あるユニコーンの夢《女〇器、温まっちゃった……》include:[兎田ぺこら]*[さくらみこ]*天音かなた*風真いろは*AZKi*綺々羅々ヴィヴィ*天晴ひなた*B’z*ホロライブ/「天晴ひなた」か「天音カタナ」かどっちかみたいな名前の……/彼(カノ)ピッピが相手でも/兎田ぺこらの大水害(#^.^#)/~リスナーのみんなへ、愛を込めて~/異性愛者(ストレート)なんて許せねぇよなァ!!!!?/「YAGOOも女です。」/可哀い、可哀い、可哀想な子/まじきち、画策す……/今日なんか、まじきちとごじゃるがクリスマスパーティー配信、するんだってぇ……?/ぺこみこ大戦争(意味深)/Vの怖い話

VTuber


《女〇器、温まっちゃった……》2/4「不仲なのは仲良過ぎるから」




「収まんないズェ、」「やっぱり」

先にホールケーキを入れたのが良くなかったようで、〝明日の朝用〟らしい箱入りホールピザ・・・・・がどうしても冷蔵庫に入りそうになかった。

「どうすんだズェ、ピザ」「悪くなっちゃうズェ、これじゃ、、、」

「…………………」

買ってきた物の片付け作業も手伝わないまま、私の服の裾を両手で掴んで付いて回っているコイツに、肩越しに声をかける。

「…………いっぱいあったほうが、」

「何?」

「いっぱいあったほうが楽しいと思った、」「ちょろ」

「いっぱいってお前、」「食えないズェ、女二人でこんなにいっぱい」

「…………………」

唇を尖らせて俯き、ぷっくりと拗ねている顔を見ていたら

無性に意地悪がしたくなった。

「呼ぶズェ、もう」

「…………………え?」

「派閥のみんなも」

「えっ!」

「今年はみんな呼んでパーっとやる感じでいこうズェ」

「えッ、」「えッ、」

「たまにはいいズェ、毎年毎年同じパターンじゃなくても」

「えッ、」「っ、」「らぁっ、、、」

両手を服の裾から右手に移し、腕に体ごとを擦り付けながらピョンピョン跳ねる。

だぁ、、、」「ちょろぉ~、、、、」

二の腕がニット越しの胸に挟まれザスザスとしごかれる。

「わ、分かった、」「分かったから」「止めるんだズェ」

取り落としそうになったピザを一旦テーブルの上に避難させる。

「一旦食べ始めちゃうか、」「冷めちゃうしな、アレも」

テーブルの上の〝今年はこれにしてみた〟と言ってコイツが置いた、鳥丸ごと一羽を焼いたメインディッシュの箱を指差した。

「…………………」

「な?アレと酒で一旦、」

「なんか最近、、、」

「ん?」

「なんか最近めっちゃイジワルちょろ、、、」

「え?」

「イジワルなことばかりするちょろ、、、」

「え?」「いやいやいやそんなん笑」「全然してないズェ、意地悪なんか」

してる。

実は。

めっちゃしてる。

虐められた時のコイツの顔が

一番可愛いから。

我慢できなくて。

「…………………」

「気のせい気のせい笑」

「会ってくれないし」

「え?」

「全然会ってくれないし、最近」

「いや、」「いやいやそれはお前」

「もう四日も空いたちょろ」「前会ってから」

「くしゃみのせいなんだズェ、それは」

「…………………」

「運営にめっちゃ怒られたズェ?それで二人共」

「…………………」

「本当は今日会ってるのだってバレたらお前、」「大変なんだズェ?」

少し前、私の配信に乗った男性のものとして取り沙汰されたくしゃみは、本当は弟のものではなくコイツのものだった。コイツは私の前ではデレデレの女さんムーブしかとらないけど、素はかなり男っぽくてサバサバしている。人前で下着姿になるぐらい平気だし、性の話も開けっ広げだし、ゴキブリが出ても躊躇なく踏み潰してポイ、と外に捨てて平然としている。くしゃみなんかもおっさんそのもので、先日私の配信に乗ってしまったのは配信をしている私がいた部屋からいくつか離れた部屋に(やめろと言うのに)こっそりと待機していたコイツが放ったものだった。

「…………………」

「分かってると思うけど、今日のことも」「ここ数日連絡取り合ってることも運営には秘密にしておくんだズェ?」

「…………………」

「くしゃみからのコレじゃ申し訳立たないし、いい加減迷惑かけ過ぎなんだズェ」

「…………………隠してるから」

「うん?」

「隠してるから、おかしいちょろ」

「え?」

「隠さず公表してしまえば堂々と会えるちょろ」

「いや、」「いやいやいや」

「もう嫌ちょろ、こんなに愛してるのにちょろちょろちょろちょろ」「寸止めみたいにちょろちょろとしか会えないのは、」「ちょろ」

おもむろに腰に手を回しぎゅ、と体を寄せてくる。

「………………」

「もう嫌ちょろ、表でお前さまのことを嫌いなフリしてるのも」「疲れたちょろ」

「…………そ、」「そうなんズェ?」

「そらそうよ」「辛かったちょろ、この前も」「せっかく同じチームになれたのに、」「ルーレット無理矢理リセットしたりして、、、、」

頭を横向きに倒して私の胸にうずめたままぐったりと脱力させた体からは、私達二人の関係を視聴者に隠すために寧ろ嫌い合っているかのように振る舞う生活に、心底うんざりしている内心が読み取れた。

「でもだズェ?」

「………………」

「なかなかハードル高いズェ?」「いくら世の中多様化が進んだと言っても」

「………………」

「大箱の有名V同士が女同士でカップルです、なんて言ってみろおぇ」「危ないズェ、社の株価が」「下手したら人気も数字もめちゃくちゃ下がっちまうかも知んねぇ、」「オイラ達二人共のがだズェ」

「………………」

「そしたら今度こそ事務所は崩壊の危機だズェ、」「ただでさえ最近色々あって大変だってのに」

つけっ放しにしていたPC画面からは、まだ卒業間近の後輩が何やら大騒ぎしていた。

『継いでくれぇ、お前が意志をォ!』

『やめっ、ちょ』『先輩、』『放すでごじゃるゥ~』

『私の意志を継いで運営と派閥と戦ってくれぇ~』

『やめるでごじゃるゥ~』

『お前しかいないんだァ、私の意志を継いで』『無念を晴らしてくれるのはァ~』

『いい加減に、、、』

〝バシッ〟

ッ………!?????』

『放せって』『いい加減にするでごじゃるよ、先輩………』

「………………」

「何も」

「………うん?」

「何も付き合ってることをバラす必要はないちょろ」

「………………」

「普通に表でも仲良く絡みたいだけちょろ」

「………………」

「そうすれば仕事で会えない日でも配信で会えるし」「活動ももっと楽しくなるちょろ」

「出来るんズェ?」

「え?」

表で普通に・・・・・って」「それ本当に出来るんズェ?」

「で、出来るちょろ、」「一体何言って」

「………………」

出来ない、

絶対に。

表で普通に・・・・・、なんてコイツには絶対。

「ちょろ助もプロの端くれちょろ」「カノピッピ相手でも、ちゃんと出来るちょろ」

「………………」

「仕事は、仕事として………」

大体5年ぐらい前、表でも仲良しコンビとして絡んでいた頃の最後の方でコイツは一度やらかしている。コイツには─────今が丁度いい例だけど、私と会話していると段々と声が甘々になって身振りもくねくねもじもじとし始め、その状態がしばらく続くと近くにある物に下肢を擦り付けだし最後には〇を吹きつつぐしゃりと崩れ落ちる、という悪癖、、、と言うかパターンがある。〝お前さまの体からは何か特別なフェロモンが出てる〟とか〝そのアニメ声にそのロリ顔で身長が175cmもあるミスマッチがちょろを狂わせる〟とか、本人に言わせるとそういうのが理由らしいけど、コイツ的には何やら私がツボ中のツボらしくて、それでいつも私に会う度コイツはそのパターンを一旦なぞってから通常のコミュニケーションに入る。

5年ぐらい前にやった最後のコラボの時、コイツはそのパターンを配信中に暴発させ、抑えた喘ぎ声とジュー、ジュー、という飛沫しぶきの音を配信に(かすかではあったものの)乗せてしまった──────オフコラボですらなかったのに・・・・・・・・・・・・・・。直接会ってもいない声だけのやり取りでもそうなれてしまえるぐらいぞっこんなんだと知った私はただただ嬉しさと愛しさを募らせるばかりだったけれど、社内は当然大混乱に陥った。

不幸中の幸いでその配信がゲーム進行のグダつきからコメ欄を炎上させてしまいアーカイブがお蔵入りになったこと、また乗った音が微音だったことの二つで視聴者には気付かれなかったようだけど、それ以来私達二人は運営から共演することを固く禁じられていた。

「………………」

「な、何ちょろ………」

抱き付いてきている体勢を利用して薄手のスカート越しに腰回りを撫でるとガサガサ、とした感触があった。

「(うん、ちゃんと言いつけ守ってるな)」

「……………履いてきてるちょろ、ちゃんと」

「うん、偉いズェ」

そんな体質のコイツなので、いつも私と会う前には水害を防ぐためにちゃんと大人用のアレを着用してくるように、と言付けてある。──────衝動的だし自制心が足りないし、我儘で不遜なところも多分にあるけど、私の言うことにだけははい、とだけ言って素直に従うところが本当に、

もう本当に、

可愛くて

愛しくてたまらない。


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