✔ 前記事までで触れた新機軸『公式動画勢化プロジェクト』はホロメン達を「YouTuber」として見た上で”配信勢”→”動画勢”へと鞍替えさせる案だったが、ここではホロメン達を「アイドル」として見た上での案について触れていく。
本題に入る前に少し「アイドル」という種族の歴史について触れておきたいのだがその起源を一旦70年代の末頃とするなら、その頃アイドルは必ず【①単体】の形式だった。──────一番有名なのは松田聖子だが他にも山口百恵や小泉今日子、松本伊代、早見優、堀ちえみ、荻野目洋子、(この辺りから80年代後半)井森美幸、斉藤由貴、南野陽子、国生さゆり、中山美穂……………今の若い世代でも名前だけは知っているような70~80’sレジェンドアイドルは皆必ず単体の形式で活動していた。
90年代は小室ファミリーという気持ちの悪い集団が支配していた時代なので「アイドル」で言えば空白の期間が続くのだが、後半になるとあの「モーニング娘。」が誕生する……………のだが、これは70~80年代と打って変わって【➁集団】の形式だ。不遇だった90年代初頭~後半までの休眠期間を経て復活した時、「アイドル」は【①単体】→【➁集団】へと活動形式を変え、そしてこれが爆発的な成功を収めている。
ホロライブは言うに及ばず【➁集団】の「アイドル」VTuberグループだが、上記オリジナル兼実写版の「アイドル」に倣ってその起源を思い起こしてみるとやはり【①単体】の形式だった。2016年の「キズナアイ」でも17年の「ときのそら」でもどちらでも構わないがやはり「アイドル」VTuberも実写版と同じく【①単体】の形式で始まった上でそれなりの結果を残した後→【➁集団】へと形式を変え爆発的な成功を収めている。──────その間のしばらくの期間を(“にじさんじ”という)気持ちの悪い集団に抑えられ鳴りを潜めていた経緯も同じだ。
何の因果か、「アイドル」VTuberグループことホロライブはオリジナル兼実写版の「アイドル」と同じ歴史を(超高速且つ短期間のうちに)繰り返した後同じように大爆発を起こしている。(キズナアイやときのそらが)最初【①単体】の形式で活動をスタートさせたのは「資金的理由」とそれが「試金石的運用」だったからに他ならないが、その後すぐにホロライブという団体が「アイドル」VTuberの形式を【➁集団】に変化させたのは間違いなくオリジナル兼実写版の例に倣ってのことだ。──────「アイドルと言えばやっぱ集団でしょ」という一見短絡的な思考で成されたテコ入れのようだが、ホロライブの運営が「やっぱ集団でしょ」と思ったのは90年代後半の「モー娘。」以降の実写版アイドル達が確立してくれていたその形式=現代における「アイドル」の正解、という前提を目で見て知っていたからに他ならない。
つまり業界最大の「アイドル」VTuberグループことホロライブはオリジナル兼実写版の「アイドル」の歴史をなぞった結果成功した。──────これが一つ重要な点だ。
オリジナル兼実写版の「アイドル」の歴史に話を戻すが、【①単体】→【➁集団】へと形式を変えた後、このジャンルは現在までの間に更に進化を遂げているのだが、お気づきだろうか。
そう、2005年に活動をスタートさせた「AKB48」による【➁集団】のその先のコンセプト、【③会いに行けるアイドル】だ。AKBは当時「モー娘。」により既に定着していた”「アイドル」と言えば【➁集団】”のコンセプトを当然のようにベースとしてチームを組んだ上でその上に【③会いに行ける】の属性まで乗せファンとのリアルで直接的な関わりまでもを商品価値に盛り込んだ。──────大成功を収め、そこから20年間実写版アイドルの界隈で頂点に君臨し続けた結果を見ても分かるように、【③会いに行ける】は「アイドル」というエンタメジャンルの正当進化形態だ。
【③会いに行ける】は2005年にAKBがその発足と共に確立した形式なのだが、そこから20年の間にこのグループはもう一つ【④各主要都市(海外含む)への拠点の確立】もやって除け、これも大成を収めている。──────要はSKE48(名古屋)、NMB48(大阪)みたいな拠点を東京とは別に設けた姉妹グループの話だが、それぞれが独立したブランドのように機能し何人ものスターを生んでいるあたりこれも「アイドル」の一つの正当進化形態だと考えていいだろう。
つまりその起源から「アイドル」というエンタメジャンルが辿った形式の軌跡は【①単体】→【➁集団】→【③会いに行けるアイドル】→【④各主要都市への拠点の確立】だということになるわけだが、オリジナル兼実写版の「アイドル」の歴史をなぞった結果成功したホロライブは、まだこの軌跡の【①】~【➁】までしかなぞっていない。──────【③】~【④】までもを続けてなぞったならさて何が起きるだろう、というのがこの記事のテーマであり”Answer.B”、つまりAの『公式動画勢化プロジェクト』に続く二つ目のホロ改革の新機軸だ。