「それって、」「あ。」
「…………………」
「どうやって、」「あ。」「披露っ、」「するの?」
「…………………」
物憂げな顔の女が投げる
発売開始50周年を超える名菓を口でキャッチしながら
貧相な体つきをした女が尋ねる。
「あっ、」「……………お、落ち」「落ちちゃった………」
「…………………」
「まじちゃん、ポアロ」「一個落ちちゃった………」
「どうやって、」「て………」
「……………うん」
「派閥、」「か」
「うん………」
「〝ちょろぶり〟の前でか、」「よ………」
「うん…………」
「そのどちらかがやる」「大型3D企画、か何か」「で」「ゲスト出演」「し、」「て………」
「…………………」
「初お披露目ドドン、」「……………よ」
ふふ、と
物憂げな顔の女は嬉しそうにほくそ笑んだ。
「…………………」
「…………………」「な、」「に」「たな」「かん………?」
「…………………」「いや、」
「どうした、」「の…………」
「…………………」
「奇譚、の無い」「意見を」「聞き」「たい、」
「うん、じゃあ」
「…………………」
「あのね?気付いてたらごめんなんだけど、」
「ただ、」
「?」「…………うん。」
「変なこと言ってこの」「ワクワク気分に水を、差すような」
「…………………」
「ことし、たら」「殺す、」
「…………………」
「……………わ。」
「…………………」
「…………………」
「…………………」「気を付けるね?」
〝こくり、〟と
物憂げな顔の女はうなずいた。
「じゃあ、」「恐れながら」
「え、」「え………」
「このマジックってさ、」
「ええ………」
「口から本来あり得ない物が飛び出してくるっていう」「主旨なわけじゃない?」
「そう………」
「ね?」「で、その飛び出てくる物がまじちゃんの超絶テクにより本当に口から出てきてるようにしか見えないっていう、」
「えぇ。」
「それが凄いわけじゃない?」
「そう………」「ふふっ、////」
「ね?」「…………………でもさぁ、」
「……………?」
「それってどうやって表現するの?」
流動的だった物憂げな顔の女の動きが
〝ピタり、〟と
止まった。
「……………え、」「どうって………」
「3Dじゃん?」「どうするの?トラッカー付けるの?」「その、口から吐き出すモノに」
「…………………」「え、」「つけ、」「ない………?」
「付けないとほら、」「お客さんが視認できないよ。」
「…………………」
「吐く動作だけでさ、共演してるメンバーの反応は良いかも知んないけど」
「………………え、じゃあ」「つけ、」「る………?」
「そうだよねぇ?」
「え、う」「うん………/////」
「トラッカー付けないと何も見えないもんね?3Dだと」
「え?そ、そう…………」「えへっ、/////」
「トラッカーって言うか、何ならねぇ?」「それ専用の見える小道具をそもそもスタッフに作ってもらって、」
「そ、そうそう!」
「それを仕込んでネタに使えばねぇ?」「手間が省けるって言うか」
「そ、」「そーそー………」「賢い、たなかん………」
「…………………」「でもさぁ、」
「……………え、」
「それで仮にやって、本当に口から出てきたように見えるかな?」
「…………………」「え。」
物憂げな顔の女の瞳が
ぐるぐると円を描き始めていた。
「よくあるじゃん?僕らも使ってた棒とか剣とか」
「…………………」
「ボールとかさ。ああいった3D収録用の小道具を、」
「…………………」
「仮にまじちゃんがさっきの超絶技法で口から吐き出したように見せかけてさ、」
「…………………」
「それさっき僕が見た精度で口から出てきてるように見えるかな?」
「…………………」
「いや、凄かったからさ、直で見ると。」「もうほんとに喉の奥の奥から、」「ひだというひだをかき分けて出てきてるようにしか見えなかったから。」
「…………………」
「多分、あれだよね…………実際。」「3D環境でやっても口周りからポンッ、て」
「…………………」
「急に現れたようにしか見えない、」「…………………」「あと、」
「…………………」
「黒子のスタッフが、その場で支えてて」「吐く動作と一緒に落としたんだろ、」「とか………」
「…………………」
「ね?」「思われ、」「……………ちゃったり。」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」「………ね?」
馬用の鞭を手に直立している物憂げな顔の女の瞳は
それぞれが蚊取り線香の軌道を描きながら
ゆっくりぐるぐると回転していた。
「…………………」「…………………」
「……………いやでも、」「ねぇ?」
「…………………」「…………………」
「それでも、共演者は喜んでくれるし、」「何ならその反応でリスナーにも伝わる可能性、」「…………は、」
「…………………」「…………………」
「…………ない。」「ない、かも知れない、けど」「コア・リスナーなら騙されて」
「たなかん?」
「はい。」
「たなかん…………!!!?」
「はい…………!!!?」
「たなかんっ!!!!」
「はいっ!!!!」
物憂げな顔の女は
左の鼻の穴から
鼻水を少しだけ垂らしていた。
「見て、なかったの?」「私っ、」「の」
「はい………」
「超絶技巧マジック。」
「いや、もちろん」「しっかり間近で見させていただいて」
「超~~っ…………」「絶っ!」「だったでしょう?」
「はい、もう」「それはもう、」
「観えるでしょう?リスナーにも」
「はい」
「伝わるでしょう?喉奥から」
「うん」
「〝ずりゅりゅりゅう、〟って」
「えぇ」
「エロい感じで」「ひり出されてる感じ」
「えぇ、もう」「はい………」
「ねぇ!」
「はい!」
「ねぇ!!」
「はい!!」「…………あっ!!!!!」
「ねぇって!!!………………」「え?」
「あ…………」「あ、」「…………あぁ、」
「………………え、な」「何………?」「何よ」「たな、かん………」
「あ、」「…………あぁ、」
貧相な体つきをした女は
何かに気が付き顔面を蒼白に変え、
宙を凝視した。
それを見た物憂げな顔の女は
ズビ、と鼻をすすった。
「ねぇ、たなかん…………」
「あ、あぁ、」「あ…………」
「怖い、」「怖い、よ………」「何」「なの………?」
「あの、ト、トラッカー………」
「うん………」
「付けるじゃない、ですか」「手品で口から出す物に………」
「うん………」
「それかそのモノ自体を3Dでも映る仕様でこしらえる、」「か…………」
「う、うん………」
「どっちにしても、口から出す前に隠し持ってる時、」
「………………………」
「多分センサーに拾われて、チラチラお目見えする…………」
「やめてっ………」「やめてぇぇっっ!!!!!!!!」
物憂げな顔の女は
頭を両手で抱え
大きく揺さぶった。
「まじちゃん…………」
「聞きたくないッ!!!!」「聞きたくなァいッ!!!!!」
とてつもなく綺麗な金切り声が、
とんでもなく天井の高い部屋の壁々を
ブロック崩しのように反響していった。
それが高い位置で反響したのにつられ
貧相な体つきをした女が上を見上げた時、
ガラスを失った窓から空が白み始めているのが見えた。
「…………………」
「ねぇ、」「……………え」
「……………」「はい………」
「たな、かん…………」
「はい…………」
「たなかんん、、、、、(泣」
「はいぃ、、、、、(泣」
顔を上げた物憂げな顔の女は
頬を赤らめ
目になみなみと
涙を溜めていた。
「ねぇたなかん…………」
「はい…………」
「言ってよ、ねぇ」「何とかなるんでしょう?うちの箱の技術の粋を結集して………」
「いや、」「あの…………」
「私、の」「超絶技巧テクニックなら」「3Dの壁なんか貫通して」「伝わるでしょう?リスナーに…………」
「う、」「うーん…………」
「隠し持ってる時にチラ見えしても」
「………………」
「そこだけ編集で消しちゃえば」「成立する筈…………」
「………………」
「………………」「たなかん、ねぇ」
「………………」
「何か、」「何か言ってよぅ…………」
絶望という名のゴールに向かってひた走る物憂げな顔の女を見ていられなくて、
貧相な体つきをした女はさっき視界に入った窓に
顔ごとで視線をやった。
「………………」
「ね、ぇ…………」
「それは、もう…………」
「………………」
「とぎもち、みたいな」「もの、」
「………………」「……………?」
「ですね…………」
「………………」「…………どういう、こと……?」「とぎもち」「って………」
貧相な体つきをした女は上を向いたまま
〝フゥッ〟と鋭く
息を吐いた。
「出来るかも知れない、編集は」「かなり難しそうだけどうちの技術スタッフは凄いから」
「………………」「うん」「じゃ、じゃあ………」
「でもマジックは全部包み隠さずやり切ってノーカットでお届けするから凄さが伝わるんであって、」
「………………………」
「都合の悪い部分を編集して出すならとぎもちの〝大食い〟と同じ………」
「………………………」
「しかもそこまでして出した映像が手品の動作をしたと同時に口の辺りから〝ぽんっ、〟と3Dのモノが出るだけのチンケな………」
「わァ…………」「ぁ……………!!!!!!」
物憂げな顔の女は〝ドシャリ、〟とその場に崩れ落ち
わんわんと声を上げて泣いた。
「まじちゃん、」「まじちゃん………」
「わ、わ、わ」「私ィ!!!!」「一年半もこれにィ!!!!」
「うん、」「うん………」
「かけてきたんだよォ!!!!」「ねぇ!!!?」
「うん………」
「何のためにぃ…………!!!!!」
〝ガチャリ、〟と小さく音がして
部屋の出入り口ドアが薄く開き、
エメラルド色をした瞳が一つ
覗いた。
「いや、いやいや」「でも」「ねぇ?」
「う゛ぅ、」「う゛ぅぅう゛ぅ…………」
「…………………」
「あの、絶対、絶対絶対」「無駄にはならないよ!こんな超絶マジック」
「う゛ーぅう゛、」「うぅう゛ー……………」
「…………………」
「ねぇ?だって」「少なくとも派閥とかちょろぶりとかはこれ見て僕と同じに驚いてくれるわけでしょ!」「ねぇ?」
「う゛、」「う゛、」「う゛…………」
「…………………」
「でしょう!?」「それでも大収穫じゃん!」「困らないよ、一生一発芸とかそういうのには」
「う゛っ…………」
「…………………」
「ね?」「前向きに考えようよ。」
「それって…………」
「…………………」
「うん。」
「宴会芸って、」「こと…………?」
「…………………」「チッ、」
と舌打ちが聞こえて出入り口ドアが〝バタン、〟と閉じられると同時に
「そうだよ、宴会芸………」
と言いかけた貧相な体つきをした女に
「宴会芸の品質じゃないだろォ!!!!!」
と一喝して
物憂げな顔の女が鞭を入れた。
「ア゛ぁっ!!!!///」
「宴会芸のっ、」「ためにっ!!!」
「ア゛ンッ!!!!////」
「わざわざっ!!!!」
「ア゛ッ!!!!////」
「忙しい合間を縫って!!!!」
「ウ゛んッ!!!!////」「……………あ、」「あれ?」
「一年半もっ!!!!」
「ア゛ッ………////」「あれ?」
「やるわけないだろっ!!!!!」「一日っ、」「何時間っ、」「もっ、」
「ア゛、」「痛っだ!!!!」「………まじちゃんちょっと」「痛っだ!!!!」
一年半の努力が完全に無駄だったことを理解した物憂げな顔の女が
八つ当たり気味に振るう鞭の一発一発が、
貧相な体つきをした女には
今度は全く心地良く感じられなかった。
「なァっ!!!!」
「あ゛痛っで、」「まじちゃん!」
「バカみたいだろォ!!!!」「めちゃくちゃに鍛えてぇ!」「小田原くんだりからアレ、」「あんなもの!」「盗んで来てぇ!」
「まじちゃん!まじちゃんちょっと!」「あ゛痛っでぇぇ!」
「ムッキムキだよォ、もォ!」「この一年半で!鍛え過ぎて!」「腹筋8パックだよォ!!!!」
「まじちゃん、待って!」「あ痛っだい!」「痛゛あぁぁ!!!!!」
〝加減がなされていない〟
ということと
〝さっきは加減してくれてたんだ〟
〝だから余裕こいていられたんだ〟
ということに
貧相な体つきをした女はすぐに気が付いた。
音だけ派手に〝パシーン!〟と響き皮膚が明るく赤らむだけの先程とは違い
今回は叩かれた部分に〝ドスン〟〝ボコン〟という衝撃が重々しくのし掛かり、
凹んだきり二度と回復しない感覚があった。
「大っ体!!!!」「たなっ、かんはっ!」「いっ!」「つもっ!!!!!」
「あ゛っ!」「あ゛っ!」「まじちゃん、やぁだやだ、」「あ゛っ!!!!」
「人のッ!!!」「後をっ、付け回して嫌なところばっ!」「かりっ!」「見つっ!」「けてっ!」
「あ゛ーーー!」「あ゛っ!痛っだい!!!!」「痛っだ!」「あ゛っ!!!!」
「それをッ!!!!」「わざッわざッ!!!!」「口にッ出してッ!」「言ってッ!!!!」「このッ!!!!」
「違ッ、」「それツッコミ!」「あ、痛っだい」「仕事!それ僕の!」「そーいう役回り、」「や゛め゛ッ、」「あ゛ッ!!!!」
「コロスキネーさんにもタメ口でッ!」「あんなッ、」「失礼なッ、」「ことっ、ばっかりッ!!!!!」
「コロスキネーさんがやれって!」「言ったの!」「あ゛痛っだい!!!!!」 「お前はそれが面白いからどんどんや゛っ!!」「でけって!!!!」「あ゛っ!」「ぎゃっ!!!!!」
体の表面を凹ませるような〝ドスン〟〝ボコン〟という衝撃はいつしか
肉を貫通して骨を直接〝ザラリ〟と撫でるような
心底身の毛のよだつ感触に変わっていた。
「あっ!!!!もうっ!!!!」「死んでッ!!!!たなかんッ!!!!」
「あ゛っ、ぐ、、」「ぐおッ、、、、、、、」「ぐぅっ、」「ぐ、」
「もうっ!!!!」「死んでッ!!!!あッ!!!!」「たなかんッ!!!!」「死んでッ!!!!死んでッ!!!!」
「あ゛っ、ぐ、」「お゛ぉ、お゛ぐ、」「ぐぅ、ぐ、」「、、、、、う゛っ、」
背や尻や脚の全面がまんべんなくその感触に覆い尽くされた頃、
貧相な体つきをした女はこの部屋に入ってすぐに聞かされた
〝お前がここを生きて出ることはない〟という
割烹着姿の女の言葉を思い出していた。
【ホロライブ・アナザーライン】02《たそ殿〝拷問〟の時間でごじゃる》include:[天音かなた]*[AZKi]*[風真いろは]*さくらみこ*星街すいせい*雪花ラミィ*とぎもち*あずきちゃん/とぎもちのアレって炎上芸だったんですか?/「つまり〝ケーキ〟みたいな〝ゲロ〟は」→「いよいよ〝ケーキ〟みたいに」→「なっていた。」/星街すいせいだけは絶対に許せなかった女/〝上下の激しい女性V〟=〝きっと病気持ち〟/どマゾの初〇き、絶望〇き/嗚呼、百合……/////風真いろは「はぁ、もう」「はぁ、好きお前」「もう好き」「好きだよ、」「ねぇ」/まじきち、画策す/Vの怖い話
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