【個人勢の継続によるオワコン化の危機】:【 不定期VTuberレビュー vol.4 】①「ぽんぽこはPCを捨てやがれ」.Ⅹ

VTuber



この記事では

✔ ぽこピーの企業化は、彼らに様々な選択肢やメリットを与えるだけではなく既に迫りつつあるオワコン化の波を食い止める唯一無二の手段にもなる。この記事ではその点について記していきたい。


VTuber、5年持たない説

✔ 2016年に最初のVTuberが誕生してから大体6年が経つが、その間を全盛期の好調を保ったまま走り抜いたVというのは一人もいない。キズナが卒業のだいぶ前から見て貰えなくなっていたのは誰でも知っている事だし彼女を含めた、かつて四天王と呼ばれたV達など見るも無残だ。

「VTuberと言えば」で真っ先に名前が挙がる月ノも最近は本当に調子が悪いようだ。モチベーションの下がりと共に毎配信の再生回数が20万を割る事が増え始め、ジワジワと勢力を伸ばすアンジュと数的な部分で大して変わらないようになってきた頃類似キャラクターの超新星壱百満天原がデビューする。一人称が「わたくし」なのが被ってる、みたいなキャラ被りに軽く触れている切り抜きがあったが多分壱百満天原の登場は月ノに、数的な部分でも精神的な部分でも相当なダメージを入れている。「お上品なお嬢様 × シュール・狂気」という全く同じ雛形のホープは、登場からたった一カ月で登録者数と再生回数の両方で完全に月ノを蹴落としてしまった。壱百満天原の確変は必ず段階的に落ち着いてはいくものの、毎配信20万回再生を長期的にキープする形で落ち着いてしまうと最早月ノはにじさんじバラエティ畑のボスでもVTuberの代表格でも何でもなくなってしまい後から来た上位互換に取って代わられたオワコン、という立場になってしまう。その未来を真っ先に想像したのは間違いなく月ノだし、この数週間まともな活動が出来ていない事もどう考えてもこの件が関係している。

またデビュー時期が早い事でキャラデザやネーミング等、Vとしての全体的なプロットが時代遅れになってしまっているパターンもあり、V業界始動の最初期に登場した、キズナアイと共通するミライアカリときのそらみたいなプロットは端的に言ってしまえばダサくて引きがない。少し後に赤井はあと富士葵などという色モチーフのVがまとまってデビューする時期もあるがこれもV業界の中では古く、終わって久しい流行りだ。私個人は「赤井はあと」というプロットは今でもナウくてイケてると思っているがカラー的に富士と赤井を混ぜた格好になっている「青道アカト」などはどうしようもない。「赤と青半分このキャラって面白くね?」という発想がどうしようもなく古いし中の人のキャラが「青」に相当する知性や冷静を備えていないしでもうめちゃくちゃだ。彼みたいな例はもう潔く転生してしまった方がいい。

最近のモチーフは専ら「動物」が主流だがそれを地で行っているホロライブも二期生以前のホロメン達のデザインを見ると様々な「ダサさ」を垣間見る事が出来る。ときのそら、夜空メル大空スバル星街すいせい等やたらと「空」関連が並んだり夏色まつり(夏・祭り)とか湊あくあ(海・水)みたいな今では考えられないようなモチーフが散見される中私が一番気になるのは「犬」シリーズだ。

ホロライブ古参の部類に入る大神ミオ白上フブキ戌神ころねという三人のホロメンがいて、彼女達は全員犬(科)モチーフだ。それぞれの名字をカタカナ表記するとオオカミ・シラカミ・イヌガミとなり大神と白上に至っては重めのロングヘアーに上を向いて尖った犬耳、というフォルムまで同じという驚きの没個性で、ミズノ・サカイ・ミキ・マキ問題並にややこしい。大神と白上はホロライブ参加前からの知り合いで黒と白の対になるようデザインした、という側面があるのだが現在この二人は特にニコイチの関係という程一緒に活動をしている訳でもなく何よりデザインがどちらももっさりとしていてダサく、現環境で全く引きの無い見た目をしているのでシンプルに可哀想になる。半年前懲りずにまた上向きに尖った犬耳でロングヘアーの犬(科)モチーフ博衣こよりをデビューさせているが、古株の犬モチーフのホロメン達もせめて彼女ぐらい今風でポップなデザインに刷新させてやって欲しいものだ。


ホロライブ初期生は没個性が顕著

驚きの没個性、犬(科)モチーフのホロメン三人+猫モチーフのホロメン。ホロライブはとにかくけもみみ。キャラ被りもさることながらデザイン自体ももっさりとしていてダサめ。


またキズナアイの登場~輝夜月の成功辺りまでで確立された「VTuberは可愛い×面白いが最強」みたいなイメージも2019年前期頃から変化しており、今ではV単体の魅力・面白さよりV同士で築いた関係性の多寡が物を言う時代になった。V業界というものが誕生してからたった6年程しか経っていないが、その間だけでも流行りや需要に目まぐるしい変化が起きている。

モチベ切れ、類似の新世代に取って代わられる、V自身のデザインやプロットが時間経過で時代遅れになってしまう、視聴者側からの需要の変化等様々な要因と、言うまでもなくシンプルな「飽き」によってVTuberというのはとかく短命だ。あと半年経てば月ノは活動歴満5年を迎えるが今の時点で明らかに下降が始まっているし、少し後にデビューした剣持もモチベが完全に切れていて配信の質がすこぶる悪い。ぽこピーは月ノとほぼ同期にも関わらず好調だが彼らは非常に遅売れで、チャンネル登録者数が20万の大台に乗って火がついてからまだ1年も経っていない。活動開始から5年経つ半年後はさすがに元気でやっているだろうが大雑把にその2年後も今と同じ調子でやれているかと考えるとそれはないように思える。支柱であるぽんぽこが「やる気が出ない」「いつまでもはやってない」とこぼしたり何かとかこつけて動画のアップが止まったりを繰り返している辺り非常に危うい。


ネタが面白い奴ぁ皆死んだ

✔ ぽこピーの、日々の活動の一番のセールスポイントは「毎動画のネタの質、アップの頻度」だ。およそ二人だけで考えたとは思えない程多種多様な企画にハイレベルな笑いのセンスを乗せ、高品質な編集を経て連日上げられる動画は余裕で業界最高品質だ。「質のいい動画を高頻度で上げられる天才」と言えば先行きも明るいように聞こえるが実はYouTubeでの活動で「質」や「アップ頻度」に特化した者の寿命は短い。


【例.①はじめまして松尾です
ピーナッツくんはアニメ制作においてもっとこいつを研究しろよと思う筆頭に「はじめまして松尾です」がいる。2019年に活動を開始したショートアニメ畑のYouTuberで、ほとんどの動画が200~400万再生以上を記録している超売れっ子だ。

初期の作品を観た私が「天才キタぁ…」と驚嘆したのが2019年後期頃だがそこから僅か半年後、2020年4月のこの動画から明らかにクオリティが下がっている。松尾のアニメの持ち味は天竺鼠川原に似た不条理なボケを間断なく連発していく事だがこの動画以降はそれ以前に見られたキャラ同士のやりとりの脈絡やストーリー上の展開が失われ、持ち味の言葉遊びを羅列してまくし立てるのみの作品ばかりだ。


【例.①はじめまして松尾ですの動画比較】

2020年3月の初期作。シナリオからよく作り込まれた名作。


ネタとモチベが切れ延々と言葉遊びを繰り返すだけの近作。さすがに批判的なコメントも


松尾はこの数年「最盛期の自分の作品を模倣する」という作品作りしか出来ておらず、当然ストーリーやギャグ部分の製作レベルは成長していない。数年でかなりの数の作品を作っているが作画能力も向上しておらず、クリエイターとしては何年も止まったままの状態だ。

ボクシングで言う手打ちのような弱々しいネタを連発する形態を松尾が採っているのは言うまでもなく再生回数と、それが生み出す収益の為だ。松尾のように一度バズるとYouTubeの視聴者は余程の事が無い限り惰性で観続けてくれる。全盛期と比べるとしょうもない作品になってしまっている事は松尾本人が一番分かっていると思うがそれでも一つ動画を上げる度に最低でも200万前後以上再生回数を稼げるのだからやめられない。

「余程の事が無い限り」と言ったが動画のアップ頻度を下げる事はその一つに入る。松尾自身あまりのモチベの下がりに今年1月から1カ月間程アナウンス無しに動画のアップを止めていて「引退か?」と囁かれていたが活動を再開してから毎動画の再生回数が軒並み50万回ずつ以上も下回るようになっていて、今の所ほとんどが100万回再生前後だ。「投稿頻度で勝負する」という事は「投稿頻度を下げたら見て貰えなくなる」危険性が常にあるという事でもある。「高頻度で高品質な動画を投稿 → モチベ切れ・ネタ切れで動画の質が下がる → 質が下がっているだけに頻度を下げてしまえば惰性で見ていた層が離れてしまう可能性大。下げられない → 機械的に同じ作業を何年も繰り返す → 耐えきれなくなって活動休止 or 飽きられてオワコン化」というクリエイターの成長を止めた上に将来性まで奪ってしまう恐怖のテンプレパターンがYouTubeの各所で日々繰り返されているのだ。

去年末にぽんぽこがMVの製作を依頼した可哀想に!(例.➁)が見事に同じ軌跡を辿るところを私は見ていたが、最近だと油粘土マン(例.③)というお笑い系のショートネタを連発する分野のホープが駄目になってしまったのが記憶に新しい。ほぼ毎日投稿するネタ動画の5本に3本はお笑いに相当厳しい人に見せても確実に笑って貰えるという程出来が良かったのにそれが5本に1本、10本に1本と減り続け最近はどれも一切面白くない。松尾と同じくネタが切れて上手く出来ていた頃の自分を模倣する事で精一杯になっていて、動画内でも明確に「辛い。もう分からない」と度々こぼすようになっている様は悲惨だ。

【例.③油粘土マンの動画比較】

全盛期のネタ。発想に伸びがあり、バラエティに富んでいて緩急もあり面白い。僅か半年程前動画


最近のネタ。何も思い付けないまま全盛期の自分ぽい物を作る。やる気が出ないと明言する場面も


【例④.おめがシスターズ
✔ ぽこピーは本当にアホなのかな、と彼らを好きな私でも思ってしまう事が定期的にあって、その一つが同期でデビュー以来一緒にやってきたおめシスが二人だけで活動してきた事が仇となってクリエイターとして終わってしまう所を真横で見ていながら何の対策も打たず、綺麗に同じ轍を踏もうとしている事だ。

業界を大いに騒がせた出産報告を経てからおめシスは駄目になってしまったという事に関しては以前の記事で触れたが、おめシスが企画をまともに組めなくなって目先の収入を守る活動しか出来なくなってしまった最も大きな原因はブレーンでありユニットの軸であるおめがレイが子育てに時間を取られてまともに活動に向き合えなくなってしまった事だ。「ユニットのメイン+サポートの二人体制では先々まで安定して活動を続けていく事はほぼ不可能」という事の実例を真横で見ていながら何の人員も足していないのは頭が悪いとしか言いようがない。




既に始まっているぽこピーのオワコン化

✔ ここまでVTuberが5年持たない事の原因として①進出類似Vの台頭、➁V自体のデザインやモチーフ等のプロットが時代遅れになる、③視聴者からの需要の変化、④動画のネタ、質、アップ頻度で勝負する事の危険性を挙げてきたがぽこピーの場合①と➁に悩まされる事はないだろう。ぽこピーの類似Vと言えば「関西系の笑いのセンスが極まっている兄妹V」という条件を満たしていなければならないがそんなVユニットはなかなか出てこない。同クラスに面白い関西出身の「姉+弟」とか「双子の姉妹」等は強そうだが作ろうと思って作れる座組ではないので現時点で考える事ではない。➁のデザインやモチーフに関して言えば特異過ぎるピーナッツくんはさておきぽんぽこは運良く今主流の動物モチーフを採っている上に狸というのは非常に珍しく、独自性も申し分ない。モデルも定期的に替える流れできているのでデザイン的にも時代遅れになる事はないだろう。

③の需要の変化に関してもぽこピーは非常に運が良く、現環境で視聴者から一番求められる「てぇてぇ」に関しても業界において独自的極まりない「兄妹関係」を下敷きにして供給し続けている。更に時代が進んだ時視聴者が「てぇてぇ」に変わる何をVに求めるようになるかはまだ分からないが、その新しい需要をぽこピーが満たせる保障はない。それがぽんぽことピーナッツくん両方に生み出せない物だとすれば追加の人員を今から用意しておく必要があるし、ユニットごと方向転換して需要を満たすのだとしても二人だけの体力でそれを行うのは絶対に不可能だ。先々視聴者から何を求められても対応出来るようにしておくには企業化して資金を蓄え、様々な能力を持った人員を取り揃えておく事、またそういった人員をいつでも募って雇える仕組みを作っておく事が急務だ。

④の「動画の質やアップ頻度で勝負する事は危険」に関してはもう既にその兆候が表れ始めている。「パソコンが壊れた」で長期間動画のアップを休止した事が記憶に新しいが「ぽんぽこ24の準備期間」や新商品発売前のごたごた等で予定が立て込むとぽんぽこチャンネルの動画のアップは簡単に滞る。これに、特にぽんぽこの「精神的な限界」や「ネタ切れ・モチベ切れ」、「体調不良」等が重なってしまうとぽこピーの活動に長期間に渡って支障が出る事になり、ユニット自体に深刻なダメージが入ってしまう。実例は先に挙げた「はじめまして松尾ですは一カ月休んだだけで再生回数が何十万回も下がっている」だ。

また動画のネタに関しても良い調子でやれているように見えて既に限界が見え始めている。

例えば先日の大雨の中激辛を食すガチ恋企画だがこれはさらにその前の極寒の中激辛を食す企画の派生形で、明確な劣化版だ。「極寒の中なら辛さが中和されるのでは」は普通に分かるし面白い企画だと思うが「水(雨)に濡れながらなら辛さを中和できる」というのは誰も、多分本人達ですら意味が分かっていない。商品の辛さは上がっているらしいが視聴者から見た画は全く同じなのでこれは明確な劣化版になる。ガチ恋さんによる激辛商品レビューのバリエーションを生み出す事がぽんぽこにはもう出来なくなってきていて、この企画もそろそろ限界なようだ。

また2泊3日の沖縄旅行では沖縄まで遠出する手間と費用をかけているにも関わらずこれまでと一線を画すような新しい画がほとんど撮れておらず、どこで何を食べても二人して美味い美味い言うだけの画には何の新しさもないしぽんぽこの森林散策シーンピーナッツくんの猫島散策シーンに酷似している。沖縄独自の要素が無い訳ではないが「全都道府県を回る」という取り決めに従うとすればこの後にほとんどが沖縄程は特徴を持っていない県を40ヶ所も巡るという事になり、さすがにゾッとする。もちひよこミミック等誰か一人でも連れて行けば簡単に違う画が撮れて呼ばれた側も見て貰えるし、動画中にあった不測の事態で予定を大幅に変えざるを得なかった一幕も回避するか補助して貰う事ぐらいは出来たかも知れないし、札束ドッキリも企画倒れを回避出来たのではないだろうか。

行き詰ったサウナレビューに代わる形で登場した町中華レビューは非常にいい企画だが、これもサウナ同様必ずバリエーションを使い果たして行き詰る。沖縄旅行の時点で麻婆豆腐が既に二回出ている事からも分かるように町中華のメニュー自体年単位で続けられる程多い訳ではなく、各店舗の特徴も大概似たり寄ったりだ。パーキングエリアや廃墟にしても質はいいが一定期間で必ず行き詰る物ばかりで時間稼ぎにしかならない。この辺りの問題に関しても毎回ゲストを呼んで画変わりを試みるかスタッフを入れてネタ考案の人員を増やす事で解決が見込める。

ぽこピーの活動に、既に兆候を表し始めているオワコン化の波を食い止められるのは企業化と人員の増強以外にあり得ない。「活動に対して最大限ひた向きに向かい合っていて、才能もあるので動画の質は業界最高」を継続するだけでは最早不足なのだ。


タイトルとURLをコピーしました