リゼはにじさんじの中でも数少ない主人公設定を与えられているライバーだ。清楚で真面目な学級委員長月ノ美兎、その対となる文武両道の優等生剣持刀也、中高生垂涎の中二病吸血鬼葛葉に続いて「皇女」という主人公設定を与えられデビューしたのがリゼだ。事務所内に多数配置されたファンタジー系キャラクターの設定を持つライバー達の代表に当たる「皇女」という設定は殊更大きい。設定上で統べているライバーの数で言えば月ノより圧倒的に多いだろう。
その設定に負けない美しい声と清潔感溢れる人となりを併せ持つ中の人は紛れもない逸材だが、被せられた美麗なモデルもまた素晴らしい。巨乳や露出で男性リスナーに媚びる事をせずにここまで美しさを追求されたモデルのVタレントもそうはいまい。
✔ 2:26~ 最新のライブ用衣装。いつもと違って前髪に少し流れをつけてあるが、それだけでまた別物の美しさが浮かび上がる。セバス(鳥)を乗せたまま固定され、少し辛そうな左手は配信で一時間も経つと血が通わず壊死したように見えてくるが、そこはご愛敬。
✔ 44:08~ 同ユニットの二人と並び立った画。他の二人も美しいがリゼだけ明らかに別格。巨乳や露出で色を売らずにここまで目を引くVタレントは他にいない。
✔ 0:05~ ショートヘアのリゼ。どんなに美しくても徹底して上品。徹底して高貴。
上品で美しいモデルと透き通るようなナチュラル系の声優声を持っているVと言えば個人勢ではしぐれういだが、しぐれはそのステータスに反して笑えない攻撃的言動が基本ムーブになっている。また本職が絵描きである彼女は笑いのセンスやバラエティ的なスキルに乏しく、面白味に欠ける。
つまりしぐれは面白くない上に態度まで悪いという最悪のコンボを達成している訳だが、リゼは彼女とは真反対に(仲間といれば)面白い上に腰が低く礼儀正しいという出来過ぎた人となりだ。表面的な美点でおびき寄せた上で唾を吐いて不快な思いをさせる、人食い宝箱のようなしぐれと違ってリゼは決して裏切らない。人に対して失礼な行いをしたり攻撃的な態度をとる機能は中の人の人格から抜け落ちており、万全の安心感を持って視聴出来る。品と美と徳で形作られたにじライバー、それがリゼ・ヘルエスタなのだ。
前記事では話術と笑いに長けたアンジュ・カトリーナを取り上げたが、単体での配信の見所に関してリゼはアンジュに大きく劣る。強過ぎる気遣いと弱めなメンタルのせいで単体での配信時は常に探り探りで置きに行くトークスタイルだ。YouTube上で流行っているゲームタイトルを他のライバーより守って無難に実況するので配信の再生回数はにじさんじの中堅所としては悲惨な程回らず、一年も後輩であらゆる条件面で不利なフレン・E・ルスタリオと変わらない状態にある。
リゼの本領はさんばかやフレン等気の置けない仲間と組んで活動する時に発揮される。仲間と掛け合う事でコメント欄を意識する事を忘れ好き勝手に動き始めるとV界最高峰に面白い。華があるので個人勢の誰よりも引きがあり、下やエロに頼らないので月ノや大物ホロメン達より活動の幅を広く取れる。リゼは仲間と共に活動する事で業界で唯一無二のVタレへと昇華するのだ。
V界最高峰の才能や実力を持っている者達がキズナアイのリタイア以降空席になっている王座に誰一人就けないままでいるのは、全員がその為に必要な素養を何かしら一つは欠かしているからだ。
例えば最大手事務所ホロライブの筆頭候補宝鐘マリンはエロネタに頼り過ぎる上に自制心に乏しく不安定で、業界のトップを務めるには色物過ぎる。下やエロを扱わず、爽やかな可愛らしさを携えている上少々間抜けなキャラ設定で外しも抜かりない彼女の親友兎田ぺこらはとにかく面白い事が言えない。出来過ぎたキャラデザだけで食っているようなものなので今後は自分の身の振り方を考えるだけで手一杯だ。
個人勢の筆頭我らがぽこピーは根性がないので業界全体を視野に入れて活動する事から延々と目を背け続けている。自分達より倍程も才能のあるホロメン達が本番のパフォーマンスと立ち回りの試行錯誤に専念している一方で「編集とかの雑務で手一杯なんですぅ。体張っててボロボロなん面白いでしょ」というしょうもないポーズをとり続けている様子から見てこいつらのピークはせいぜい今からの数年間だろう。ぽんぽこが止まればぽこピーは終わりなので、三十路を目前に控えたぽんぽこが結婚やら子育てに取り掛かるタイミングで消えるのがオチだ。
にじさんじのボスである月ノはどう見ても活動へのモチベが切れている。軸にしているゲーム配信の再生回数が立場を鑑みるとどう見ても回っておらず、プレイ中の態度も振り切れないテンションで痛々しい。定期的に上げるネタ動画も最盛期の自分が出していた物の色違いを出すのが精一杯で、「本当はこんな事やりたくないんだろうな」と可哀想になってしまう程だ。
葛葉は淡々とオンラインゲームの配信に勤しんでいて変わらぬ様子だが彼はVタレントと言うよりモデルを被ったガチゲーマーなのでV業界がどうのという話とは関係が無い。プレイしているゲームがリスナー皆が観て楽しめる物とは言えず、汎用性のあるタレントとは言えない。ゴリゴリのDQNである事も手伝ってガッチマンのように業界の顔のような立ち位置が狙える筈もなく、ニーズがある限り今と同じ活動を繰り返していつの日か朽ちていく人生だろう。
そしてリゼは上記V達の抱えるほとんどの問題をクリアしていながら、挑戦や向上という物を極端に嫌う。目立たないよう卑屈に謙遜を重ね、失敗ではなく不安を恐れて無難な仕事ばかりを繰り返す。自分の身の安全だけが彼女の懸念点なので、少し離れた物の事は何も見えてない。例えば自分の事を妄信して身を捧げる覚悟の仲間達だとか多大な期待を寄せ愛情を持って生み出してくれた事務所だとか、媚びるのではなく突き上げて刺激を与えてくれる後輩を望んでいる心のお姉様だとか自分の為に人生を曲げて付き添ってくれた親友だとか、そんな身近な者の事も、彼女らの人生を我が身の保身なんかの為に無駄に過ごさせようとしている事も全く見えておらず、自身の責任や義務についても自覚していない。
先日幕を閉じたMOTHER実況の最終回には大変笑わせて貰った。「MOTHER実況を配信者としての最後の作品にするつもりだった」とつまらない事をもったいぶって語っていたが、要するに彼女の目線というのはそういう自分の中のしょうもない部分にしか向いていないのだ。活動初期は「美兎さんに惚れているてぇてぇ自分」を演出して自己陶酔に浸り、頼りになるアンジュも活動に慣れて用無しになったらサヨナラだ。戌亥に対しても明らかに初期より飽きてきているし散々お膳立てしてくれたフレンや、友達の名取の事も埋もれている状態から救う訳でもなく放置している。業界トップの筆頭候補足り得る才能と人脈を手にしている者が寒い自己陶酔と保身以外何も考えられない精神性の人間なのだから、物事というのは本当に上手くいかない。
以前「私は漫画の主人公のようにはなれない」と何に対してか分からない言い訳をしていたが、いやあんたは漫画の主人公なのだ。アンジュや戌亥がどう足掻いても主人公になれないのと同じであんたも主人公を降りる事は出来ない。リゼに許された選択肢は主人公か脇役かではなくどんな主人公になるか、なのだ。
謙遜こそ安全と思い込んでいるリゼは「私なんかしょうもない打ち切り漫画の主人公ですよ」と言いそうだがそこは私も同意見なので僕達気が合うね、ライン交換しよっかといった感じなのだがそうだとすればアンジュや戌亥は打ち切り漫画の脇役キャラとしての人生を歩んでいる事になる。自分の安易な保身が仲間をどれだけ貶めているか彼女には分からないのだ。気持ちが悪いのでやっぱりラインの交換はいらない。
現役を退いて歳をとった後、まだ親交のある戌亥に「この人昔は本当に才能のあるVTuberで、やろうと思えば天下とれるぐらいやったんよ」とか人に言わせて「いやいやそんなそんな」とか言っているのがリゼの将来だろう。彼女はいかにもそんなのが好きそうだ。
どうせあと10年もしないうちにババアになって今と同じ声も出せなくなるのだから「忙しく見えないようにしてるだけで本当はやれる事は(全部)やってる」とかつまらん言い訳をしていないで素直に面白いと思わせてくれる何かを、贅沢は言わないので一個でいいからやって見せて欲しい。あまりに面白くないからアンジュにチャンネル登録者数で抜かれているではないか。
可憐で清潔感に溢れるリゼ・ヘルエスタは富士葵やしぐれういを推している個人勢ファンにお勧めだ。富士のようにはつらつとした活気やしぐれのように腰の入った活動姿勢は持っていないが身内のライバーとコラボしている動画は最高に面白い。「さんばか 切り抜き」や「リゼ フレン」のようなキーワードで検索し、上がって来た物を試しに観てみるのがいいだろう。コードごと弄って作ったゲームキャラのようなチートじみた才能は、一見の価値ありだ。