
→【ホロライブ・アフターライフ】05 に続く
《あの日地下施設でオカマに聞いた世界終末論と、時をかける秘術の話》1/4
✔ 秘匿鬼祇術の発動と共に鬼道丸さんが姿を消してから、一月近くが経とうとしていた。
鬼道丸さんは、あの日以来姿を見せていない。
秘匿鬼祇術発動の際に語りかけてきた公営鬼道師も、まだ私を捕らえに来ていない。
どうしていいか分からなくなった私は、鬼道丸さんが守っていたこの地下施設で一人苦悶の日々を過ごしていた。
秘匿鬼祇術を発動した鬼道演舞場の二階層上の地下階にあった鬼道丸さんの私室は一人暮らしに広過ぎず狭過ぎず、何より静かでとても快適だった。同じ階の倉庫には一人住まいなら数年は持ちそうな量の飲食物・備品の蓄えがあった。
鬼道丸さんの姿が見えなくなったあの日、地下施設をエレベーターを使って何往復もした私はその最後にとうとう鬼道演舞場に転がった二つのクロックスと、それを履いた成人男性の〝足〟を見つけた。何度目かに鬼道演舞場を訪れた際視界の端に映っていたクロックスを私は「まぁ(術の発動に際して)気合入れて脱ぎ捨てでもしたんだろうな」で済ませていたのだけれど、それに〝足〟が刺さっているのを見つけて観念し、とうとう全てを受け入れた。
私は人を殺したし、その人はこの世から消滅した。
私は人殺しだし、それはどう足掻いても取り返しがつかない。
どんな言い逃れもし様のない、純度100%の事実が私の前に横たわっていた。


