✔ 2022年前期に「週6回行動」を宣言し、それを長らく貫いた富士葵の現状はそれ以前の惨状が嘘だったかのように向上している。動画を上げても再生回数はせいぜい2万、配信は1万を切る事がザラだったのが今は動画は3~5万がアベレージ、配信はベース2~4万程だ。
活動頻度を跳ね上げ敏腕運営キクノジョーとの2人体制のユニットにフォーマットを変え、20パターン程収録したアカペラを組み合わせて一曲にするとかいうイカれたshortシリーズを開発し芸人顔負けのコント企画を定番化し、企画のテイストを精査してポップでウケ易い物に推移させ編集の技術を1年間向上させ続ける…「週6回行動」の宣言から年を跨いだ現在まで日進月歩の弛まぬ努力を続けクリエイターとして大きく成長した富士キクは、その実何の成果も残していない。
✔ 個人勢VTuberの現状、そのサイズ・売れっぷりはYouTubeチャンネルのチャンネル登録者数ではなく動画や配信アーカイブ等日々のコンテンツの視聴回数から測れ、個人勢は動画で言うなら3万回を常時超えるかどうかが鬼門になる。飛び道具を使わねばそれを達成出来なくなったおめシスはオワコン、仕方なくグルメに絞って情報を売る形を執っても2万も危ういミミックは早急に何か別の選択肢を探すべき、配信が1万も回らなくなったふぇありすはとっくに別の分野で身を立てていて毎回15万以上は堅いぽこピーはぶっ壊れの確変状態、毎動画の再生回数「2万ギリギリ→3.5万は当たり前」の推移を達成した富士キクは個人勢Vとしては1年前と全く別のステージにいる。まだ少し差があるが追い上げ方から見て富士キクがおめシスに代わり界隈でぽこピーに次ぐ2番手のVTuberになるのは時間の問題だろう。
「週6回行動」の宣言から富士キクの各種視聴回数のアベレージに目立った変動があったのは2回だ。1回目は週6回行動宣言の直後、大体1カ月程経った頃には動画の再生回数のアベレージが「2万ギリギリ→2.5~3万」まで伸びている。「活動頻度を跳ね上げます」なんて宣言だけでファンが増える事などあり得ないのでこれは富士キクが「ちゃんと活動し始めた」事でコンテンツの質が上がり、リピーターの増加と富士を知っている界隈のリスナーの視聴率の増加が同時に起こったという事だ。「富士葵は本気出せばこのくらいは稼げるVだった」という事が知れた興味深い事例でもある。
そこからNHKのようなテイストの検証企画を擦りつつとんでもなく手の込んだアカペラショート動画で軽くバズったりしている内夏になり、富士の心が一旦折れて飛んで後復帰した直後2回目の視聴回数の変動が訪れる。それはぽこピーと「廃校コラボ」を行った時だ。
3つ前の記事で散々書いた通り、廃校コラボは概ね物凄く面白い。ぽこピー×富士キクのシナジーも物凄く、これこそ2組の進むべき道、と言った感じだがぽこピーサイドに上がった3つの「廃校コラボ動画」は導入編である1本目以外大して回っていない。今2本目と3本目がそれぞれ14万、18万という数字だがこれは何を上げても常時15万のぽんぽこちゃんねるにおいては極めて普通の数字で、つまり「富士葵サイドから持ち込めた視聴者数はゼロ」という事実が窺える。
一方Aoi ch.の方に上がった廃校コラボの3つの動画の再生回数は1本目から順に15万、9.2万、 11万という並びで、普段の動画の再生回数の平均を仮に4万とするなら順に3.75倍、2.3倍、2.75倍視聴されている計算になる。普段より多く回っている分はもちろんぽんぽこちゃんねるの視聴者がこちらへ飛んで来て視聴した分だが、「コラボをしたにも関わらず再生回数の変化があったのはAoi ch.のみ」という事実から分かるのは「Aoi ch.はぽんぽこちゃんねるの視聴者の一部が見ているだけのチャンネル」という事だ。富士キクがぽんぽこちゃんねるを見ていない独自の視聴者層を一定数抱えているのなら、廃校コラボの際ぽんぽこちゃんねる側の動画の再生回数に変化が起きないのはおかしい。
Aoi ch.の二回目の視聴回数のアベレージの変動はぽこピーとの廃校コラボの直後で、それまで調子が良くて3万を越える程だった動画の再生回数が何を上げても常時3万以上、調子が良ければ6万以上も回るようになり、「週6回行動」に端を発する富士キクの努力がようやく実を結んだ…と言い様によっては言えなくもないが実際二人が達成したのはコラボによって「ぽんぽこちゃんねるの視聴者を自分達のチャンネルに引っ張って来る事」だ。「コラボをしてもぽんぽこちゃんねる側の再生回数を伸ばす事が全く出来ない」、「ぽこピーと質のいいコラボが出来た途端再生回数のアベレージが爆上がりした」という2点がその事実を示している。
簡単に言えば2人の「週6回行動」以降の努力なんか全部無駄だったのだ。大負けに負けて言うなら宣言直後の「本腰を入れて活動する」事で得た数万の再生回数は2人の手柄だが本腰を入れて活動する事なんか有難いVTuberの職にあり付けた者としてそもそも当然の責務じゃないか。「サボっていた活動をちゃんとやり始めた」「ぽこピーと質のいいコラボが出来た」2人が行った事でチャンネルを育てるのに貢献した行いはこの2つだけで、後は全部意味が無かったのだ。無茶苦茶な過密スケジュールで一度心が折れて消えかけた富士だったがそこから復帰した頑張りももちろん無駄だ。現状を改善したいのにこれまでと変わらない努力を何倍も多く詰め込んで勝手に折れて勝手に帰って来る、こんなアホな活動遍歴は見た事がない。
私は2人が週6回行動を宣言した直後このブログの記事ではっきりと「活動頻度なんか上げても絶対意味がない、やめた方がいい」そしてその少し後の記事で「ぽこピーと一緒になるべき」と言っているがそれが完全に当たっている形だ。富士キクは「ぽこピー界隈」の片隅に身を寄せる一弱小ユニットでしかない。彼らの活動のこれからは「ぽこピー界隈の視聴者をどれだけ吸えるか」にかかっていて、その為に必要なのは活動頻度でも技術の向上でもなく「ぽこピーとのコラボの頻度とその質」になる。「廃校コラボ」そして「栃木キャンプコラボ」でそれを2回成し遂げた彼らはこれまでの倍程も増えた再生回数のアベレージにさぞかしにんまりしているだろうがその先のもっと重要な点は見落としているようだ。
「ぽこピー界隈からしか視聴者を得られない」という事は「ぽこピー界隈の視聴者の総数が減ってしまったら自分達も終わり」という事だ。ぽこピーから再生回数や拡散力、コラボ相手まで恵んで貰うばかりで何も返そうとしていない富士キクは多分その事を全く分かっていない。ぽこピーの現状は上げ調子なのか下げ調子なのか、何か困っている事は無いか、格下の自分達が彼らの為に出来る事は何なのか。富士キクだけではない、もちひよこやミミック、さえきやひろ、ふぇありす、ウィンターズに衛星ライト、人造人間ジンゾウ、フィンダーおじさん…ぽこピーから恩恵を受ける事でその身を立てているV達はぽこピーが死んでしまったらやはり一緒に死ぬしかないのだが、恐ろしい事にぽこピーという自分達の母体を支えようとしている者はこの中に誰一人としていない。デビュー以来5年、2人だけで数多のV達を養い続けたぽこピーは2022年中頃にとうとう抜け殻と化し、この度見事下降への道程に足を踏み出したようだ。
✔ 2023年初頭、ぽんぽこが単身シンガポールへ飛んだぽんぽこちゃんねる定番の旅行動画。シンガポールという安さと安全さ以外何の長所もない国にこれまで何度となく繰り返した旅行企画と同じパターンで出向いたことで視聴前から死臭しかしない動画。ぽんぽこが旅行先にシンガポールを選んだ理由は「安かったから」で海外旅行を企画したのは「正月だし何かしなきゃと思ったから」だ。何の興味もない国に義務感から一人で赴いて楽しい筈もないのに、必死で楽しかった風を装っているサムネが苦しい。
ぽこピーは2022年の中頃からずっとこんな調子で義務感に捉われネタ切れを誤魔化した状態で動画を作り続けている。それは一重にチャンネルの現状維持の為だがこのパターンに捉われたYouTuberが面白いコンテンツを作れたためしなど一度たりともない。
目ぼしい旅行先など全て行き尽くしているし、旅先での行動パターンもやり尽くしているのだが旅行動画で面白い物を撮りたいなら仲の良いVを連れてその関係性や絡みを見せていくしかない。もちひよこや富士葵でも連れて行けば今までとは全く違う画が撮れて面白い動画になった筈だがぽんぽこが遠出する企画を撮る際気軽に声をかけられる相手は仲良しVの中にすら一人もいない。「てぇてぇ」全盛のこのご時世こんなに視聴者を冷めさせる関係性はない。
✔ モチベが上がらず動画の投稿頻度が落ち気味なぽんぽこに代わってピーナッツくんが文字通り「一肌脱いだ」動画。簡単に装着するだけでどこでもフルトラが撮影出来る話題の商品「モコピ」をパンいちで装着し、記録的な寒波真っ只中の地元でアレコレやるという企画。
コメント欄に散見されるように、モコピを裸で試す必要は全くないし、シチュエーションを極寒の野外に設定する必要も全くない。彼が体を張っているのは「体を張る為」だ。酒でも飲んでいたのか何か嫌な事でもあったのか、この動画の中の彼には明らかに変なエンジンがかかっていて、過激な事をやりたくなったがネタは何も思い付かず取り敢えず外に出て服を脱いでみた、この動画の背景は大体そんな所だ。
極寒の中兄の奇行に付き合う妹だとか兄に合わせて謎に半袖になる妹だとか、ネタが切れると雪の中で薄着になりたがる似た者兄妹だとか、伝家の宝刀「兄妹てぇてぇ」がやはりこの動画の中にはあるが、5年もやってて結局それに頼るしかないのはすごく情けない。ぽんぽこだけではなくピーナッツくんも最早リソースを使い果たして空っぽなのだ。妹同様、やはり助けを乞える先はない。
✔ 自分達の母体がぽこピーで、そこから恩恵を受ける事でのみ自分達の活動が成り立っているという仕組みについて、富士はともかくキクノジョーが思い至らないのはおかしい。この件の他にも彼がアイドルVにとっては肝である、富士の脇の甘さや天然ボケに対して不寛容である事、やらせる企画がことごとく業界のトレンドを外している事やおめシスとかいうオワコンの搾りカスとコラボさせてやっぱり再生回数が稼げない事等、彼の運営としての采配はことごとく的外れだ。賢い筈の彼の運営としての言わば「仕事勘」みたいな物が一向に育たないのは彼が外に目を向けず自分の担当チャンネルに上げるコンテンツの質にのみ盲目的に拘り続けているからだろう。
✔ 0:18~ 一番企画が訳が分からなかった頃の「鶏肉を酵素洗顔で洗う」動画。序盤の企画説明で長々と喋っているが何の話をしているのか全然分からない。にじホロ、個人勢、あおぎりVすぽのどこを見ている視聴者にとっても「何やってんのこいつら」以外の何でもないだろう。
この動画に関して彼の犯した最も大きなミスは「可愛い系の女子Vを見に来ている視聴者の前に自分が率先して出て行ってしまっている」という事だ。「週6回行動」を行うに当たってぽこピーを模範とした彼は最近でもぽんぽこちゃんねるにおけるピーナッツくんぐらいの割合で尺を取って喋っているが、彼と違いメインである女性Vと全くシナジーを生み出せないキクノジョーは絶対にそんな事をしてはいけない。
そもそも待ち属性でカウンタータイプの人間であるキクノジョーが率先して前に出ているシチュエーションは「彼がそうせざるを得ない程現場が上手く回っていない」か「タガが外れてしまった彼が兵庫県民の悪癖《仕切りたがり》を出してしまっている」かのどちらかなので収録の場で彼が自分から前に出ている時点で出来上がる物は駄作確定だ。「自分が前に出る」=「いい事なんか一つもなかった」の事実確認が出来ていない彼は自分の作ったコンテンツを見直して改善点を探す時間が十分に取れていないか、すごくセンスが無くて出来の悪い物がそうだと認識出来ないかのどちらかだ。
✔ 狂おしい程にシナジーの無いおめシスとのコラボ。清楚でお行儀の良い富士は汚く乱暴なおめシスと絡むとぽこピーといる時が嘘のようにガードを固めて態度が硬化してしまう。全く特徴の違うこの2組が定期的にコラボをするようになったのは両方と関係の深いぽんぽこがシナジー等全く考えずに引き合わせたからだが、界隈の視聴者からこの組み合わせはやはり全く期待されていないようで富士葵×おめシスのコラボ動画の再生回数はそれぞれの通常の動画の再生回数と全く変わらない。自分の担当タレントが本来の持ち味を殺して雑味を出してしまうような相手としかコラボをさせてやれないのはキクノジョーが相乗効果を望めるVを探してきてあてがう努力を出来ていないからだ。
✔ 02:41~ ぽこピー以外とのコラボがほぼほぼないところから緑仙とコーサカに通話するという突拍子もないコラボ。話している様子から普段何の付き合いも無い事が丸分かりでシナジーも何もあったものではない。
しかし緑仙とコーサカという平時スカしている2人のVが絡みのない綺麗めの先輩である富士に気を遣ってその辺のニイちゃんネエちゃんみたいな素人喋りを披露しているのは結構な見所だ。いつもの尖りを捨てて只の女になった緑仙、気を遣い過ぎて富士を「フジサン」と国峰のような呼び方で呼ぶ間抜けなコーサカには一種の可愛らしさを、2人に対して先輩として上から、何なら相手を呼び捨てにしながら堂々と絡む富士からはいつもと違う、何かある種の格好良さのような物を感じる。
普段から絡んでいない、本当は仲良くもなくてシナジーもないVに単発でコラボを仕掛けるのは相手に手間を取らせるだけで何の意味もない悪手だぞキクノジョー、と思う反面やはりV同士を絡ませる事で生まれる化学反応には一定の効果が見込める事が再確認出来た動画でもあった。
✔ Aoi ch.で定期的に上がる、キクノジョーがネタを書いたコントベースの動画。ピーナッツくんの作るネタ・シナリオなんかとは比べ物にならない完成度の脚本にうぐいす譲のように美しい富士の美声が乗った、すごくシュールですごく面白い動画だが再生回数の回りは普通の範疇だ。
この動画を観て笑わない視聴者は居ないと思うが富士の今後に期待する視聴者も実はほとんど居ないだろう。この動画で凄いのは「キクノジョーのネタ作成能力」だ。富士の役はある程度以上声の綺麗な者なら他のVでも全然務められる。Aoi ch.を成功に導きたいのに肝心の富士独自の良さを売り込むという主題を忘れてしまう、キクノジョーが明確な目標を定める事なく盲目的に仕事をこなしている事を窺わせる好例と言える。
✔ 2023年の初日の出を富士が単身撮影に行く罰ゲーム動画。富士が押さえた初日の出の映像は相当な見応えと臨場感があり結構な出来の動画になっているが、これのフリとなる「体内時計のみに頼って年明けの瞬間を言い当てる」事を競う動画も企画が面白いのと2人の自宅でのプライベート時の映像が垣間見える事で見所も多く、やはり出来が良い。
「週6回行動宣言」以降企画の種類をポップで分かり易い物、要するにVの視聴者によりウケ易い物に推移させていく事と編集のテンポを上げキレを良くする事で噛み合わない2人の会話を最大限見易く面白い風に加工する事の2点に関して努力を怠らなかった富士キクの動画はクオリティを日増しに上げ、今そのレベルはチャンネル創設以来最高の水準に達している。
しかしAoi ch.をいくら観察しても動画の質に呼応してその再生回数が上下しているケースはほぼほぼ見られない。結論は一つ、「視聴者は富士葵に動画の質を求めない」という事だ。少なく見ても半年間企画と編集の推敲を怠らなかったにも関わらずそれに依る目立った数字の変化が起こらなかった理由はそれ以外に考えられない。部外者の素人が見ても簡単に読み取れるそんな事実をチャンネルの運営であるキクノジョーが見落とすのは彼にとって富士葵の成功ではなく日々積み重ねる努力の方が大目標にすり替わってしまっているからだ。
コンテンツの再生回数が跳ね上がるのは決まってぽこピーとコラボした時、日々投稿するコンテンツの再生回数もぽこピーとのコラボを境に跳ね上がっているのだから富士葵の成功の為に運営であるキクノジョーが最も優先的にやるべき事は富士葵とぽこピーの繋がりをより強固にする事で、その為に代償として向こうに差し出せる物は何かと考える事だ。ぽこピーの現状と抱えるウィークポイントをつぶさに確認する事でそれは見えてくるが、努力中毒に陥っている彼がそういった柔軟で理に適った思考を基に動いている所は一度も見た事がない。