【③.同僚は他人、後輩はお荷物 ~愛なき箱が育むもの~】
✔ 1:33~ ここ最近でデビューした中ではそれなりに好成績な先斗との初タイマンコラボ。「緊張して今日ダメかもしれないですぅ///」というよくある可愛いやつを「じゃあ配信終わろっか」と冷たく突き放す。星街のような上位存在が相手だと笑って誤魔化す以外何も出来ないのに下が相手だと急に態度がでかくなる、これがにじライバークオリティ。
この配信のフレンを見ればにじさんじに同僚と仲良くするだとか、後輩を愛でるといった気風が存在していない事が分かるのではないだろうか。フレンは恐らく先斗の事を実質後輩と認識すらしていない。
こうして先輩から冷淡に突き放される扱いを受け続けた先斗が数年後どうなっているかは想像に難くないだろう。にじさんじは創立以来その流れを連綿と受け継ぎライバー同士の結束が皆無に等しく、今事務所ごとどん詰まりの状況にある。
✔ 5:49~ 宝鐘と湊という今ホロライブで最も人気のあるコンビの一つによるフリートーク配信。「TALK THEME」の欄に「私を産んだ時どう思った?」とあるのが見えるだろうか。これは湊による宝鐘への質問で文字通り「お母さん、私を出産した時どんな気持ちだった?」という意味で、それを受けた宝鐘も「やっぱりマタニティブルーが大変で」と当時の心境を語り始めるのだが、それがどういう事かお分かり頂けるだろうか。──分かる人いたら誰でもいいから教えて下さい。
湊と宝鐘は先輩と後輩の関係だが、同じ関係である前記事のアンジュ・壱百満天原やフレン・先斗と比べると全く趣が違うのが見て取れるのではないだろうか。アンジュのあくまでビジネスなスタンスやフレンの高圧的で冷た過ぎる関わり方だとこういった独自的な関係性は作れない訳だが、今はこういうのこそがリスナーに一番ウケるし、こういった関係の温床であるホロライブはだからにじさんじに圧倒的に勝っている。
湊と宝鐘のような関係性がにじライバー達の物と大きく違うのはテーマや企画など何でも良くなってしまう点。前記事のアンジュ・壱百満点原は夢小説、フレン・先斗は「浮気ってどこから?」のようなボーダーラインを話し合う企画を用意しているが、その二つについて本気で興味を持つリスナーが果たしてどれだけいるだろうか。アンジュの癖や妄想については何年にも渡って聞かされ続けていい加減もううんざりだし、頭のおかしいフレンの物事を測る尺度など聞くだけ時間がもったいない。それなら行き場のない母性に侵されいつからか同僚を我が子と本気で思い込むようになってしまったイカれた女の狂気を観ている方が笑えるし、「私を産んだ時どう思った?」とかいう今ここでこの二人からしか聴けないトークを楽しみたいし、そんなぶっ飛んだ絡みが出来る程相性の良い仲間に出会えたライバー達の幸運な幸福に触れて癒されていた方がいい。
相性の良いV達が垣根を越えて築き合った「てぇてぇ」には「A.リスナーからの需要を最大限強力に満たす」「B.関係性自体が見所なので準備の類がほぼいらず省エネ」「C.にも関わらず独自的で希少価値の高い配信が作れる」さらに「D.配信中ライバーはほぼ遊んでいるようなもので心労やストレスとは無縁」という多くのメリットを内包している。
✔ 1:01~ 湊のホラゲ配信に通話で参加する宝鐘。この配信中湊がどのタイミングで連絡を寄越すかは事前に決められておらず宝鐘は裏でずっと待機していて、切り抜きの最後まで観れば分かるが配信時間一杯まで結局裏で並走し切っている。コラボでも周年記念でも何でもない同僚の通常配信に音源を用意してキャラまで新調し、ただひと時の盛り上げのために参加するサービス精神には只々脱帽。──同時に実の母を超える程の無償の愛の投げかけに宝鐘の想像育児の本格化が窺え、ほのかな恐怖の後味を覚えるという多層的構造。
近頃加速度的に量産されている宝鐘と湊のこういった絡みからリスナーは「①.宝鐘って愛情深くていい人なんだな」「➁.同僚からこれだけ愛される湊の魅力ヤバくない?」「③.宝鐘のボケ能力エグい」「④.湊のボケ処理能力意外と高いな」「⑤.仲良過ぎてこっちまで幸せになるんだがwww」等様々な情報を受け取り、また思いを巡らせる。これは素人同士が交わす夢小説談義や冷たい先輩が後輩を言葉数少なく突き放す安易なノリと比べると遥かに複合的で独自性が高く、またライバー達の生の感情がベースになっているためとても刺激的で、加えて流動的でもある。リアルタイムで起こり続ける生の化学反応から目が離せなくなってしまう。
✔ 15:27~ ニュイ・ソシエールはアンジュと最も仲の良いにじライバーの一人だがその関係性はあくまで同じ職場の同僚、つまりビジネスなため何年経とうが関係値が高まらず関係自体が変化せず、二人のストーリーが進行しない。
この切り抜きの「貧乳がよ」「ライン超えたな」という貧乳イジりのプロレスも何年も関わっている同箱の仲良しコンビの物としては浅くテンプレ過ぎて何も面白くない。互いがラインを決めてそれ以上踏み込まないよう心掛けているのは明らかだがその時点でてぇて味がゼロだし刺激も臨場感も何もなく、惹き付けるものがない。
✔ 0:02~ みこめっとによる「すいちゃんは~?」「今日も小さ~い!」。今日び貧乳イジりはこのくらいでなければやる意味がない。
ニュイ・ソシエールと同じように相方の貧乳をイジっているだけのように見えるが星街のお決まりの挨拶を聴き込んでいるからドンピシャのタイミングで出た合いの手形式のイジりだし、二人三脚の態勢で活動していて互いを知っているからこそ出来るライン際々の一番気持ちの良い所に突き刺さる力加減だし、結果「貧乳がよ」「ライン超えたな」などというbotのようなやり取りからはかけ離れた独自性を纏い、この「今日も小さ~い!」というワードは箱全体のキラーワードとして定着している。
貧乳イジり一つとってもライバー同士の関係値の如何でこれだけ差が出るし、またホロライブとにじさんじでは同じカテゴリーのパフォーマンスでもこれだけの差が出てしまう。