✔ 天音や不知火だと企画の準備という半分スタッフのような役割になってしまうが兎田なら壱百満天原との結びつき、星街には戌亥やフレン辺りを中心としたにじさんじ地方系Vの中堅所を全体的に引き抜かせ、さくらみこや湊には彼女達に付き添わせる形で客寄せパンダをやらせ、大空には事務所の下の方に溜まっているザコ共の統括を任せる等言えばまだまだキリがない程だが、ホロメンにはやはりそういった形で皆適当な役割が知らぬ間に割り振られている。一見窮屈で自由が無いようだがすべき事が勝手に用意されているというのは他の領域のVにはまずない事で、よく出来た箱に所属している場合のみにありつけるありがたい事だと言えるだろう。自分に割り振られた課題をクリアしさえすればそれぞれのVは自分の存在価値を高められる訳だが逆に逃げてしまうと居る意味自体が希薄になってしまう。「自分の存在価値って……」と宝鐘が常々思いを馳せてしまうのも業界の外を踏破していくという自分の使命を果たさないままでいるせいだ。
要はまだまだチーム化がなっていないという話だ。ホロライブは業界で一番ライバー同士の繋がりが強固な箱だがどう足掻いてもこれ以上は伸びないライバーが開き直ったかのように一人で配信を続ける事に固執したり事務所トップの大物達が、彼女達は彼女達でザコと似たような動きしかしていなかったりで現状とても無駄が多く、効率が悪い。全員が箱に存在するいずれかのチームの一員となり適性を活かして適切な役割をこなせる体制が出来上がった時ホロライブと、そこに所属するライバー全員に次の段階が訪れる事になるだろう。
✔ 自分の領分を弁えず釣り合わない仕事をしてしまっている例。白上の役割は1期のまとめ役だし、課題はホロライブの中心に1期ごともっとガッツリと出て来る事だし、自分の素人未満のお笑い・バラエティスキルを何とかする事で、外の大物とこの段階で一足飛びに繋がってもどうにもならない。ホロライブのネームバリューを使ってやりたい事をやっているだけの状況だが、この関りが今後大きな流れに繋がっていく事は決してない。
✔ 活動のペースに波がある事はさておき、宝鐘は今年に入ってから最もバリエーション豊かで、最も実のある活動を自発的に行ったホロメンと言えるだろう。その活動の質は振り切れてはいるものの、趣旨や方向性は箱に所属している一Vの物の域を出ない。「ホロライブに所属しているVTuberとして出来る事は何だろう」という前提の下宝鐘が活動内容を決定していった事が手に取る様に分かる。
チャンネル登録者数等の数的な部分がV業界ではなくYouTuber全体の中でも上位に入る事、プロ芸人・トップバラドルとも殴り合える程の実力を備えている事、業界1位という肩書き、業界最高の実力者達にDM一つで協力を要請出来る状況、V業界の外でも近しい領域でなら認知され崇められる対象にまでなっている事、宝鐘が今備えているアドは数知れない。「やれる事」「やっていい事」からではなく「やりたいと素直に思う事」からもっと活動内容を決定していくべきだし、その結果弾き出されるのは手描きラインスタンプの製作に時間を費やす事では絶対にない。その矛盾を払拭出来ていないから「ヘラる」という慢性的に体から発せられるサインといつまでも縁が切れない。
この度反社と海外旅行に出かけていた事が表沙汰になった元ジュニアアイドルの現バケモノがやっているYouTubeチャンネルに傾倒しているという噂を伝え聞いたが空リプのようにアピールしていないで実際に会いに行ってコラボする算段をさっさとつければいいし、子供を出しにするしか能の無いヤク中みたいな見た目の女がやっているチャンネルにも再生回数を恵んでやる意識で上から絡んでやればいい。星川や紫咲みたいなDQNを相手取ると水を得た魚のように活き活きとする宝鐘は彼女達とヒカル・ラファエルみたいな協力関係を作れる可能性が高く今後の為にも早く絡んでおくべきなのだが、宝鐘がその選択肢について考えなかったのなら頭が悪過ぎるし、事務所が止めたのなら行く行くは退所する事も考えなければならないだろう。宝鐘を飼い殺しにして一時の存在にしようとしているのならそれが宝鐘自身であっても事務所であっても、必ず是正するか払拭するかしなければならない。
✔ ホロライブは「絶望的な状況にあっても諦めさえしなければ必ず上の段階へのステップを授けてくれる」という所属ライバーにとって有難過ぎる良く出来た箱で、そこに所属するライバーは現在およそ3万人は居ると目される全VTuberの中で唯一そのアドにありつけた幸運過ぎる35人な訳だが、宝鐘は今そのトップの座に就いている。
同接10人とかの配信を意地で続けて時間を無駄にしているアマチュア・2018年頃にデビューして数年は界隈を代表する存在だったものの今は見る影も無いオワコン個人勢・箱に所属は出来たものの何のアドも寄越してくれないクソ箱だった者・大箱に所属出来たものの埋もれて実質個人勢と変わらない者・トラブルに見舞われ箱を追われ、結局どうしようもない個人勢の頃に逆戻りしつつある元人気V・Vとしては才能アリで成功してはいるもののその外側の領域でなど到底通用する訳のない局所的な売れっ子V等、ありとあらゆる負け犬達の頂点に君臨している「3万分の1」の状況を宝鐘は恐らく「35分の1」と取り違えている。だから同箱の35人の誰よりも頑張る事だけはやり切っても業界を代表する「3万分の1」に相当する仕事は一切やらない。体は「ヘラる」という形で「3万分の1の仕事をやれ！」と叫んでいるが、宝鐘が今後それに耳を貸すかどうかは非常に不確定的だ。
VTuberは始動からまだ7年しか経っていない新興ジャンルで、それだけにそのトップランカーが辿る道は誰にも分からない。アイドルやバラエティタレント、歌手等はこれまでの歴史の中で何度も天才と、その時々の業界を統べるトップが現れては消えていくサイクルを繰り返していて、今いる各ジャンルのトップ達の辿る道は既に大筋で分かっている。AdoだろうがYOASOBIだろうが、指原だろうがフワちゃんだろうが、大谷だろうが井上だろうがこれから行う仕事の趣旨と引退までに辿る軌跡はもう決まっている。違うのは作品のセールスや得た称号の細かな大小だけだ。
VTuberのトップを走っている宝鐘がこれから辿る軌跡は現状誰にも、一切分からない。7年の間にトップの座に座った者達には備わっていなかった「良質な箱」という現状考え得る中でVにとって最重要であるアドを背負い、声はプロ声優・笑いの力は芸人並な宝鐘の最高到達地点を割り出す為のデータを、人類はまだ持っていない。その道を往く挑戦は3万分の1と言うより「80億分の1」と言い表す方が的確なのかも知れない。
ただ一つ確かなのは、俺達の船長がまだその使命に気付いていないという事だ。ラインスタンプを一つ一つ丹念に描き上げ下の者に任せておけばいい仕事を自分で行い、まずは自分が頑張るべきなザコ一人一人に逐一構ってその結果「なんか違う」とヘラる事でアディショナル・無駄な時間を設け、自分の最高到達地点を日々刻一刻と下げ続けている。Vの有史以来最も「持てる者」である女が向かうのは歴代のトップV達と同じ彼岸か前V未踏のまだ見ぬ地平か、その賽はもうとっくに投げられている。
