✔ 今年の「ぽんぽこ24」は月ノや葛葉のような大型ゲストをアナウンスの段階で隠していたりシークレットのコーナーに多量のゲストを割り振っていたせいもあってか出演者の面子の意味で例年よりパッとしない印象だ。
舞元やばあちゃるのような古臭い上に成績も不振なVが目玉の大型企画に配置されている事もあるのだが、現状このクラスのイベント番組において「パッとする」というのはやはりホロライブを呼ぶ事だろう。
アイドル的魅力やバラエティ面での力量等あらゆる意味で最強の集団こそホロライブ、という事に関しては以前の記事で触れたが舞元やばあちゃる、そして兎鞠やガッチマンのような者達よりホロメン(ホロライブ所属のライバー)の方が優れている事を決定付ける大きな要因がもう一つある。それはVタレントの現環境において殊更視聴者を惹き付ける「てぇてぇ」の価値観だ。
Vタレントが売れる為に必要な素養とは何だろう、というのは誰でも考えた事があるだろう。
プロ声優のような声・美麗なモデル・芸人のようなお笑いスキル・企画の妙等様々あるが、現環境でVタレントの成功を最も強く後押しするのはV同士の密接な人間関係を提示する事で視聴者を萌えさせて得る「てぇてぇ」のパワーだ。今は仲間と生身の関係を築き視聴者に「てぇてぇ」を最も感じさせられるVやその集合体が一番強い。
にじさんじがホロライブにあらゆる面で大きく後れを取っている事に関してホロライブを知らないVファンの多くは「ホロライブはカマトトぶった女性ライバーの表面的な可愛さでアホなリスナーを騙して金を巻き上げてる。ぽこピーやにじさんじの方が絶対に面白い」と思っていそうだし、実際私もほんの一月程前までそう考えていたのだが、まずホロライブには月ノやぽこピー並に笑いの技量に長けたライバーやその組み合わせが普通に存在していて、プライベートの曝け出しやネタのセンシティブ具合、一ネタ毎の捨て身具合は彼らより勝っている程だ。
そして学生時代そこそこ勉強して一般的な大学を出たようなまともで落ち着いた者も多く、そういった層は得てして思い切りよく表面を飾ってぶりっ子や色仕掛けに興じるような事は苦手だ。そんな一般人に近い内面を持った者はタレントとして見るとある種のダサさのようなものを常に纏ってしまうのだが民度や人間的なまともさ、常識の点に関して言えばホロメンはにじライバーをずっと上回っている。
志の高い真人間達が一所に集まり試行錯誤と切磋琢磨を繰り返す日々を過ごしているホロライブは、今業界で最もいい空気の流れる場所だ。少しでも配信を面白くする為に企画の練りや話術の向上に努め、いい所を盗みたいと仲間の配信もよく見ている。あらゆる意味の「面白い」が最も価値を持つホロライブの空気がホロメン達をそうさせていて、彼女達は自分には出来ない方法でそれを成せる仲間に好意やリスペクトを反射的に抱いてしまう。それを下敷きにしたホロメン達の人間関係は同僚と言うより家族に近い物があり、そこから日々上質な「てぇてぇ」が生まれ続けている。
毎日頑張っているホロメン達には申し訳ないが、正直彼女らのライバーとしての技量も大したことはない。ホロライブで一番売れているのは兎田だが彼女はモデルや設定等の表面的なキャラデザと中の人のキャラクターが奇跡的なマッチングを果たし強力な相乗効果を生む事で多くの視聴者を惹き付けているライバーだが、それ以上の物を何も持っていない。頭の中で物事を練るのが苦手な彼女は単体で配信をしても面白い事など一回も言えない。botのように「○○しようと思いますぺっこー♪」と繰り返す事と、ガラス窓を水拭きする音みたいな引き笑いで間を持たせているだけだ。おまけに精神的な余裕に乏しくキレ癖があって、人や企画に対する対応力が皆無でパフォーマンスには幅がない。
次に売れているのは兎田と同期の宝鐘だが彼女はセンシティブなネタを一方的に連射するスタイルを封じると何も出来ない。そういったムーブは身内相手にしか使えないので宝鐘の対外能力はゼロだ。意識が高いのでホロメンには珍しく、自ら事務所外にコラボに出向いたりしているがアンジュのように絡み易く、比較的共通点の多い者を相手にしても一向に要領を得ず、いつもの1000分の1も面白くない。気遣いの人であるアンジュも宝鐘のあまりに意味不明な言動に辟易として冷たく、それでも頑張って色々喋っているがそのほとんどは意訳すると「何なのお前絡み辛いよ本当」である。
そして宝鐘は度の強いDQNでもあるのでリゼのように粗が無く大人しい者を相手にするとどう絡んでいいのか分からなくなり、その事自体にイラ立ち執拗に攻撃を加え始める。リゼに狼藉を働く様を見た際に湧いた殺意は今でも忘れられない。にじさんじが好きでホロライブを知らない視聴者がリゼやアンジュとコラボをする宝鐘を見て思うのは「ホロライブは色を売ってるだけのクズの集まり」以外にあり得ない。自分からコラボに出かけてマイナスだけを量産して帰って来るなど完全に本末転倒で、ライバーとして素人以下だ。
しかし酒を飲む度「こんな自分がアイドルなんかやってていいぺこかなぁ」と涙する兎田やそれを支えて慰める三期生のエピソードだったり、この仕事や日々の配信、そして同期を筆頭とした仲間達に加えてあろう事かリスナーまでをもあまりに強く愛している宝鐘の様子を目にしてしまうと至らない箇所など完全にどうでも良くなってしまう。若者が自分の全てを投げ打ちひたむきな気持ちで活動に励み、また志を同じくする仲間と支え合う姿はあまりに魅力的で、長い間アイドル等のタレントを追いかけていてもなかなかお目にかかれない。兎田や宝鐘、ひいてはホロライブの事も特に好きではない私ですら激しく胸を打たれるのだからファンなら猶の事だ。所属ライバーの技量や素養に大した差のないにじさんじとホロライブで決定的に違っているのが、こういった視聴者に「てぇてぇ」と感じさせる関係性やエピソードの多寡だ。
「てぇてぇ」がVタレントの成功に密接に関わっている事は業界の各所で確認出来る。活動への熱意を所属ライバー達が日増しに失っていくにじさんじにひたむきな想いやハードルを越えようとする意志など存在せず、にじライバー達はお互いをたまたま同じ事務所に居合わせただけの同僚以上の何とも思っていない。「てぇてぇ」はそんな事務的な関係からは生まれない。「てぇてぇ」が生まれた瞬間は必ず切り抜きとして残されるものだが最近にじさんじ関連の切り抜きで多いのはライバー単体が上手い事言った時の物ばかりである。にじさんじがあらゆる面でホロライブに負け通しているのは誰でも知っての通りだ。
「てぇてぇ」を生み出すのが困難な単体の個人勢VTuberは皆下方推移だ。毎配信の再生回数・チャンネル登録者数共に個人勢のトップで唯一絶好調のしぐれは「てぇてぇ」の温床ホロライブとほぼ一体となる事でこれを成し遂げている。ぽこピーをよく見ている視聴者は「おめがシスターズ」と「富士葵&キクノジョー」をよく知っていると思うがこの三組それぞれの関係性は「兄妹」、「昔からの親友同士」、「運営とタレント」で生み出し得る「てぇてぇ」の量順に並べた時にそれがそのまま今の売れ方の順になっている事が確認出来る筈だ。
ホロライブの内部でも「てぇてぇ」の差が物を言う。「てぇてぇ」が生まれた瞬間は必ず切り抜き師によって切り抜かれるが、人が好きで女子が好きな宝鐘はあらゆる形で数多くの切り抜きに登場する。ホロメンの誰か一人でも追っていれば宝鐘を無視するのは最早不可能で、また誰とでも上手く絡んでいるので嫌でも一度は宝鐘が出ているアーカイブを見に行くことになる。宝鐘はとにかく女子と絡みたいだけなのだが結果として切り抜きによる宣伝活動が一番上手いのは間違いなく宝鐘で、業界でトップクラスに売れている現状がそれを物語っている。
山程あるホロライブの切り抜きに、一期生以上のホロメンはあまり登場しない。彼女らは二期生以下のホロメン達とあまり上手く絡めておらず、「てぇてぇ」を生み出す機会を逃し続けている。唯一頻繁に切り抜きに登場するさくらみこはやはりよく売れていて、ホロライブだと三、四番手辺りに着けている。一期生の白上フブキや夏色まつりは二期生以下とよくコミュニケーションをとっているようだが白上は飄々として本心を出さず、汚れる事を避けるので素の感情を露に裸のぶつかり合いをする事が必須な「てぇてぇ」の産出に向いていない。夏色は反対に後輩達にゼロ距離まで近づいて口説くような百合絡みをよくやっているがその様子はあまりにリアルで生々しく少々怖いぐらいで、エンタメの域を出てしまっていてよろしくない。例えるなら生存ルートを辿ったギバラとでも言うべき存在で、そんなものはさすがにてぇてぇとは言えない。
ぽこピーを見ていて本当にアホなのかなと思うのは、「いい歳になっても実家で同居している兄妹」という業界で唯一の関係性が生んだ独自の「てぇてぇ」のお陰でここまで見て貰えているにも関わらず、V同士の関係性が生み出す「てぇてぇ」の力に全く着目しておらず「企画の質」と「活動頻度」の向上にのみ注力している点だ。
今後の活動方針について思案する際に「自分達の長所や他にない武器、独自性やセールスポイントはなんだろう」と考え平和堂のチラシの裏にでも箇条書きにしてみれば一番か二番に「兄妹属性」が出る筈なのに、それを見落としているという事は動画編集等の雑務に追われて今後について思案する時間すらも設けられていないのだろう。
バカが売りのぽんぽこならまだしも「屁みたいな色をして体臭までガチで臭いんならそれはもう屁なんよ」な横のブレーンまでもがこれではつくづく先が思いやられる。