✔ 先月はV界の各所で様々な有名Vが突発的な長期休暇をとるおかしな月だった。その中でも一番の有名どころは月ノ美兎だが私のお気に入りは「家で心霊現象が起こるので」と休暇に入ったホロライブ肝入りの若手女子ライバーだ。V界の外では「著名人への銃撃事件が悲しいから」と長期休暇に入った油粘土マンというお笑い畑のYouTuberがいたが、ホロライブの若手ライバーと彼に共通しているのはどちらともが20歳を過ぎたばかりの若者だという事だ。大学生ぐらいの若者は「休む理由に選んではいけない文言」が分かっておらず、現実社会でも見ていて面白い。彼らはまだ子供で「事実かどうか」ではなく「信用して貰えるかどうか、信頼関係を保てるかどうか」で口実という物は作らなけらばならない、という事が分からないのだ。
そこへいくと富士の「体調不良で」は至極大人の理由付けだ。アンジュの「配信外の仕事に追われて」も下手な言い訳を付け加えていなくていい。
ぽこピーの「二人共がコロナで」はちょっとマズいんじゃないのと思ってしまう。「PCが壊れて」→「24の準備で」→「ライブが忙しくて」と色々あってそろそろ夏休みでも欲しい頃かなというタイミングでのこれは精神年齢の低い二人ならさもありなんだ。8日ぶり(いかにも夏休みの日数)に上げた動画で、出てきてはいるのに全く喋らないぽんぽこがその4日後に上げた動画で完全に本調子に戻っている辺りを見ても「やってんなーww」という感じだ。月ノは壱百満天原に登録者数を抜かれた心労で休む際「仕事とか一切関係ない部分で非常にショックな事がありまして、しばらく休ませて頂きます。くれぐれも切り抜かないようお願いします」とYouTube外の配信ツールでコソコソと報告していたが精神年齢や稚拙さは大体これと同じぐらいだろうか。アラサーコンビのユニットが随分と情けない話だ。
「《体調が悪い》の前フリ」→「配信を急遽キャンセルして運営が単身で代理を務める」→「ストック的な動画の放出」→「再度配信をキャンセルして緊急で夏休み入り」という富士の一連の動きは尋常ではない。今年2月の「週6行動宣言」とこれまでの流れ、そしてこの崩れ落ちるような休暇への入り方を通しで見ていた者なら富士の心が芯から折れた事ぐらい容易に察しが付くだろう。二人の「週6行動」が徒労に終わる事など始めた時から分かり切っていた事だが予想より随分早いし、折れるなら真面目で神経質なキクノジョーが先かと思っていたのだが彼の忍耐力は筋金入りのようだ。この先はキクノジョーが富士を引き摺る局面が度々見られるのではないだろうか。余りに本末転倒でさぞかしイタい画になると思うがVTuberの事故的映像に目が無い私としては少々楽しみでもある。
✔ 1:29:26～ 今年5月の「ぽんぽこ24」に出演した際のヤバ過ぎる入眠ASMR。シュール過ぎるセンス・芸人志向のネタ繰り・本番での間の取り方・イメージ通りにパフォーマンスをやり切る精神力等全てが完璧だ。ASMRを大喜利の形で面白可笑しくお届けするケースは見慣れた物になったがお笑いの観点で言えばキクノジョーのこれがずば抜けている。ネタの各所にピーナッツくんのリアクションを想定して下敷きにしている箇所が何点か見受けられ、ネタを組む段階で相手の力量まで計算している緻密さには脱帽だ。ネタを受けるピーナッツくんの立ち回りも完璧で本当にいいコンビだと思わされる。
✔ 今年の「ぽんぽこ24」でのキクノジョーのASMRは本当に出来が良く大層場を沸かせていたが、キクノジョーのこういったハイレベルなお笑いムーブは彼のホームであるAoi ch.では全く見られない。私の知る限りキクノジョーがこの手腕を発揮するのはぽこピー、と言うよりピーナッツくんとコラボしている時、つまり彼のこういったハイセンス過ぎるボケを受けて適切に捌く事の出来る者を相手にしている時のみだ。ぽこピーやおめシス、そしてそのフルメンバーで合同コラボを行う時、さらには富士とマンツーマンの基本形態で収録に当たる際等全ての場面にキクノジョーは自分をカメレオンのように、適切な形に変えて臨む。だから時には空気のように黙っていて最低限しか発言しないし、時には執事のように補佐的な作業に専念するし、時にはV界最強のお笑い能力を振りかざして暴れ回る。キクノジョーの仕事は常に場の空気を読む所からだ。それは補佐・脇役としては出来過ぎた習性だが一人のタレントの物としてはブランディングのブレに繋がってしまい、基本的によろしくない。偶像は自分を曲げたくても曲げられない程に我が強いのが一番だ。ぽんぽこだとか月ノだとか、先日チャンネル登録者数200万人を突破したホロライブ宝鐘などを見てもそれは分かるだろう。
キクノジョーがホームのAoi ch.で本領発揮出来ない、と言うよりそもそもそうしようともしていないのもやはり場の空気を読んでいるからで、具体的にそれはどういう読み方なのかと言うと「ブラザーではボケても拾われへんしな」だ。東京出身、それもアイドル色の強い富士では前出の「魔ASMR」みたいな高度なボケを適切に捌く事など絶対に出来ない。それどころか今のような形の「バラエティ企画に臨む無味無臭の富士葵」など横でキクノジョーが本気のボケをかまし出したら即食われて空気になってしまう。主役である富士を食わないように、困らせないようにと空気を読んだ結果キクノジョーは珠玉のお笑い能力を封じたまま活動に当たっている。「魔ASMR」という彼の実力の一端を見てしまった今これがどれだけ大きな損失か特に関西の人間なら大体が分かるのではないだろうか。
富士葵はアイドルVとしてホロメン達と比較してもかなり質のいい部類だ。キクノジョーのヤバさは前述の通りなので《富士葵×キクノジョー》というのは質のいいV同士を組み合わせたユニットという事になるのだが「キクノジョーのお笑い能力の不使用」みたいな痛過ぎる支障を度々生み出していて、シナジーの意味では最悪のように思える。
✔ ぽこピーのキャンプ系動画に似た「外ラーメン動画」。二人でキャンプ的にアウトドア自炊を行う動画だが異性で他人同士の富士キクが二人きりでこれをやっているとどうしても野外デートの画になってしまう。ぽこピーが二人切りでアウトドア動画を撮って問題が無いのは兄妹同士だからだし、非モテで超草食系で女子と絡めば虐められるだけのピーナッツくんは仮に女性Vと二人きりで絡んだとしても相手の「ガチ恋勢」を刺激しない。そしてぽんぽこだと意識しなくていい「ガチ恋勢」の存在は富士にとって生命線だ。後一人誰かロケに加わっているだとか富士が伴っている運営が女性だとか、何か一つでも掛け違いがあれば何の問題もない優良なキャンプ動画になっていた筈なのだが。キクノジョーが非モテキャラでもこの問題は回避出来るが先日の生放送で過去に彼女がいたエピソードを喋ってしまったので富士と二人きりの座組がさらに難しくなってしまった。
✔ 50:59～ クイズ企画にて噛み合わないキクノジョーに詰め寄る富士。この「うん・はい」以外の発言を全て「じゃなくて、じゃなくて」と遮るうっとうしい詰め方は典型的な東京都民のムーブだ。東京以外の人間からするとこれは攻撃以外の何物でもなく、バラエティノリや冗談めかした諭しとはどう逆立ちしても取れない。あまりの感じの悪さに自制心の鬼キクノジョーもピキって一発入れ返している。おまけにその後キクノジョーに非が無い事が分かって「双方手打ちにしますかw」みたいな謎のノリに富士が持ち込もうとしているが空気が淀んでほぼ事故映像に。この相手に非があるかないか確認しないままガンギレして気が済んだらヘラヘラ笑って謝りもしない、という低民度ムーブも東京で日々よく見かける光景だ。兵庫県民も民度で言えば東京都民と大して変わらないし、東京都民vs兵庫県民など実質野村沙知代vs浅香光代みたいな物でどっちが勝っても知った事かというのが正直な所なのだが、都民のこういう低民度な迷惑行為に日々辟易している私としてはキクノジョーが可哀想に思えてしまう。おめシスのように「東京都民＆東京都民」だとかぽこピーのように「地方出身＆地方出身」のユニットであればこういう軋轢も生まれない。
✔ 6:20～ 間違えたら本気で即終了するクイズ企画にてプレッシャーに負けてもたつく富士、に「ここ面白くも何ともないとこなんだからさっさとやれや」というイラつきを隠し切れないキクノジョー。「いや違うけどさぁ(6:36」が最早ホラー。これは「笑い」「企画の円滑な進行」の意味では正くてもV界に籍を置いている者がアイドルVに対して決してやってはいけないムーブで、テレビ地上波のバラエティ番組のゲーム企画で笑いや撮れ高を無視して本気で勝ちに行く若手舞台俳優ぐらい空気が読めていない。
アイドルVはこういった感情の揺れで普段と違う素の様子を見せている時にこそ見所や撮れ高がある。いつもはサラっとしている癖に活舌がグズグズに崩れてアワアワやっている富士の様子がめちゃくちゃいいじゃないか。育ちが良くて若い頃は勉学に励んだキクノジョーは「知識」と高尚な「笑い」は極めていても「アイドル」「カワイイ」のような俗な文化は分からないのだ。そしてこのどうでもいい所で「さっさとやれや」みたいな無言の殺気を発して一人で空気を悪くするのは典型的な兵庫県民の特徴だ。こういった支配的で余裕の無いムーブのお陰で近隣の県で兵庫県出身の男性がどれだけ嫌われて村八分になっているか、「兵庫」→「東京」という最悪から地獄への遍歴を辿ったキクノジョーには知る術もない。
同じ関西人でも極めて柔らかい県民性の滋賀出身で大いに俗なぽこピーがこの動画のキクノジョーのような仕切りをするか想像してみて欲しい。ぽんぽこなら「葵ちゃん焦ってるかわいー//」だしピーナッツくんならもたつく富士の横で繋ぎの一ボケでもかますだろう。《多分に隙のあるアイドルV》である富士と《高尚で高民度で俗な文化を解さない、しかも兵庫県出身》のキクノジョーの組み合わせがここでも最悪のシナジーを生んでいる。
✔ こういった軋轢は日々の富士キクの動画で本当によく見かけるがその度にこの二人の組み合わせが極めて悪い事を痛感させられる。富士と二人のベースの形態で度々上に挙げたような不具合を生むキクノジョーとピーナッツくんと組んで大暴れするキクノジョー、どっちが有意義でどっちにV関係者としての価値があるか、誰の目にだって明らかではないだろうか。
特にV界において「関西系の高度な笑い」というのは未だ全く確立されずにいる。Vのこれまでの歴史でVTuberがやってきた事はYouTuberの真似事だし、Vライバーのやってきた事はニコ生主の真似事に過ぎない。ここにプロを想起させる程お笑いに特化したV集団が現れればよもや革命だ。一般人からすれば「ちょっと声がいいだけのオタクが狭い範囲でやってる変な文化」でしかないV業界に芸人顔負けに面白い者が現れれば業界の意味自体が変わってくる。「ああいう《本当に面白い事》が出来るなら自分もやってみたい」と業界の門を叩く者も出て来るだろう。
ピーナッツくんとキクノジョーの組み合わせにはその走りになる実力が十分にある。証拠は過日の「魔ASMR」だし、二人のこれまでのコラボ動画でもある。ここに樋口楓のような同カラーの実力者を募っていけばそれがV界で一番面白い集団になるだろう。
これ以上に有意義で夢のある活動方針はない。同カラーのぽんぽこといいシナジーを生みつつ活動出来ているピーナッツくんはまだいいかも知れないがキクノジョーはこのままいけば才能を使わないままVとしての活動を終える事になる。工具が好きだとか全てを赤×黒の市松模様にする、織田信長みたいなDIYにハマっていたとか多様な引き出しを解禁しつつあるがそれも全部使えないまま終わってしまう。
そしてそれは相方の富士も同じ事だ。富士を知って、富士を同系統のタレントであるホロメン達と比べれば比べる程彼女はキクノジョーのアシスタントMCのようなVで終わっていい器ではないという確信が強まっていく。腕利きの運営と二人で切磋琢磨して毎コンテンツがやっとの事で数万再生、一番の売りである歌はオリジナルで出しても10万再生を切る事が度々、V界隈からの認識は「ほぼ終わった昔デビューの人でミライアカリとかあっち系の人」で満場一致、富士の現状は大体こんな感じだがこれは富士の身の部分と照らし合わせると落差が物凄い。
デビューが早かったおかげで売れただけの初期Vと違って富士は正しい形でまともに活動すれば当たり前に売れる人材だし、もっと人に見て貰えていい筈のVだ。このままでは下っ端ホロメンにもボロカスに負けているザコVとして、居ても居なくても良かったような存在として富士のVとしての人生は幕を閉じるのだがキクノジョーやぽこピーを始めとした周りの人間、そして富士本人は本当にそれで構わないのだろうか。
✔ 富士葵＆キクノジョーはどちら共が優れたVの組み合わせだがシナジーの意味では最悪で、二人はそれぞれが持っている本当の才能を全く発揮しないまま活動終了までの時間をいたずらに浪費し続けている。それがどんな財産の喪失を意味しているか彼ら、そしてぽこピーは全く分かっていない。
箱所属ライバーとして「てぇてぇ」を武器にアイドル的な魅力を愛して貰う事が活動の最適解である富士、互いの活動を支え合い拡散し合う仲間の獲得が急務である富士、ピーナッツくんと組めばV界最強のお笑い能力を発揮するキクノジョー、嚙み合わせが最悪でシナジーが全く生み出せない富士キク、どちら共がぽこピーとてぇてぇを含んだ特大のシナジーを生み出せる富士キク、等数々の要因が「富士キクはぽこピーに吸収合併されるべき」の必要性を示している。そしてこれは当然ぽこピーがこの他にも多々ある「企業化・友好関係にあるVの吸収」の必要性に気付いて実行に乗り出さねば実現しない。
富士キクの今後はぽこピーに委ねられているのだ。今回の富士キクの記事で触れた「富士をVTuberではなくVライバーへと転身させる事を意識して活動内容を微弱に変更する」、「文化系ホロメンを主としたシナジーの望めるVとの関係の構築を試みる」、「富士の歌い手としてのブランディングを固めていく」みたいな施策は富士キク二人だけでも出来る事だがそれが望む以上の形で実現したとしてもたかが知れている。箱所属のVとなって同箱のVと存分に「てぇてぇ」を育む事が出来なければ富士の将来はどう足掻いても今と大差ないしキクノジョーも非常に狭い範囲で有能と認められるのみの一運営に留まるだろう。よりにもよってリスクと責任を過度に恐れて逃げ回る事で時間を捨てる事が大好きな滋賀のイモ引き兄妹に、富士キクのこの先は委ねられてしまったのだ。
富士キクの動画は「ためしてガッテン」みたいな雑学系・知識系の企画が多いが視聴者はそんな事より富士自体に当然興味があってAoi ch.を見ているので、必死に笑いを堪える富士が可愛い「笑ったら即終了の出過杉くん」やキレイな富士が意外と変な癖を持っている事が知れる「偏食晒します」みたいな、「富士自身の何かしら」がフィーチャーされる企画を多めに採用する方がいいし、そういった企画の方が再生回数もどう見ても多めに回っている。上に挙げた二人だけでも手の付けられる施策と「富士自体に焦点を当てたコンテンツ作り」を粘り強く行いつつぽこピーが重い腰を上げる奇跡を待つ以外に、二人には出来る事が無い。
富士キクというのはどこまで行っても非業のVユニットだ。類稀なる二つの才能は噛み合わせ最悪、業界へ前乗り出来てしまった事で正しいフォーマットを選択し損ね、界隈で最強の売れっ子を味方に付ける事に成功してもその相手は超無責任な臆病者でゆめゆめ引き上げなど望めない、活動遍歴の隅々まで「身はあるのに運がない」の連続だ。
富士キクが今より売れる為に二人だけで行える有意義な施策は上に挙げた通り、ある。しかしそれぞれにとって正しいフォーマットを選択せず最強の武器「てぇてぇ」を扱う事もしないまま行ける範囲などたかが知れている。ぽこピーが何もしない以上富士キクは大きな効果は見込めないと分かっている活動を日々繰り返すしかなく、そうこうしている内に富士には年齢的なリミットと精神的な限界が迫って来る。
運に恵まれず売れないまま人生を終えていく才能アリの人材というのは様々な業界にたくさんいて、今も日々生まれ続けている。富士も数年後、そこに名を連ねるのだ。私は富士の事が嫌いではないのでそれを考えるとやはり少し哀しい気持ちになるのだが、この気持ちももう何度目か分からない。
売れないタレントはいつも売れないまま終わっていく。若い彼女達は自分達が今やり直しの利かない時間軸の上を進み続けている事に気が付かない。《VTuber 富士葵》という才能が今無駄に消えて行こうとしている事に富士はもちろん気が付いていないが、ぽこピーやキクノジョー等周りの大人までもがそれに気付かず何の手入れもしてやれていない事が最後にして最大の「不運」だ。
私はその時が来たら「とうとうか、お疲れさん」と言う準備だけしておこうと思う。その時まで富士を覚えておく事が出来ればいいのだが。
