✔ 0:48~ 「スタッフからのタレント扱いで天狗にならないよう気を付けたい」話をする天音。休止明けから「自己肯定感低い」「親が毒親」に並んでよく擦るようになったのがこの「腰が低く礼儀正しい人間でいたい」といった類の話だ。前記事で挙げた例と同様、この類の心構えの話も基本的に配信を面白くする事はない。
大空以上のような成功している、サイズの大きなホロメン達の中に「礼儀正しい」がメイン属性の人間がいない事を見ても分かるようにこの手の人気商売で「腰の低さ」「礼儀正しさ」は反対側に大きく逸脱さえしなければ基本的にどうでもいい。業界研究をコツコツと続けセンスをアップデートし続ける事だとか人脈の構築だとか、スキルの磨き上げだとかここで天音が話している事よりずっと大事なポイントがこの職にはいくらでもある。
優先順位が低い上にここで話しても利がない話を天音が何故ここで話している、もしくはここ最近の活動上の優先事項に設定しているかと言うと、それはやはり上の例と同じく幼い頃から母親にそうするように叩き込まれてきたからだ。礼儀正しく腰を低くさえ構えていれば母親からのヘイトを逸らす事が出来た幼少期が天音を「そうせずにはいられない人間」「そうする事で精神が安定する人間」に形作ってしまった。普通の人間にはない、ない方が自由で生産的で自分の人生を生きられるこういった縛りが天音にはたくさん、それはもう本当にたくさん仕込まれている。
この「礼儀正しくいたい」という話をする天音の様子をよく観て欲しい。「自分の考えに基づいて」「自分の感性を頼りに」「自分の意志で物を考えて」「自分の生き方について話している」と信じて疑わない様子だが、実のところこれは全て「礼儀正しく誰に対しても下から接しろ」「そうでなければお前は存在していてはいけない」という母親の異常な教えに従っているだけで、言ってみれば操られている状態だ。───その事実を理解した上でもう一度自分の意志で自分の考えを話しているつもりの天音の様子を鑑賞してみて欲しい。こんな可哀想な生き物が他にいるだろうか。
こういった形で天音が人として人らしく自分の人生を生きていた瞬間はホロでのデビュー前も含めて今まで一分一秒たりともない。幼い頃母親が自分に刻み込んだいくつものソースコードに従ってのみ生きそれが自分という人間で自分由来の意志で、これが自分の人生なんだと錯覚しながら生きるようにプログラムされている、それが天音という哀しい生き物の実態だ。
✔ 前記事で一番上に挙げた配信の(32:26~)で天音は「自己肯定感上がってきた」と自分の成長を感じて希望を胸にうきうきとした様子でリスナーに向け語り掛けているが、この時天音は「自分をガラクタの失敗作に作り上げた母親」という実際には居もしない敵と戦い「自己肯定感の低さを改善すべき」というありもしない課題に取り組んでいる。
「自分は間違っている」という今ではもう世界中で自分しか思っていない強迫観念に支配され何も間違っていない自分を叩く事に天音はやりがいを感じている訳だが、これは天音の母親が幼少期の天音に対してやっていた事と同じだ。過去の境遇に気付き人生を一歩前に進めるために行動を起こしても結局やる事は同じ「自己否定」により自分の人生の時間を無駄に消費する「自己破壊」で、発想や行動パターンは否定し憎しみの感情すら向けている筈の母親と全く同じ………天音は幼い頃母親に叩き潰された時点からやはり一歩も前に進めていない。実際より数倍あくどく凶大に膨らませた頭の中の母親の手のひらの上で同じ場所をぐるぐると回っているだけだ───「私変わったよ!」「成長した!」「自己肯定感上がってる!」そんな言葉を嬉々として叫びながらぐるぐる、ぐるぐると同じ場所を………哀れ過ぎる。もういっそのこと誰か殺してやって欲しい。
その事実は休止に入る前、一年程前と比べて何も変わっていないVとしての天音の現状を見ればすぐさま確認出来る。「能力的には4期以下で一番の筈なのに数字は横並び以下」、「【てぇてぇ】が生まれる程の親しい間柄の同僚が一人も出来ないまま」、「活動領域はそのほとんどが自分のチャンネルの中に限定され」「新機軸を一つも打ち出せていない」。自己肯定感がとか過去が云々とか抽象的で雲を掴むような話を繰り返すばかりで実際実のある動きは一つもしておらず現実を改善出来ていない訳だが天音の人生はここから先少なくとも十年程はこんな調子だ。「自分は間違っている」という強迫観念による「自己否定」の「自己破壊プログラム」、夏色同様幼い頃周りの大人によって打ち込まれたソースコードに従ってのみ天音は生き、文字通り自分の人生を破壊するだけの人生をここから歩んでいく。
天音は今兎をペットとして飼育していて、話を聞いていると近々で病気にかかるか何かしたらしく、もしかするともう長くないのかも知れない。兎も色々だがどれだけ寿命が長い種でも十年も生きない筈なので、デビュー以前から飼っていたのならそろそろだろうし、デビュー後の飼い始めだとしても寿命の結構な割合を既に済ませている事になる。
その兎が死んだ時、天音はきっと人並みにわんわんと声を上げて泣きながら頭の片隅でどこか冷静に「なんだ、自分ってこういう時泣けるんじゃないか」「意外と普通の人間なんじゃないか」と思う。愛情をもって飼育していたペットが死んだ時にそれとは別の事を逡巡して100%の気持ちで悲しんでやらないなんてやはり天音はどこか人間味がないのだが、その時天音が思う通り、天音は極めて普通の人間だ。根がDQN過ぎていい歳して地の民度の低さが抑えきれない宝鐘だとか、アラサーにして小学校低学年程度の知能しか持たない兎田だとか、利己的に人でなし過ぎて貧困な人生を送って死ぬだけの星街だとかどれだけ努力してもスターには絶対になれないさくらみこだとか群生動物レベルの低次元な生き方しか出来ない大空だとか、そういう独自の魅力や長所もあれば反対に目も当てられない程悲惨な短所もある他の面々と何も変わらない、天音はそういう極めて普通の人間だ。
兎田………じゃなくて兎が死んで泣いている時に「なんだ自分って普通じゃないか」と思うのと似たような経験を何度となく重ね、天音は長い時間をかけて「自分が他の人と変わらない普通の人間だった」事実に気付いていく。
たまに気が乗って何かのプロジェクトを全力で上げてみればそれ相応の評価を寄せられ報われる人生を歩める可能性とその権利が自分にもある事に、思いもよらなかった誰か、例えば火威のような明後日の誰かから突如好意を寄せられ自分にも生来の魅力や美点が少なくともいくつかはあるという事に、自分と同じ形で自縄自縛の哀れな人生を歩んでいる若者を目撃して自分が決して特別な事例などではなかった事に、自分と同じ苦しみを抱えた先達が実社会で大いに活躍している事実に、年老いて小さくなり覇気を失った母親を見て自分を苦しめている悪夢がちっぽけでバカな女がそれゆえに犯した過去の過ちの一つでしかなかった事に、天音はゆっくりと時間をかけて気が付いていき、そしてその終わりに「自分も他の普通の人達と同じようにストレートに生きるべきだった」事、そして「それ以外に選択肢などそもそもなかった」事に気が付いていく。
天音と同タイプの人間は世の中に結構な割合で存在していて、その全員がやはり天音と同じ作業を重ね同じ事実を理解していく訳だが、その作業は図ったように若年期を終え人生にも自分自身にもある種諦めがつく35歳を過ぎた辺りで終えられる。自分の過去の境遇に気付くのが遅過ぎた天音の場合もう少し長くかかるのかも知れない。
女性としてでもいいしVTuberやアーティストとしてでもいいが、そういう属性の人が少なくとも35歳までの若く瑞々しい期間を他の大多数なら生まれた時から分かり切っている「自分は普通の人間だ」「普通に素直に、ストレートに生きていいしその権利がある」と気付く事だけに消費する人生は紛う事なき悲劇だ。他の同じような人達と天音のタイプで決定的に違うのはここで、女性、VTuberのような天音の属性を考えるとそれがとにかく痛い。
「自己肯定感上がってきた」みたいな何とも関係のない話を目をバッキバキに見開いてする天音の様子を観て欲しい。35歳までの若年期間の全てを無駄にする人としてさもありなん、な様子ではないだろうか。