✔ 大空は二線級の才能しか持たない現実を隠して地位と名誉と精神を保全するため、兎田は兎にも角にも自分のメンタルを守るため、二人はそれぞれ違ったやり方で活動の質より自分を守る事を優先させた訳だが、結果当然の成り行きとして活動の質は頭打ちになり将来性は摘まれ、どちらもここ最近数字の面が芳しくない。各種バイアス・箱の大小・コネしかないゴミ・人の不幸を糧としてバズったクソソング等、何かといい加減なイメージの付きまとうYouTubeくんの「数字」だが、ホロライブに所属しているライバー達の保持しているそれは私の見たところ彼女達の本質と現在の状況を結構な精度で言い表している。数字は絶対などではないが、やはりいつもそれなりに頼りにはなる。
いつかシンデレラストーリーを自称していた時はホロライブパワーで売れただけの癖に殴られてぇのかこのガキとその実態を知らない私は思ったものだったが、今さくらみこを見て思うのは殴られてるなこのガキ、という事だろうか。才能の程で言えばロボ子や夜空メルと変わらないか、ひょっとすると劣っているぐらいかも知れない身空で退かず守らず、日夜寄越される鋭利過ぎるフィードバックの一つ一つから目を逸らさず、その全てから学ぶ事で進歩を絶やさなかった胆力は驚嘆に値する。お前ほんとに令和を生きる20代女子かと問いたくなるが、一つ訂正するなら誰かが持って寄越した幸運に運ばれていっただけのシンデレラとさくらみこは全然違うし、傷を負った上でそこから学ぶ事を活動の基本パターンとして今も励行しているその様は華奢で煌びやかな佇まいとは程遠く、骨太な雄々しささえ漂わせている。──要するに待ってるシンデレラじゃなく、迎えに行く王子様だったという訳だ。
✔ 努力で補える部分は全部補うという驚異の根性論で事務所二位の配信強者の地位に就いたさくらみこだが、元が才能貧者なだけに問題点はやはりある。ここに挙げた配信は個人・にじの外部のVとのコラボだが、これを除くとさくらみこはホロライブ以外のVとのまともなコラボを恐らく年スパンで行っていない。
今年に入ってからホロメンは皆外部のV(特ににじさんじ)とのコラボに積極的だ。箱の中で出来る事はやり尽くし、出会えるVとも出会い尽くした彼女達は外に新たな可能性を探しに出かけていて、大空は夜見、星街は戌亥、兎田は壱百満天原、宝鐘は星川、不知火フレアですらシスター・クレアなどといった形で既にそれなりに繋がりを築いている。事務所の上位層の中でこれをやっていないのはさくらみこだけだ。
にじさんじはホロライブに次いで広大な土壌を確保していて、そこにいる独自のリスナー層の視聴経路はにじさんじの箱の中を回遊する事に限定される。ホロライブ側もそれは同じだが、二者が交わるコラボの場でだけは両者が一所に集まる事になり、それが互いのリスナー層の視聴経路を互いの箱へと拡げるきっかけになる。にじホロのコラボはそのどちら共が新しい可能性に直接的にリーチ出来る、両者にとって現在最も有効な活動手段と言える。
自分のチャンネルの中心に居座り寄越されたフィードバックを受けた上で改善・進歩していく事に全集中するという、言ってみれば物凄く積極的な待ちの姿勢をしたさくらみこはそこを出て足を使い可能性を拡げていくという選択肢自体を恐らく失念している。さくらみこ自身の機能は先に書いたように決して高くなく、他者からの協力ありきの出来高、予備知識ありきの笑い、好感度ありきの人気が前提になっている訳だが、それが通用する範囲を今より拡げる事は自分のチャンネルの中心に居座ったままではいつまで経っても出来ない。殴られる事でしか全てを始められないなら新しく自分を殴ってくれる人達がいる領域までは少なくとも自分から出て行くしかない。
宝鐘や星街、兎田のようにどこへでも手ぶらで赴いて一人で成果を上げて帰って来れる程の何かを持たないさくらみこの将来は非常に不安定だ。おバカさに「面白い」崩れた活舌に「赤ちゃんみたい」至らなさに「守ってあげたい」という形で寄越されていたリスナーからのフィードバックに応じる事をこれまではやってきた訳だが、それがいつしか加齢によって「大人でこれはキツい」「おバカは下の世代でもうちょっといいのいるから」「君はもういらない」に変わった時、さくらみこはやはりそれにも退くという形で対応する以外ない。その時のためにも自分という存在の有効範囲は少しでも拡げておくに越した事はないだろう。
✔ 0:07~ 外部でも「○○、俺恥ずかしいよ」のみこ構文が使用され始めている事が分かる切り抜き。足を使って外に出る事はしないものの質の極まった活動の副産物が外に波及している事実を示す一場面。
「〇俺恥」の凄い所はこれが使用された時点でそのライバーがPON属性である事が構文を知っている全リスナーに瞬時に伝わってしまう所だ。実際フレンも非常に強力なおバカでPONで、おまけに変態な訳だが、それはこの後披露される水道料金の払い忘れのエピソードなどでは到底言い表せないし、この配信丸ごとでもリスナーに十分な形では伝わらない訳だが、「フ俺恥」による「もしやみこちクラスか…?」という推察があればフレンのチャンネルに直接様子を観に行くリスナーはやはりいるだろう。み俺恥構文はキャッチーなだけではなく多分に高機能だ。
しかしそれがさくらみこに端を発する事を知る物は外部には決して多くなく、実際使用されたフレン自体自箱の外に関しては非常に不勉強な部類なのでそれについては分かっていなかった筈だ。外部のVにとっては得る物があったとしてもさくらみこが得ている物はない訳だが、これは今後の事を考えると非常に良くない。どれだけ鈍足のベタ足でもやはり外に出て自分の影響範囲を広げる努力は積極的にやっていくべきだろう。
白上と一緒にヒメヒナのコラボに出るのも戯れとしては悪くはないと思うのだが、共演してる二組のVが自分の領域で大した市民権を得ていないのでやはりもう少しビッグネームを狙いたいところ。差し当たってみこめっとで戌亥+アルファと絡んでボコボコに殴られればその趣旨がにじさんじの領域にも効率的に伝わるのではないだろうか。
✔ 配信の頻度、視聴回数から見た現在のホロライブの実質的な二番手はさくらみこだが、さすが二番手だけあって前に挙げた三人とは違い湊ですら見習える点がある。求められなくても活動から逃げず、傷を負っても寧ろそこから学んで強く進化する事を繰り返す熱意と根性は湊のこれまでの活動姿勢とは相反するものだ。
しかし「誰よりも正統な努力を、身を削る形で続けてきたさくらみこ」と「飛び抜けた才能を持ち周囲全てから求められていたにも関わらずかなり怠惰に、低頻度な活動しか行ってこなかった湊」の配信の視聴回数を比べると現状湊の方に大きく軍配が上がっていて、やはり現実は厳しい。湊の言葉通り努力家は才能のある努力家にはどうやっても勝てないという現実がさくらみこの行く手を阻んでいて、その現実の名は宝鐘マリンだったり湊あくあだったり、「抜いて配信やってても同格な星街」だったり、「嫌な事全てから逃げた癖に自分を差し置いて事務所の代表者やってる兎田」だったりする。それでもやはりさくらみこはまた負けたにぇの言葉と共に立ち上がる訳だが、その泥臭い姿は洗練された華々しさからは程遠く、スター性・カリスマ性の顕現を許さない。かくしてさくらみこの血と汗にまみれた栄光なき活動の日々は続いていく。
そんなド根性女子を間近に見てみ俺恥(みこち俺恥ずかしいよ)の念を抱き、活動姿勢を改めるホロメンが一人でも増えればと思う。──もちろんその中には湊の姿もあると猶の事いい。