✔ ここまでに何度か「お笑い芸人」「アイドル」の二つの人気商売を引き合いに出したが、その二つにもやはりタレントを生産性ごとに分けて管理しそれぞれに成長を促す働きをする独自の『ライン』と『ランク』の仕組みが敷かれている。以下にその一例を載せておく。
A【”お笑い芸人”のランク表】
推奨活動形態 | ランク | 詳細 |
---|---|---|
・地上波キー局ゴールデンの有名番組MCを掛け持ち | A.月収数千万円~(年収~10億円) | ・日本国内に知らぬ者なしのトップタレント。全てのお笑い芸人の夢で憧れ。余程の不祥事でも起こさない限り生涯立場が保証され、多額の収入も得続けられる。 |
・地上波キー局ゴールデンタイムの番組に常時出演/マイナー地上波番組のMCを掛け持ち | B.月収数百万~(年収~数億円) | ・「売れている」と表現される中でトップクラスの芸人達。収入はもの凄いが身の振り方によってはまだ転落もあり得る。 |
・全国ネットへの定期的な出演/地方局へのレギュラー出演/非・地上波のマイナー番組への出演/営業/劇場 | C.月収100万~ | ・「テレビ」「芸人」に詳しくなければ名前と顔が一致しないタレントが増えるクラス。知名度は低くても収入は開業医並かそれ以上。「営業」のみで大枚を稼ぐ芸人もこのクラスには多い。 |
・地方局へのレギュラー出演/営業/劇場 | D.月収~50万 | ・同世代の会社員並みの給与を何とか稼ぐローカルタレントがほぼほぼその内訳。ホームとしている地域以外の場所で拡散された時期がないため数十年に渡る活動歴があったとしても全国的な知名度は皆無に等しい。このクラスだとYouTubeチャンネルを開設しても動画の再生回数は素人並。 |
・営業/劇場 | E.月収~30万 | ・テレビで見かけることはまずない芸人達。「劇場」が主戦場で年数回催される漫才やコントの賞レースが勝負所だが大抵の場合それには敗れ良い結果が残せたとしてもそのまま地上波に定着出来るケースは近年非常に稀。有名先輩芸人ややり手のテレビマンと関係を作ることが出来れば成り上がりのチャンスがないわけでもないがそれに関しても大抵の場合上手くはいかない。 ・賞レースに出場出来る期間(大体デビューから10年程度)この域を脱せない場合飲食業だとか芸能関係の裏方(作家やスタッフ等)に転向するケースが多い。 ・「印象的なフレーズを多用するネタ」「リズムネタ」等総じて「バズりネタ」を自作し地上波に向け売り込む芸人の大半がこのクラスの住人。大抵の場合失敗するが成功したとしても目処数年程度地上波を賑わせてまたこのクラスに出戻りするケースがほとんど。 |
・営業 | F.月収0円~ | ・客を動員出来なければ出してもらえない「劇場」に呼ばれない底辺of底辺のクラス。デビュー後数年の超若手芸人がほとんどだが中堅処の芸人がプライベートで連れ歩いている中にこのクラスに10年以上も滞留している者がちらほら混ざり込んでいたりもする。 ・芸人職から発生する給与だけではもちろん食っていけないため一般職の本業に勤しむ傍らたまに営業に出たり先輩のお付きをやったりする生活 ・数年以上このクラスにいる場合その人物はまず間違いなく芸人の仕事に向いていない。10年やってもネタは劇場で当たり前にスベり続けるし、芸人仲間もテレビマンもそれとなく察して友人・知人以上の関係になろうとしない。 ・「バズりネタ」を作って逆転を狙う者も中にはいるかも知れないが作ったところでそれを見せる相手自体がいない。数年滞留した時点で芸人としての死が確定する地獄のクラス。 |
B【”アイドル”のランク表】
推奨活動形態 | ランク | 詳細 |
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・女優/バラエティタレント | A.年収~数億円 | ・「アイドル」を志す者が最も憧れる天下り(成り上がり)先。と言うよりここに辿り着きたい女子がその入りとして「アイドル」を志す、というのが実際。 ・「バラエティタレント」の具体例は指原莉乃、矢口真里、野呂佳代等。「女優」は今だと白石麻衣。元が場末のサブカルチャー出身なだけに「女優」「歌手」「モデル」のような高尚な職にはどうしても天下り(成り上がり)しにくい。 |
・営業/インフルエンサー/地方局への出演/全国区への定期的な出演 | B.年収~数千万円 | ・「テレビ」「芸能人」に詳しい人だと大抵の場合その名前と存在を知っているが【A】程ずば抜けたものがなく定期的なテレビ出演に留まるような元・グループのトップメンバー達が総じて名を連ねるクラス。 ・大抵が結婚していて子供も育てつつ、その傍ら芸能職にも励む。そのほとんどが「あの人は今」状態なのが実際だが、地方(大抵地元)に移り住みローカル局で実はそれなりにタレントをやっているケースもある。 ・近年YouTuber化に成功するケースもいくつか見受けられ、その場合収入は最大で【A】を上回る(辻希美、峯岸みなみ等)。 |
・知名度と人脈を活かした一般職への従事 | C.年収1000万前後 | ・元アイドルの八割方が選ぶ道。上手くやれば開業医並の給与を長期に渡って手に出来る。 ・具体的な職業はまずは「飲食」、続いて「ネイルサロン」「エステ」「アパレル」等。芸人と違って芸能関連の裏方に天下りする者はほぼいない(現役期間中に習得する技能が基本的に何もないため)。 ・いい天下り先が見つからない場合「元アイドル」もくそもなく、本当にただの一般人になり下がる。一般人に混ざって働き一般人と同じだけの給与を受け取り、誰にも「元アイドル」と気付かれずかつてその職に従事して芸能界の上位入りを志した事実自体が風化して消え去っていく。 |
・所属しているチームの主要メンバーとしての活動 | D.年収~数千万円 | ・テレビバラエティで「今話題の」の枕詞と共に度々紹介される超人気メンバー。グループに興味がない一般人でも認知していて薄っすらと推している層がいる、他とは一線を画すスターメンバー。 ・テレビドラマ・映画・CM出演・モデル業・ソロライブやオリ曲のリリースと多忙を極めるがグループに所属している身分のため収入はイメージ程多くはない。 ・この期間中に地上波常連のタレントやテレビマンとパイプを作ることが出来れば指原・白石コースが確定。以降順風満帆の芸能人ライフを送ることが出来る。 |
・所属しているチームの中堅メンバーとしての活動 | E.月収数十万円 | ・テレビを相当強めに観ている視聴者にのみ顔と名前を覚えられているような中堅メンバー。グループの中やファンの間では神扱いだがそこを一歩出ると非常に凡庸な存在。大抵の場合タレントとして飛び抜けたものを何一つとして持っておらず、知名度を獲得出来たのはただただグループや【D】ランク相当のメンバー達のお陰。 ・現役期間中【D】に当たるメンバーのバーターのような形で度々地上波出演の機会が与えられるため全国的に認知はされているものの個人的な技量・魅力に乏しく卒業後は良くて【B】悪くて【C】のラインに入るしかないメンバー。 |
・所属しているチームの下級メンバーとしての活動 | F.月収10万円以下~ | ・実質”研修生”の域を出ない下級メンバー。劇場や(小)ライブ会場以上の活躍の場がなく、大抵の場合目処数年で辞めていく。地方に住みその地域の中でだけ現役期間一杯を過ごしたり、地上波出演の経験がないまま終わっていく者も多い。 ・アイドルとしての仕事から得られる収入は非常に低く、最低クラスだと「(一日拘束された上での)日給5000円」相当。そんな仕事でもせいぜい月数回程度しか与えられない。 ・所謂「地下アイドル」の大半がこれに当たるが、彼女達の本当の食い扶持は活動から得られる給与ではなくそれを通して付く「おサイフファン」「パパ」「パトロン」。それらを駆使して生活を確保し次の段階を目指す元手兼取っ掛かりとし、条件の良い者がいれば嫁いで終生の伴侶としたりもする。 ・読んでいて分かると思うが、彼女達は実際のところ「アイドル」と呼べるような代物ではない。一般職に就くのも無理だがこの職に本気で打ち込む程の気持ちもなく、楽な落としどころを探して漂いただ流されていく。キャバ嬢の変種とでも言い表すのが適当な存在で、だから「アイドル」の職に本気だったり美学を持っていたりする同業者やファンはこの類の存在をとにかく嫌悪する。 |
✔ このように、やはりそれぞれに『ライン』と『ランク』のシステムが敷かれていてタレントを管理・育成する仕組みが整っている。どちら共が主に【A】ランクに当たるトップタレント達が行う華々しくスケールの大きな活動に惹かれて下位の者が切磋琢磨する仕組みになっていて、結果を残してある程度のランクに達するまでは箱や事務所からは何も受け取れない。
「お笑い芸人」「アイドル」の他にも人気商売は様々ある。
「役者」や「歌手」もそうだし「漫画家」「声優」「映画監督」に「イラストレーター」、「モデル」や「小説家」、「YouTuber」や「グラビアアイドル」、「AV女優」なんかもそれに当たるだろう。
その全ての職には、必ず『ライン』と『ランク』のシステムが敷かれている。これらの中からどれか一つを引き合いに出して上記二つのランク表と同じようにそれに従事する者達を割り振っていけば必ず『ライン』と『ランク』は浮かび上がってくるだろうし、上のランクに位置する者ほど華々しくサイズの大きな活動を行っていて実入りが良く、下に行けば行く程その逆になっていく構造も全く同じな筈だ。
そういう仕組みをしているからこそあらゆる人気商売は永続的に回り続けることが出来るし、新しい才能が絶えず箱や業界に参入し続けるし、参加しているタレント全ての生産性が(各々の自助努力により)最大化されて箱や業界ごと浮上していくことが出来る。
“ホロライブ”は間違いなく『人気商売』の一種だ。「役に立つ」「有益だ」「意義深い」などではなくただ「好き」という感情によってのみ消費者に支持され利益を上げていく。そこにいるタレントを評価するのに用いられる最も凡例的な言葉は「人気VTuber」、ぺこマリが他のホロメンより優れている理由は「より人気があるから」、ライバー達が多忙の中少しでも多くの時間を配信に使いより再生回数が回るコンテンツを投下しようと努力する理由は「人気者になりたいから」………………間違いなく、”ホロライブ”は「お笑い芸人」や「アイドル」、その他諸々と完全に同種の『人気商売』だ。
逆説的に、『ライン』と『ランク』のシステムを敷くことがホロライブには確実に必要だったことが分かるだろう。それがあるから他所は長年にわたって回り続けている、それがあるから時代時代でスターが生まれ続ける、それがあるから上は仕事の完成度を保つ努力を絶やさず下は限界を超えた切磋琢磨に自ずから励む、だから儲かる、だから浮上する、だから尊敬される、『文化』として社会から認められ敬意を払われ次の段階が訪れる………………逆に言えばそれがなければ人気商売としては何もかもが上手くいかず転落・衰退の未来しかあり得ない。
だからここ数年でホロライブは凋落したし、今現在もプラスの出来事が一つもないまま悪い事案ばかりを積み重ね続けている。ホロライブが湊を失ったこともぐらを失ったことも、運営の眼鏡や複数人の海外ホロを失ったことも、
沙花叉に権益を盗み取ることを許したことも宝鐘が活動への気持ちを失ってしまったことも、兎田が「ミミーチン事件」を起こしたことも星街が一般社会に認められないことも、スバみこが障〇者と見紛うようなみっともない有様を晒していることも、中級以下のホロメンが総じて活動にやる気がないことも新参期生の中にまともな才能を持った者が一人も現れないことも、
株価が落ちたこともにじさんじに業績でまた抜き返されようとしていることも、視聴者の数が増えないことも世間から蔑まれるのも真っ当な評価が得られないのも、
全ては『人気商売の一種でありながら”ライン”と”ランク”のシステムをホロライブに構築することをカバーが怠ったため』だ。