「ウぅっぐゥ、」「……………フゥーっ、」「……………フゥーっ、」
「まじちゃん!」「落ち着いて!」
「フゥーっ、」「フゥ、」「……………あ゛、」「あ゛んま゛り、」「聞き分げが、悪いどォ、」
「自分にも効いてんじゃん、」「まじちゃん!」
「お好み焼きっ、」「どころがぁ、」
「まじちゃん!」
「もんじゃの焼き加減でぇ、」「出しちゃう、」「グハァーーーーーッ!!!!!!」
「まじちゃーーーん!!!!」
「……………オ、」「オロロロロロ、」「オロロロロロォーーーーッ!!!!!!」
「ま、」「まじちゃーーーん!!!!」
物憂げな顔の女は上体を前後に大きく揺すった後、
片手親指から三本で小さく輪を作り
口元に当て
〝火遁・豪火球の術〟
のポーズで
何故か盛大に
嘔吐モーションに入った。
「オロロ、」「オロロロロロォーーーーッ!!!!!!」
「まじちゃーーーん!!!!」
〝汚い〟とも〝うわっ、……〟とも、
〝見たくない〟とも、
貧相な体つきをした女は思わなかった。
「オロロォーーーーッ!!!!!!」
「まじちゃーーーん!!!!」
寧ろ
Wolcomeだった。
女性がこういう非常事態に陥った時にサッとフォローに入って
優しく介助し、
本人が〝もういいわ、ありがとう〟と言うまで寄り添うのが
貧相な体つきをした女の
人心掌握のいつもの手順だった(成功したことは一度もない)。
「グオォォーーーーッ!!!!!!」
「ま、」「まじちゃーーーん!!!!」
〝ポトり、〟
「ま、」「まじ、」「……………ん?」
「……………ハ、」「……………ハァー、」「……………ハァー、」
「……………え、」「……………え?」「え、」「……………ん?」
盛大な嘔吐モーションの割に
物憂げな顔の女の口から排出されたのは
女性のこぶし大を満たすかどうかというサイズの
丸みを帯びた一つの
固まりだけだった。
「……………え、」「ん?」「……………?」
「……………ハァー、」「……………ハァー、」
「……………?」「??????????」
差し込む月明かりだけが頼りの中、
悪い目を細めて一生懸命にピントを合わせて見てみると
それはどうやら小振りな〝ケーキ〟のような形をした
何かのようだった。
「……………ハァー、」「……………ふぅ。」
「??????????」「??????????」
白や緑を主としたいくつかの層で構成され
上から見れば楕円形、
その頂上にアーモンド、
だかミントの類だかがちょん、と置かれているそれは
シャレた高めのケーキ店で売っていそうな
小振りでお高めな〝ケーキ〟にしか見えなかった。
「……………はぁ。」
「……………」「あの。」「まじちゃん」
「……………うん。」「うん、どうしたの」「たなかん」
「それ」
貧相な体つきをした女は
自由にならない手の代わりに
顎でちょいちょいとやって
コンクリ打ちっぱなしの床にちょこん、と置かれた
小振りな〝ケーキ〟を指した。
「……………うん」
「何?」「それ」
「うん………」「これ?」
「うんそう、」「そのケーキみたいなやつ」
「これは…………」
「うん。」「ケーキ………?」
「ゲロよ」
「えぇっ!?」
「私が今吐いた、」
「………うん」
「ゲロよ」
「えぇっ!?」
確かに、
貧相な体つきをした女も
その〝ケーキ〟が
物憂げな顔の女の口から
口の前に指三本で作った輪の辺りを通って
出てくるのを見ていた。
「え、」「…………えぇっ!?」
「私の口から出てきた、」「私の元・胃の内容物だから、」
「……………うん」
「これはゲロよ」
「えぇっ!?」
確かに、どれだけそれらしくない形態をしていても、
物憂げな顔の女が言う通りの条件を満たしている限り
それは〝ゲロ〟としか
呼称しようのないものだった。
「え、でも」「でもさぁ、」
「…………うん。」
「固形だよ?」「固形物だよ!?」
「…………たなかん」
「あるの?」「固形の〝ゲロ〟って」
「たなかん」
「僕あんまりものを知ってる方じゃないからさぁ」「断言はできないけど、」「あるの!?」「固形物の」「こんなに形の整ったゲロなんて」
「たなかん」
「何!?」
「………………」「………………」
「……………え」「え、何?」「何?まじちゃん」
「………………」「難しい言葉を、」「知って、」「いるのね………」
「え…………」「え、」
「………………」「………………」
「……………ど、」「どれ?」「〝固形物〟?」
「そう。」「〝固形物〟なんて難しい言葉、」「よく知って、」
「バカにすんじゃねぇ!!」
コンクリ打ちっぱなしの床にちょこん、と置かれていた
〝ケーキ〟みたいな〝ゲロ〟に視線を戻すと、
〝ケーキ〟みたいな〝ゲロ〟は
それに見合ったサイズの
白くて小さくて
お上品な陶器製の
皿の上に置かれていた。
「………………あっ!!!!」
「………………」「………………」
つまり〝ケーキ〟みたいな〝ゲロ〟は
いよいよ〝ケーキ〟みたいに
なっていた。
「ま、」「まじちゃん」「これ」
「………………うん。」「食べ物を、やっぱり」「床の上にそのままは、良くないと」「思って…………」
「た、」「……………たべ?」
貧相な体つきをした女は
聞き逃さなかった。
「………………」「………………あっ、」
「今食べ物って、」「食べ物って」「言った………?」
「………………言ってない。」「言ってない、」「わ、」「たな、」「かん」
「……………………」
「……………………」
物憂げな顔の女は珍しいことに
明らかに慌てていた。
「え、」「食べ物、なの?」「あれ。」
「違う、」「わ」「ゲロよ」
「ゲロなの?」
「そう、」「そう言ったわ、」「さっき、」「も………」
「え、でも」「食べ物じゃないなら、」「なんで皿に………」
「そ、」「れは」「………………」
「……………うん」
「床に、そのままは、」「やっぱり良く、ない」「から………」
「……………うん」「………………」「食べ物だからでしょ?」
「そう、」「食べ物、」「だから………」
「!!!!!!」「食べ物なんじゃん!!!!」
「ちが、」「たな」「かん………」
「何!?」「何してるの?」「訳分かんないよ!」
「違う、のよ」「たな」「かん。」「聞い、」「て………?」
物憂げな顔の女は
本当に珍しいことに
大慌ても大慌てだった。
ガタガタと震える手で口元を覆い
ボンテージから景気よく放り出された生足は内股になり腿が腿をぎちぎちと押し合い、
目はプロ・ビリヤードプレイヤーがキューで弾いたのかと思うぐらい
きょどきょどと別々に泳ぎ回っていた。
「何、どうしたの?」「何なのまじちゃん」
「だから、」「たなかん。」「つまり………」
「うん」
「………たべ、」「たべたべ、」「たべ」
「うん」
「食べ物、」「あの、」
「うん。」「ゆっくりでいいよ」
「食べれば、」「あの。」
「うん」
「……………食べればなんでも、」「食べ物よっ☆」
と、
物憂げな顔の女は
鞭を持った手を腰に当て
持ってない方の手の人差し指と親指を〝L〟の形に開き
人差し指で貧相な体つきをした女の顔を指して
言った。
「たべ、」「食べ、れば……………?」
「そう!!!!!」
目はまだきょどきょどと動き回り
どちら共が上下の瞼の間を
行ったり来たりしていた。
「食べ、」「ればって…………」
「そう!!!!!」
足元にある
皿に乗った〝ケーキみたいなやつ〟を
やや乱暴に顎で指す。
「コレも?」
「そう!!!!!」
「コレも、」「ていうか」
「そう!!!!!」
「つまり」「ゲロも?」
「そう!!!!!」
「ゲロも!!!!!?」
「そう!!!!!」
「ゲロ、」「も!!!!!?」
「そう!!!!!」
「…………………」「…………………」
「っそう!!!!!」
〝食べれば食べ物〟
〝ゲロもそう〟
「(………………)」「(つま、)」「(り…………)」
「っそう!!!!!」
〝自分の吐いた(固形状の)ゲロを〟→〝僕に食べさせるプレイ〟
「(を、する気なのか…………?)」
と貧相な体つきをした女は推察した。
「っっっそう!!!!!」
「…………………」
少し前物憂げな顔の女がした
〝一旦咀嚼したものを吐き戻して子供に食べさせる生き物〟の話を
貧相な体つきをした女は
思い出していた。
「(それを、僕に…………)」
「っっっそう!!!!!」
「(僕に、やろうと)」「(しているのか…………?)」
「っっっそう!!!!!」
「(そういうプレイ、)」「(なのか…………?)」
「っっっそう!!!!!」
〝喜べるだろうか、〟と
貧相な体つきをした女は
思った。
目の前の地べたに皿に乗せられて置かれた
この〝固形のゲロ〟を
〝ひょいパク、〟〝ひょいパク、〟
〝ひょいひょい、〟
〝パクっ☆〟
と食べさせられて
自分は果たして
喜んで見せることが
出来るだろうかと。
「…………………」
「…………………」「違うの、たなかん」
「…………………」
「…………………」「聞いて?」
嫌、
ではなかった。
もちろん誰のものでも平気という
わけではなかった。
物憂げな顔の女のものなればこそ、
その体から排出された物は
何でもイケる
自信があった。
「…………………」
「…………………」「聞いて?」
「…………………」
「こいね?」「こい、」「こいね?」
ただ、
「(胃液って、他人の物)」「(そのまま接種しても)」「(大丈夫)」「(なんだろうか………)」
また、
「(感染症とかそういうの、)」「(大丈夫)」「(なんだろうか………)」
といった懸念が
貧相な体つきをした女を
躊躇させていた。
「…………………」
「こいね?」「パテ。」「パテなの」
〝物憂げな顔の女が万一変な病気を持っていて〟→〝それが粘膜感染で感染ったら僕死ぬなぁ、〟
という懸念に関しては
不思議と気にならなかった。
〝愛する女との情熱的なプレイの結果何かを感染されて死ぬ〟
のは平気でも
〝地味に胃や食道が爛れたり中途半端に寝込んだりするのは嫌だなぁ〟
という
不思議なパラドックスが、
そこにはあった。
「…………………」
「パテ。」「分かる?」「パテ。」「フレンチの」
何故そのねじれが起こるのかは
貧相な体つきをした女にも
分からなかった。
「…………………」
「ね、」「たなかん。」「たーなー、」「かん。」
物憂げな顔の女が
気付けば〝固形のゲロ〟を指差して
何か言っていた。
「ん、」「え。」「……………ごめん、」
「聞いてる?」
「ごめん、」「聞いてない」
「もうっ、」「だからね?」
物憂げな顔の女は
再度足元にある〝固形のゲロ〟を指差して言った。
「こいね?」「パテなの」
「うん、」「……………うん。」「ごめん何?」
「パテ。」「フレンチの」
「……………フレンチ」「料理?」
「っっっそう!」「そいでね、」
「うん」
「今日ごじゃるとお昼に」「フレンチ行ったの」
「うん」「あ、」「行ったんだ?」「お昼にお店に」
「そう!」「コースのね」
「あ、そう」「結構」「高い感じの?」
「っっっそう!」「一人1万、」「4000円!」
今日のお昼自分は何を食べたかなぁ、
と
貧相な体つきをした女は思った。
「…………………」
「そいでね?」「さっきまじきち、」「ゲロ吐きそうに」「なったじゃない?」
「…………………」
「そいで、」「〝やや、これは緊急事態????〟」「って思って」「ね?」「とっさに」
「…………………」
「胃の中にあるまだ溶けずに残ってる」「昼間のフレンチを、」「ね?」
「…………………」
その〝お高いフレンチ〟の店に行く出掛けに
ごじゃるがこちらを一瞥もしないまま
銀色の犬用の餌入れに〝ガシャン〟と入れ落とした
凍った豚のバラ肉
の塊だった、
なぁ、
と
貧相な体つきをした女は
思った。
「〝ぎゅ~っ〟て集めて」「一つの」「パテに仕上げたの♪」
「……………え、」「胃の中で?」
「っっっそう!」
「え、」「胃の中で!!!?」
「っっっそう!」
「……………そ、」「そんな」
「アイドルだから出来ない、と思って、そんな」「〝ゲロゲロー、〟」「〝ビタビター、〟」「なん、」「て…………」
「そんなことで、」「出来るの?」「人間、」「に…………」
「……………出来る、わ」「たな、」「かん。」「根性があれば、人間」「何だっ、」「て…………」
子供時代あまり勉強を真面目にしていなかった
貧相な体つきをした女は、
〝出来るのかも知れない、この人になら〟
と、
思った。
自分の何倍もVの仕事に熱を入れていて
〝中身〟の手入れも
髪の先から爪の先に至るまで
その一切をこだわり抜いて欠かさない
この人になら。
「………………」
「たなかんは」「出来てた、」「かしら?」
「…………え?」
「箱にいた時、」「根性入れて、活動」「する、」「こと………」
「………………」
〝出来てなかった〟と
思った。
こんな人間離れした芸当を
成し遂げてしまえる程には、とても。
「……………すごいんだね、」「まじちゃんて」
「………………」「………………そう、」「かしら」
「そうだよ。」「僕とっても出来ないもん、そんな」
「………………」
「胃の内容物からまだ溶けてない固形のやつだけを選り分けて」
「………………」
「それを胃の内壁の力だけで」
「………………」
「〝グイッ、〟〝グイッ、〟って」
「………………」「クッ、」
「押し固めるんでしょ?」
「………………」
「で、それをそのまま」「形を崩さないまま」
「………………」
「食道を逆流させて」
「………………」
「口からぽん、と吐き出す」
「………………」「ブフォ、笑」
「そんなの僕とっても出来る気しない、」「…………まじちゃん?」
「プス、笑」「…………何でもない、笑」「何でもない、わ」「たな、」「かん………笑」
「…………そう?」「僕とっても真似出来ないなぁ、そんなの」「そのー、」「パテ?」
「………………」「………………テリーヌ、」
「……………ん?」
「テリーヌ、でも」「いいわ」
「テ、テリーヌ?」
「肉とか野菜とか」「そういう色々な食べ物を」「細かく砕いて〝ギュッ〟と纏めたものを」「そう、」「呼ぶわ………」
「…………あ、」「あそう」
「そう………」
「…………あ、でも」「なんか」
「うん。」
「〝ガレット〟っていうのも」「なかった?」「なんか」
「…………ある。」「あるわ、」「ね…………」
「ね?」「そうだよね」
「………………」
「ね?」
「〝リエット〟って」
「うん」
「いうのも、」「あるわ………」
「へぇ。」
「食べたわ、今日」「昼………」
「へ、へぇ」
「………………」
「でもなんか、あの」「〝カンパーニュ〟っていうのも、」「ない?なんか」
「………………」
「なんか、」「〝カンパーニュ〟」
「………………」「あるわね」「パンの、」「一種…………」
「そーなの?」
「………………」「いずれにしても、」「しゃらくさいわね………」
貧相な体つきをした女は、和やかな会話の最後に
とうとう覚悟を決め、
〝フン、〟と鼻を鳴らし
物憂げな顔の女の
美し過ぎな顔を
真正面から見据えた。
「………………」「まじちゃん。」
「………………」「なに、」「たな、」「かん………」
「いいよ。」「やって。」
「………………」「何?」「なに、」「が………?」
顎でちょい、と
皿に乗せて地べたに置かれている
〝ゲロ〟だか〝パテ〟だか〝テリーヌ〟だか
〝食べ物〟だか〝ケーキ〟だか
何だか分からないものを指す。
「食べさせてよ、」「それ。」
「………………」「何?」「なん、」「で…………?」
自分でも、
目が輝いて表情が活き活きとし、
男前な顔になっているのが
分かった。
「僕、まじちゃんから出たものなら」「何でも受け入れるよ」
「…………………」
「何でも経口摂取出来る。」「それも、目を瞑って息を止めてごくん、」「とかじゃない。」
「…………………」
「唇・歯・舌で〝モニュモニュ〟ってした上で」「ごくん、て」「出来るよ」「ミルク状になるまで逃がさず咀嚼した上で、」「ね。」
「…………………」
「感じたいんだ、まじちゃんの味を」「知りたい、それが」「どんな美味なのか」「隅々まで、全身で」
「…………………」「キィーーーーーーっ…………………、」
「さぁやって、まじちゃん」「カモンヌ。」「目は、」「閉じた方がいい?」「ごめんね、」
「んもい!!!!!!」
「当方不慣れなもので、」「こういったコトに」「…………う゛ぇっ!!!?」
「きもい!たなかん!」「きもい!」「何!!!?」
「……………え、」「……………えっ、」
薄く開いた唇の隙間から食いしばった歯が見えるタイプの
本気のドン引き顔の意味が
貧相な体つきをした女には
分からなかった。
「え、」「……………えっ?」「だって……………」
「何訳分からないこと言ってるの!?」「何?私から出たものなら」「う゛ぅっ、」
物憂げな顔の女はその白く細長い両腕で自らを抱きしめ、
心底寒そうに
全身でブルブル、と震えた。
「…………私から出た物なら何でも経口摂取出来るって、」「う゛っ、」
「…………………」
「もう無理!!!!」「言ってるだけでキモい!!!!」
「…………………」
貧相な体つきをした女は
この突拍子のない裏切りの訳を
計りかねていた。
「やだ!!!!」「もう本当にやだ!!!!」
「…………………」
〝どこかで機嫌を損ねたのだろうか〟
とも考えたし、
〝従順に誘いに乗り過ぎたのがいけなかったのかな〟
とも思った。
〝女ってこういうものなのかな〟
と、
出過ぎたことも
考えた。
「もう!!!!」「そういうのがダメなの!たなかんは!!!!」
「え、」「え、だってさぁ、」
「何!」
「誘ったじゃん、」「そっちからぁ」
「…………………」「…………………っはぁ!?」
「え、」「さ、誘った………」
「誘わないよ!」
「……………え、誘った」「じゃァん、」
「ばか!」
貧相な体つきをした女は
半べそだった。
その心は
純粋に
傷付いていた。
どうしてこの女は
こんな酷い仕打ちを
自分に対して出来るんだろうと。
「…………………」「…………………ひ、」
「…………………」「?」
「ひどいや、」「まじちゃん…………」
「…………………えぇ、」
「その気に、」「させといて…………」
「…………………」「いや、」
「……わァ………」「…………ぁ……」
「泣かれても。」
貧相な体つきをした女は
びょおびょおと
声をあげて泣いた。
「びょ~おびょおびょお、」「びょおびょお、」「びょお~~泣」
「…………………」「…………………たなかん。」「たなかん。」
「びょお~泣」
「言ってない、私」「〝ゲロ食べて〟なんて」
「びょおお、」「びょおぉ~~泣」
「言った?私」「いつ?」
「びょおぉ~泣」
言ってなかったかも
知れなかった。
確かに、
〝たなかん、これ私のゲロなの、〟
〝ハイ、食べて?^^〟
と
音声で聞いた記憶は
残っていなかった。
──────でも、
「たなかん」「たなかん」
「びょお、」「びょおびょお、」「びょおびょお、」「びょお~~泣」
「キモいの、」「いくら泣いても」
「びょお~~泣」
「被害者は、」「私だよ?」
「びょお~~泣」
「泣き方もキモいの。」「どこから出てるの?声」「それ」
もう止まらなかった。
貧相な体つきをした女は
心底傷付いていたし、
それ以上に
落胆していた。
「その理由でそこまで号泣スイッチ入るのも」「ウ゛っ!!!」「………気持ちが悪いっ、」「のよ………」
「びょおぉぉ、」「びょお~~泣」
「もう、」「………う゛っ!!!」「…………殺しちゃうよ?たなかん」「あんまり気持ちが、」「っうっぐ!!!!」「………わ、」「悪いと………」
「びょお~~泣」
〝決死の思いで固めた覚悟を返して欲しい〟
という思いももちろんあったが、
それ以上に
〝やっと人と繋がれると思ったのに〟
という
落胆が貧相な体つきをした女を
打ちのめしていた。
〝人の体の底の底から出たモノを取り込むことで〟→〝人の本質を理解する〟
そのプロセスを
〝それを経験することで僕はやっと人と繋がれるのかも知れない〟
という期待感ごと
打ち砕かれたことが
何より貧相な体つきをした女を
傷付けていた。
「た、たなか」「う゛ぅっ!?」「…………もう一回冷静になって」「う゛ぅっぐ!!!?」
「びょ、」「………………」「………………」「…………まじちゃん?」
「う゛っぐ!!!!」「…………ア、」「だめ。」
「まじちゃん!」
「…………おろ、」「おろろろ、」
「まじちゃん!!!!!」
「おろろろろろろ、」
「まじちゃーん!!!!」
「おろろろろろぉーーーーッ!!!!!!」
「まじっ、」「ちゃーーーん!!!!」
〝とぎもち〟と
それから
〝吐き戻し〟
及び
〝吐き戻し汁〟という
二つ、
ないし
三つに加え
〝たなかん〟というワードも
もしかするとこの短時間で
物憂げな顔の女のトラウマに
深く
刻み込まれたのかも
知れなかった。
【ホロライブ・アナザーライン】02《たそ殿〝拷問〟の時間でごじゃる》include:[天音かなた]*[AZKi]*[風真いろは]*さくらみこ*星街すいせい*雪花ラミィ*とぎもち*あずきちゃん/とぎもちのアレって炎上芸だったんですか?/「つまり〝ケーキ〟みたいな〝ゲロ〟は」→「いよいよ〝ケーキ〟みたいに」→「なっていた。」/星街すいせいだけは絶対に許せなかった女/〝上下の激しい女性V〟=〝きっと病気持ち〟/どマゾの初〇き、絶望〇き/嗚呼、百合……/////風真いろは「はぁ、もう」「はぁ、好きお前」「もう好き」「好きだよ、」「ねぇ」/まじきち、画策す/Vの怖い話
VTuber《たそ殿〝拷問〟の時間でごじゃる》5/15「〝パテ〟だか〝ゲロ〟だか、〝ケーキ〟だか」

