✔ さくらみこが他のホロメンと比べて突出している点を挙げていけば徐々に分かってくる事だが、要するにさくらみこはVとして活動する上で一切のガード姿勢をとっていない。
四方八方、身内からも外野からも例えば「叩けば鳴るおもちゃ」のような人の尊厳を損なうような「①虐」を四六時中投げかけられてもラインを意識する事を促すような素振りの一つも見せず、プライベートを「③´同僚やリスナーをつぶさに観察する事に大きく割き同僚の役に立ちリスナーの需要を満たす行動を割り出しインプットしていく」事に費やして20代女性の一般的な幸せの大方を投げ出し、「④´全ての同僚に許容と救済の姿勢で当たり、ノリの範疇を超えた否定・拒絶・攻撃を一切行わない」事でサンドバッグのようになっても当然のようにそこに居続ける。特別な才能を要さない代わりに根性と精神力、自己犠牲の精神を限りなく求められる各種「才能がなくても実行出来る成功へのアプローチ」その全てをさくらみこはどのホロメンよりも高い水準で取り揃えている。
「⑤どんな目に遭っても配信ではガチらない(キレない・ヘラらない・生のネガティブな感情を晒さない)」「⑥各種コンディションがどれだけ悪くても配信中の態度は明朗快活×明るく上機嫌で一定に固定」「⑦VTuberとしての自分の行動と意思決定には自分や同僚だけではなく必ず広義のリスナー目線を加味する」「⑧何があっても自分が今恵まれ過ぎている事を忘れない」「⑨既に評価されている部分を堅守して伸ばしつつも新しい挑戦と創意工夫を欠かさない」……VTuberの「誰にでも出来る成功へのアプローチ」はこの他にもまだあるが、その逐一が「特別な才能を必要としない×代わりに高水準で突き詰めようとする程根性や精神力を無制限に要求する」という点で共通している。
その全てをどのホロメンより突き詰めているという事から分かってくるのはさくらみこは「活動を頑張っている」のではなく「活動に身を捧げている」という事。──「身を捧げている」と言えば綺麗な字面だがここで言っているのはそれだけ必死で頑張ってる、努力してるという意味ではなく「Sacrifice myself(自分を犠牲にしている)」という意味で、自分自身のプライドや人間性、こだわり、気持ちや感情、幸せ等より活動の質を突き詰める事の方が大事というヤバ過ぎる等式がさくらみこの中に成立してしまっているという話だ。
✔ ホロライブで活動を軸に生活を組み立て、様々な努力を厭わないライバーというのは上位層を中心にそれなりに居るのだが、「自分<活動」という価値基準で生きているライバーはさくらみこ以外にはさすがにいない。
例えば大空はさくらみこに近いレベルで数多くのホロメンと繋がり時には身を切る形で一方的に利を与え続ける事をやめないが、その対象を全て洗ってみると手懐け傍に置く事で大空自身が映えて自己肯定感を高める一助になる事を条件に人選が成されている事が分かる。やっている事は似ているようでも大空は自分の(気持ちの)ためにそれをやっていて、さくらみこは活動の質を高めるためにそれをやっている。
また大空は長年宝鐘を拒絶し兎田を警戒して硬い態度で当たり続けている訳だが、これは自分の地位を揺るがす上位存在を良しとしていない気持ちの表れだ。宝鐘→兎田→星街→さくらみこと、特殊な才能を持っていない順に関りが深く態度が軟化していく非常に分かり易いグラデーションがその証だが、ここでも大空は活動の質ではなく自分(の地位)を優先して行動を選択している。成績や事務所内ランクなど一切考慮せず、合う合わない・有害無害・無能有能等様々居るホロメンの全員を全く同じスタンスで迎え入れるさくらみこはやはり「自分<活動」の精神だ。
また星街はいくつか前の記事で書いた通り歌で売れる事にさして干渉しない日々の配信を激しく抜いて行う事で手間を省き、絡んでも利のない底辺/無能ホロメンには近寄りもせず自分の関わる仕事で不手際を働いたスタッフを配信でエピソードトークの体をとって晒す事で攻撃し、ユニット結成以来さくらみこの事を心底見下し下位存在として踏みつける扱いを貫いてきた。
ホロライブで一、二を争う程「自分>活動」否「自分>>>>>>その他全ての存在」の精神をした星街だが、「自分<活動」のさくらみこはやはり星街とは全てにおいて逆だ。日々の配信という一番忍耐の要る泥仕事に精力を注ぎときのそらみたいな爆弾とも何とか折り合いを付ける方法を探り、スタッフや同僚のガチ悪口はミリも出さず誰かを見下し虐げた事は一度もない。みこめっとは相反する精神を持つ二人が組んだユニットだがそれが極めて上手く回り続けているのは下位存在と信じて止まない相方のお陰だという事を青い髪のスイーツはまだ知らない。
ぺこみこという自分の活動史上最大の需要を孕んだユニットを変な意地から手放した兎田、活動をほったらかして自分の存在意義とはなどと逡巡している宝鐘も同様、ホロメンはどれだけ活動に熱を入れている努力家であってもその価値基準は「自分>活動」で一定だ。
それを反転させ人として大事なあれこれを投げうつ事でさくらみこが代わりに手にしたのは周囲全てからの数限りない好意と庇護だった。容赦ない「①虐」に晒されてもそれが求められている事を知ればノーガードで受け続け結果誰よりも多く「➁可哀想は可愛い」の効果を得続け「③´箱内の全てを熟知するためにプライベートの時間も全て使い」「③箱の中心に居続けるに足る能力と資格を獲得」、「④´利害や損得に関わらず誰の事も拒否せず協力を惜しまない」ので「④箱の中心メンバーのほぼ全てが良き理解者で親身な協力者」という有利過ぎる状況に、といった具合で「自分を投げうつ→誰よりも大きくアドを得る→無能だてらに抜きん出る」というパターンをさくらみこは延々と繰り返している。