
「全く近頃のガキはァ、」
「何や、”声かけ事案”、て」
「声かけたらアカンかったら」
「どないして注意したらエエねん……」
子供達を追い払い正門から中庭に戻ろうとした老人の背に、”ガリ巨乳美女”が声をかける。
「ふぇっ!!!!!?」
「………………………」
「あぁ、えろうすんません」
「大きな声出してしもて………」
「……………なんぞ、御用で?」
「……………えぇ、」
「主人?」
「この屋敷の?」
「……………あぁ、」
「……………えぇまぁはい、」
「あのー…………」
「…………………おりますよ?」
「……………主人」
「御在宅………だと思いますね」
「思いますと言うか何と言うか…………」
「まぁハイ」
「……………イケメン?」
「イケメンかどうかはちょっと……………w」
「まぁかも分かりません」
「イケメンかも分かりませんね」
「何せ見たことない………」
「じゃない!」
「若い方の”イケメン”と」
「我々世代の”イケメン”」
「なかなかどうして差のあるもんでしょうから………………ホホ」
「……………え、」
「中?」
「……………えぇ、えぇ」
「それはもうご自由に」
「ワタクシ今はもう何も関係ない………」
「じゃない!」
「……………」
「……………あの、」
「……………旦那様は中でお休みでしょうから」
「ご自由にお会いになって頂ければ」
「……………あのー、」
「主人?」
「も、お喜び……」
「存知?」
「上げる?」
「でしょう……?」
「から?」
「……………ねェ^^」
「……………」
「……………いえいえ、」
「とんでもございません」
「それではワタクシめは仕事に戻らせていただきますので」
「どうぞご自由に」
「いえいえ、」
「はい。」
「いえいえ、」
「それでは………^^」
“ガリ巨乳美女”が屋敷の玄関扉までの長大な距離を遠ざかっていく。
「……………」
「……………いや、」
「危っぶな」
「まさか人が来るとは」
「じゃあ」
「今人住んでんねや」
「ここ。」
「……………」
城のようですらある、
屋敷全体を見渡す。
「……………」
「……………どう見ても」
「廃屋やけどな」
「……………」
「ズラかろう」
「面倒なことなる前に」
足早に正門を抜けようとして、ふと先程の”ガリ巨乳美女”に思いを馳せる。
「…………何や、」
「何か見覚えのある気が…………」
思い出せない。
「……………」
「……………」
「……………まぁ、」
「ええか。」
「エエ女ではあった」
正門を抜ける。
「今日は」
「さっきの女でしよっ/////」
玄関扉の開閉音は、
全く聞こえなかった。