【①.毎年関係性に変化がないという事はつまり……?】
【➁.「コラボ=互いのリスナーの交換」とはならない】
【③.他領域とリスナーを循環させ合うにはビジネスを超えた密接な関わり合いが必須】
【④.他領域と意味のある形でパイプを構築する事は成功した大型ホロメンにしか出来ない】
✔ 今年行われた宝鐘の「ホロメンとの関係性の変化を見る」配信。「去年と全然変わってないww」が多すぎて最早ネタのようになっているが、毎年のように「変わってない」が繰り返される事から読み取れるのは「宝鐘はホロライブの中で取れるパイ(ホロメン)は既に採り尽くしてる」という事だ。
「毎年距離の詰まらない関係」の一人であったAZKiとの間に「AZKiの声がツボ過ぎる」という新属性を用立てた宝鐘だが、古いアニメやファンタジーRPGの類を昔からたしなんでいた宝鐘がAZKiの「少々古い風合いを感じさせながらも正統派なヒロイン声(しかも声優も上手い)」にハマったというのは嘘ではないと思うが、この程度の属性で関係を繋いても果てはたかが知れている。宝鐘とAZKiでは感性も常識の尺度も何もかもがまるで違い距離の詰まりようがなく、シナジーも生まれる筈がない。前記事も触れた通り「せいぜい話がし易くなる」程度の利しか得られないだろう。ときのそらでもロボ子でも、桃鈴でもラプラスでも結局は同じ事、同じ箱の中に居て収録などで関わる機会があったにも関わらず距離が縮まらないのはそれだけ相性が悪いという事でもあり、縁が無いという事でもある。今関われていないホロメンといくらこじつけるように繋ぎを取ってもその先に得る物などほとんどない。
「箱の中のパイを採り尽くした」なら次はどこのパイを取ればいいのかと言えば、それはやはり箱の外のパイ、ホロライブの外のにじさんや個人勢の領域に居るV達と繋ぎを取っていくしかない。「Vにとっては関係性の増強こそ鍵」という法則は大前提としてあるものの、宝鐘のような大型のホロメンが他所の領域のV達と関係を作る事の意味はもっと他にもある。
✔ 現在個人勢で最も売れているぽこピー。日々投稿する動画の再生回数は調子が悪いと15万程(上)、並で25万弱程度(中)、グルメ系を扱うと30万強程回る(下)。
✔ 同じ個人勢で親交のある富士葵&キクノジョー、おめがシスターズとコラボした動画。二つの別ユニットを招いて六人で収録した動画にも関わらず再生回数は25万で並中の中。「コラボした二組のユニットが独自の視聴者層を引き連れて来ていない」点に注目。
✔ 上のコラボ動画と同時に富士葵のチャンネルに上がった動画(上)と、おめシスのチャンネルに上がった動画(下)。どちらも再生回数は20万弱程度。富士葵とおめシスが普段投稿する動画の再生回数は3~10万回程度なので2~6、7倍程の再生回数。「ぽこピーとコラボする事で富士葵・おめシス両方のチャンネルに普段二組を観ていない視聴者が流れ込んだ」事が分かる。
AとBの二つのVユニットがコラボした時に「A→B」の視聴者の移動はあっても「B→A」がないという事から分かるのは「AとBは同じ視聴者層を共有していて、日頃Aを観ている視聴者がサブの選択肢としてBを視聴していたり、していなかったりする」という事だ。ぽこピー・富士葵・おめシスはデビュー以来互いが互いを拡散し合ってきた仲良しユニットだが、この三組とそれを日頃固定的に視聴しているリスナー層を併せた物を「ぽこピー界隈」とここでは一旦仮定する。
✔ 普段ぽこピーとはそれほど絡まないMZMとコラボした動画。ぽんぽこちゃんねるに上がった物だが再生回数は18万でやはりMZM側から流入した独自の視聴者層が存在しない可能性が高い。ついでにおめシスもコラボしているがそれでも再生回数は全く上乗せされていない。
MZMはにじさんじ所属の下級ライバーや個人勢とは言っても「ぽこピー界隈」とは呼称できない程離れた場所に居る天開・歌衣等と上手く絡んで再生回数をそこそこ稼いでいるユニットだが、そことコラボしてもぽこピー側の再生回数が伸びなかったところを見るとぽこピーとMZMは同じ視聴者層を共有している可能性がある。「兎にも角にもぽこピーだけは欠かさずチェックしておいて、後は富士葵やおめシスの視聴に回るか天開・MZM等の視聴に回るか」という巡回の仕方をしている視聴者が個人勢の界隈に多数集まっている構図が想像出来るが、ぽこピーがMZMとコラボした動画が回らないのは両者のファンが余りにシナジーのないその組み合わせを嫌ったから、という事も考えられる。何しても個人勢の領域にも一つ、もしくは二つ程度の「界隈」があって、そこに居る個人勢V達は一つ、若しくは二つ程度の大きな視聴者層を共有しているという事実がある。
✔ にじさんじの有名ライバーとコラボした、一年近く前の動画。富士葵やおめシス等とのコラボと違うのは「にじさんじに所属しているライバーとコラボした」その一点のみだが再生回数は普段の4倍かそれ以上。100万回再生を突破した動画はぽんぽこちゃんねるに数える程しかない。
言うまでもなく「にじさんじ所属のライバーとコラボした事で、ぽんぽこちゃんねるに普段とは違う視聴者層が流れ込んでいる」事が分かる。
✔ バズり過ぎて訳が分からない程再生回数を稼いだ2022年の「刀ピークリスマスソング」。再生回数は1926万回。
毎年出される刀ピーのクリスマスソングはにじさんじの大型ライバー剣持刀也と合同で行う配信の中で卸される物、つまり剣持とピーナッツくんの合作であると言えるし、にじさんじのトップと個人勢のトップがタッグを組んだ結果生まれた作品とも言える。にじさんじと個人勢両方のトップが絡むのなら両方の領域が保持している視聴者層のどちら共がこぞって視聴する事が堅い訳で、それがこの「刀ピーのクリスマスソング」のバズりに繋がっている。
上に挙げたでびでび・でびるとのコラボとこの「刀ピーのクリスマスソング」の両方の成功に共通しているのは「普段個人勢領域の視聴者だけを対象に活動しているぽこピーがにじライバーを巻き込み、個人勢に加えにじさんじ領域の視聴者層にも働きかけを行った結果普段の倍どころでは済まない成果を上げた」という事。先に挙げた「ぽこピー界隈」若しくは「個人勢界隈」の視聴者層とにじさんじを観ている視聴者層は全く別である事は数字を見れば明らかで、そのどちら共に同時に効果的な働きかけを行う事が好成績を出す事の秘訣である事も分かる。
✔ ホロライブ尾丸ポルカを迎えた一年程前のコラボ動画。再生回数は89万と普段の何倍も高く、やはりホロライブが保有する独自の視聴者層の流れ込みが見て取れる。
✔ 尾丸側に上がった動画。再生回数は41万回。尾丸はホロライブの中では成績不振の部類で日々の配信アーカイブ・動画どちら共が再生回数10万を大抵の場合叩かない。つまり尾丸はこの動画でぽこピーとコラボするだけで大体通常の4倍程の再生回数を稼いだことになる。
富士葵・おめシス等の個人勢とぽこピーがコラボした時と全く違う視聴者の移動が起こっている事が分かるだろうか。ぽこピーの視聴者が一方的に移動するのみだった「ぽこピー×個人勢」のコラボに対し「ぽこピー×尾丸」のコラボでは「ぽこピー側(個人勢)の視聴者→尾丸のチャンネル」「尾丸(ホロライブ)の視聴者→ぽこピーのチャンネル」という双方向の移動が見て取れる。ぽこピーを普段見ている視聴者層と尾丸(ホロライブ)を普段観ている視聴者層が全く別である事がここから分かる。
✔ ぽこピーが個人勢・にじさんじ・ホロライブそれぞれの領域に居を構えるVとコラボした例を比較して分かるのは「自分がホームとしている場所とは別の領域の視聴者層に、その領域をホームとしているVと結び付く形でアプローチする事が殊更重要」という事だ。
尾丸はぽこピーとのコラボによって一つの動画で通常の何倍にも相当する再生回数を獲得したが、その後関わりを断っている為ぽこピーとのコラボによる継続的な効果はなく、今は成績不振の状態にある。ぽこピーも同様、尾丸とコラボした事でホロライブから得た固定的な視聴者などほとんど居ないだろう。
大空や大神、猫又という三人の仲良しVを例に挙げると、この三人程「てぇてぇ」の関係で密接に結び付いていて、コラボも頻繁で互いの配信で名を挙げる事も多く、親密な様子が見て取れる切り抜きも量産されている状態だとそれぞれが保有している固定リスナーは、恐らく三人のチャンネルを日々循環し合っている。言い換えれば密接なV同士の関わり合い、ユニットは互いの持ち視聴者を継続的に交換し合う事が出来る。
つまり「ホロライブという箱の中に存在するパイを、自分が取れる分は既に採り尽くしてしまっていると思しき宝鐘」が次にすべき事は「にじさんじや個人勢等の、ホロライブとは別の独自の視聴者層を保有している領域のVと密接な関係を築き、互いの持ち視聴者を循環させ合う仕組みを構築し、保ち続ける」事になる。「互いの持ち視聴者の継続的な循環」は「ぽこピー×尾丸」そして「宝鐘×月ノ」の例を見ても分かる通り単発のコラボ等では成し得ない。目安で言えばすばおかみょーん程公私共に親密で頻繁な絡みを継続して重ねる、「てぇてぇ」をふんだんに含んだユニットを結成して保ち続ける事が必要最低条件になるだろう。当然そのユニットを構成するメンバーは自身が身を置く領域では広く名が知れており、目新しいアクションを起こせばその領域の視聴者全体が必ずチェックする事を怠らないような一定以上の大物・成功者でなければならない。そうでなければ相手方の領域の視聴者層が十分量こちらに流れ込んで来ない。
「こちら側の領域の視聴層を最大数相手側に引っ張っていける」「相手側が引き連れて来た向こう側の視聴者層を感化させてこちら側の領域まで引っ張って来る程の魅力と能力が必要」「話題性もあれば猶良し」等の条件がこの動きには必要で、それを満たせるのは宝鐘やそれに並ぶような大型ホロメンの他に居ない。直接会って人柄で感化させる、足で稼ぐような繋ぎの取り方なら大空、星川に代表されるようなDQN系Vなら宝鐘、知名度とポップなイメージ、好感度で引き寄せるなら兎田やさくらみこ、星街は戌亥のような有能な女性Vにピンポイントでアクセス出来る。事務所の中でこれ以上ない程成功し、最早やり残しもない程売れた大型ホロメンの次のステップ、次のフェーズは間違いなく「他領域の大型Vと親密な関係を築き、相手方が保有する独自の視聴者層の引き込みに動く」事だ。