたいなムーブをかましたり「何とか名前だけでも」と無理矢理「マーちゃん」と呼ぶ許可を取り付けたり、いちいち本質を外した所にばかり手入れをしていてダサい事この上ないが、それでも宝鐘と何とか仲良くなりたいと奔走している様子には必死さが滲み出ているし、実際大空が宝鐘の名前を出したり直接絡んでいる時に宝鐘を嫌っている様子が見て取れた事は一度もない。
一方宝鐘は終始「スー君は何でマリンの事そんなに嫌なの?」といったスタンスで、「噛み合わない」という事は常々言っていても「虫が好かない」という趣旨の発言はした事がなく、やはり大空の事を嫌がっている様子はない。ババドナは「シナジーがない」「絡み辛い」というのがベースにあっても結成以来ずっと好き合ってはいるという変わり種のカップリングなのだ。その事実は今回の配信の終盤、ハグの件に端的に表れている。
※※※※※ 以下ネタバレを含みます ※※※※※
✔ 45:52~ 揉めていた二人がおもむろにハグで相性を確かめる展開に。大気中てぇてぇ濃度が限界値を突破しています。前半の放送事故一歩手前のやり取り、ひいては数年に渡る「相性が悪い」が特大のフリになっていて、和解する展開の爆発力が凄まじい事に。
✔ このハグの件は「表面的な部分ではとことん噛み合わない二人が表面ではなく身の部分でかち合った」結果「実はお互いを好き合っている気持ちがシンクロした」という奇跡的な上に感動的なワンシーンだ。Vの現環境最強の武器「てぇてぇ」もここまで高まると別次元の何かに見えてくる。大空と宝鐘はどちらも「てぇてぇ」を極めて上手く活用する上質なライバーだが、このハグの件は宝鐘がきっかけを作っていて、やっぱり宝鐘は持ってる物が違うなという感じだ。
今回のこの「ハグの件」を見てもVにとって「てぇてぇ」が最も重要な力である事に疑いの余地はないだろう。「反りが合わない者とは険悪にならない内に距離を取ってリスクのない範囲で協力関係・友好関係を維持すべし」という組織に身を置く者の鉄則をこの二人は真正面から破っている訳だが、それでも「てぇてぇ」が絡んだ事で負の行いが正の事象に転じたという点からも「てぇてぇ」の並々ならない可能性が感じられる。
ホロライブ以外で最近の私の、V関連のお気に入りのコンテンツは個人勢代表ぽこピーの「森羅万象借り物競争」だが、これとこの配信の面白さが仮に競っていたとしてもぽこピーは「森羅万象」の動画を仕上げるのに三名の人員を割いて数日を撮影に当て、三名共が遠方に泊まりがけでロケに出ていて多大な費用もかかっている。これに対して大空と宝鐘は当日に片方の家に集まり1時間と少しフリートークをしただけなので費用対効果が比べ物にならない。「てぇてぇ」という武器一つを使ったか使わなかったかのたった一点でここまでの差が出てしまうのだ。
この落差が象徴するようにホロライブ外のV達は皆「てぇてぇ」の持つ力を理解していなさ過ぎる。先達のにじライバー達はデビュー以来冷めたドライな関係性や攻撃的に罵り合う事を面白いと思い込む頭の悪過ぎる勘違いを決め込んでいて、結果箱内は冷め切りライバー同士の相乗効果は生まれず、配信時はトークのネタ切れに皆で苦しんでいる。ぽんぽこが先日のもちひよこ生誕祭で「あーん」を鼻で笑って袖にした事もこの配信を見ればどんなに間違った判断か分かるだろう。Vの最強の武器は現状人間同士の生のぶつかり合いによって生まれる人間ドラマ、感情の揺れ動きだ。これこそがホロライブを業界トップに導いた力だし、成功しているVに先々までの繁栄を、落ち窪んでいるVに起死回生のチャンスを与える奇跡の業だ。ホロライブ内にすらこの事に勘付いていない者がまだいるようでVタレというのはどいつもこいつも本当に不勉強で怠惰な奴らばかりなのだと思い知らされる。成功者というのはどんなに煌びやかで特別に見えても結局は運でその地位に就いているに過ぎない。ぽこピーの直近のボンクラ具合を見ていると本当にそう思う。
✔ 「Vにとっててぇてぇこそ最強の力」という私の見識を裏付けるように、最近のV関連のコンテンツで質のいい物はほぼほぼ「てぇてぇ」を上手く扱えた物ばかりだ。大空スバルと宝鐘マリンという業界随一の「てぇてぇ」の使い手が絡むとたった一時間お喋りするだけでこんなにも上質なコンテンツが生まれてしまう、いやはやホロライブ恐るべしといったところだ。
一見順風満帆なホロライブにも不穏な事象というのは常々ある。ホロライブで五本の指に入る稼ぎ頭同士の超人気カップリングが長い間冷戦状態にあったり親友同士で同居していたホロメン同士が「別居します」の言葉を最後に何週間も配信を休んだり、「自室で心霊現象が度々起きて精神的に参ってきたので」と長期休暇に入ったホロメンの休止前最後の動画に「いいな楽な仕事で」「お化けが出たから休みますってどんな仕事だよ」という突っ込みリプが出始めると慌てて復帰したり、大空と宝鐘が一生噛み合わない事もその一つだが箱内に「てぇてぇ」が充満している限り何だって最後にはいい方向に転ぶような、そんな心持ちにさせられる。
全Vに言いたいのは動画のネタだとか話題性だとか、面白いだ可愛いだブランディングがどうのこうのと言う前に先ず「てぇてぇ」を確保しなさい、という事だ。人間同士の生のぶつかり合いによって生まれる感情、絆、関係性、そしてそれを視聴者に知って貰う為の拡散力があればVはこのご時世八割方成功する。ここから先は「てぇてぇのパワー」が業界を支配する時代だ。