【 ゴジラvsコング 】66点 – 映画批評 –

映像作品



※ネタバレを含みます※


批評

✔ 「ゴジラvsコング」は「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019)」、「キングコング:髑髏島の巨神(2017)」の続編である2021年の怪獣映画。「キング・オブ・モンスターズ」のヒロインマディソンを「ストレンジャー・シングス(2016)」のミリー・ボビー・ブラウンが演じ、日本からは小栗旬も参加している。

キングギドラと戦った後のキングコング、というのは尻すぼみ感が否めない。光線も翼も持たないキングコングはどう考えてもゴジラ相手に分が悪そうだがいかに…?と思いながら鑑賞を開始すると映画序盤でやはりコングはゴジラに思い切り負ける。それもゴジラは全く本気を出していない様子だ。

そこからコングと、彼をサポートする人間との実力アップの為の共同作業が始まる。今回ゴジラは繰り返し人間を襲う敵怪獣として描かれており、それを阻止するコング+人間達が主人公側になっている。より人間に協力的な怪獣が現れた時ゴジラが悪役に回るのはVS時代(1984~95)よくあったパターンだ。私のような大人からすると非常に既視感のある転換なのだがどうやらそれがゴジラファンに受けがよくなかったらしく、本作はかなり出来がいいにも関わらず少々評判が良くないようだ。



実力アップの旅路を経てもやっぱりコングは弱い。猿がベースになっているコングの、ゴジラにない強みと言えば発達した両手で道具が使える事なのだが、コングが作中で手にする武器はゴジラの体の一部を加工して作られた物で、彼が映画クライマックスで放つ大技も結局ゴジラの力を利用している。弱い主人公というのも今回一回ぐらいなら変則的で面白いかも知れないが次作以降はテコ入れをしないとさすがにマズいだろう。コングを主人公に置くなら人間が作った鎧や武器を装備しそうだが捻りが無さすぎるので余程上手い監督が担当しなければ面白くはならない。

本作では終始コングに小美人のような立ち位置の女の子が付いており、この子がハリウッドの流行のご多分に漏れず聴覚障がいを患っている。人間ほどに賢いコングがこの子とコミュニケーションを取る方法はオーソドックスながらもなかなかに衝撃的で、同時にハートウォーミングであったりもする。近頃ハリウッド映画はポリコレ系の賛美が過ぎてうっとうしくなる事もあるが本作のこの部分に関しては自然に優しく美しく描かれており、この分野における成功例に数える事が出来るだろう。

「ゴジラvsコング」はゴジラが主人公でない事とコングが弱過ぎる事で観る人によって好みが分かれそうだが1本の映画として見ればシリーズ作品4本の中で最高の出来だ。愛嬌あるコングと仲間の人間達のハートウォーミングな交流に心癒されつつ、大迫力の怪獣大乱闘を楽しもう。



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