✔ 2018年までに二本製作されている映画シリーズ「デッドプール」と言えば「第4の壁」を行きつ戻りつしながら連打される「①キレキレのギャグ」と、それに勝るとも劣らない品質で独自のインスピレーションにも溢れた「➁秀逸なアクションシーン」の数々、そして予測不能でテンポ良く展開されていく「③ストーリー展開の妙」、大体この三つが合わさって成り立つ良作シリーズなのだが、大抵の場合作品ごとに監督が代わればそれらは受け継がれず作品の質は崩壊してしまう。
今回はそうならず、今作の監督は前作「2」のデヴィッド・リーチ(ジョン・ウィックのアクション監督)から見事「デッドプール」の血脈を受け継ぎシリーズを本当の意味で存続させる事に成功しているが、それは映画のオープニングでデッドプールがとある人の遺体を武器にしてモブキャラ達を調伏するシーンで大体及び知れる。センスのないタイプの監督だとこういうシーンはまず間違いなく撮れない。───比較対象として「オープニングから【あ、こいつダメなタイプだ】と勘付かせる、本作とは真逆のタイプの監督」を挙げるならこの記事の一つ前の記事で書いた「ザ・フラッシュ」の監督なんかが正にそれだ。或いはウルヴァリンが本作で何度となく見せた戦闘態勢に入ると同時にとる爪を出し両腕を広げてのクラウチングスタートのようなお決まりのポーズと「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」でのそれをDisney⁺ででも確認してみて欲しい。後者マジ酷いから。
序盤から「木で作った墓標の下に埋められ骨になったあの人(めっちゃ硬い)」「アベンジャーズ入りを熱望し我々のよく知るあの人に面接を受けるデッドプール」「シリーズ通しでの仲間達に囲まれ幸せを噛みしめるデッドプール」「TVAによる突然の接見」等「本作シリーズ」「MCU」そして「X-MENシリーズ」を知っていれば知っている程楽しめる、寧ろ知らなければ何も分からない作りになっているが、その流れは予告編にも入れ込まれ古くからのマーベル映画ファンを大変驚かせた「パイロ・セイバートゥース(旧X-MENシリーズのヴィラン。役者も当時のまま)の登場」辺りまでどんどん加速していき、その後も留まる処を知らない。マーベル映画を長年追って来たオタク客達(全員男性)に目くばせしつつ一方で一見さんは完全にお断りするマニアックな映画、それが本作だと言えるだろう。