【 不定期VTuberレビュー vol.4 】①「ぽんぽこはPCを捨てやがれ」:Ⅸ(include:企業化による利点:ピーナッツくん編

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企業化による利点:ピーナッツくん編

【①.V界における関西系の笑いの確立・男性V同士の「てぇてぇ」の開拓】
✔ 「USJの本物という例えボケには一体何と返すのがベストだろう」というのが先週私が仕事そっちのけでずっと思案していた事だが、あれこれ考えた挙句「USJも本物だろ」というぽんぽこの返しが一番いいという結論に至った。仕事に全く身が入らず散々な一週間だったが正解を導き出せて私は満足だ。

業界で唯一、ピーナッツくんだけが持っている武器がテレビバラエティの流れを汲む「関西系の笑い」だ。「USJの本物」という例えや「ずっと出てますけど僕はあくまでゲストですから」という決め台詞等は松本人志イズム満載で笑ってしまうが、確かに面白い。

「ぽんぽこ24 vol.6」の「ピーナッツくん、寝る」というコーナーが正にピーナッツくんを中心に関西系の笑い一色で作り上げられたコーナーで、関西で長く暮らしていた私のような者からすると本当に居心地のいい空間だった。真顔の立ち絵一枚で「本当です」とテロップを入れるだけのヌルっとした演出を何回も繰り返す、所謂天丼を行う事で「ちょっとお前いい加減にしろよ…w」という遅効性の笑いを狙うのも関西系の立ち回りだが、こういう笑いはやはり「ピーナッツくん、ねる」のように同タイプの、ASMRで突発的に般若心経を読むだとか何を思ったか一回転がって同じ場所に戻って来るだとか、そいういった立ち回りの出来る仲間と合同で行うのが一番面白い。

企業化して関西に事務所を構えた場合そこに集まるVタレントは関西を中心とした西側出身の者が多くなり、ピーナッツくんと笑いの面でシナジーを生める仲間を多く得られるだろう。にじさんじは舞元を中心に東京色の集団芸を展開しているが恐ろしくレベルが低いので、男女混合のバラエティ部門に関しては関西出身のVで頭数を揃えてある程度座組が整ったら簡単に取って代われる筈だ。

またV業界は現在どこもかしこも「てぇてぇ」の需要に溢れていていて、ホロライブが女性V同士の「てぇてぇ」を売りにする事で荒稼ぎに成功しているが男性V同士の「てぇてぇ」はまだほとんど見られない。「ピーナッツくん、ねる」のコーナーでのキクノジョーの奇行はボケにかこつけた求愛行動に私には見えたが、もしかするとこれが男性同士の「てぇてぇ」の起こりなのかも知れない。

関西の中心部においてとかく嫌われがちな兵庫県出身の男性が人を拒むことを知らない滋賀県出身の男性に最後の頼みの綱、としがみ付き、最後にはコントロールしようとしている光景は関西に住んでいた頃本当によく見たものだ。キクノジョーのピーナッツくんへの執着はそれと重なるものがあり正直危うさを感じてしまうのだが、現状この組み合わせが一番てぇて味が強いのだから仕方がない。富士ごとキクノジョーをヘッドハンティング出来た暁にはピー×キクのカップリングを存分に擦り、男性同士の「てぇてぇ」として視聴者に受け入れられるか試してみるのがいいだろう。



【➁.ノルマ的な創作活動からの解放、インプットとアウトプットを延々と繰り返す日々の創造】
✔ 「動き続けなければ死ぬ」というマグロのような妹と裏腹に、ピーナッツくんは自室に籠ってネット上の様々な情報を延々とインプットし、創作という形でアウトプットする事を繰り返すのが基本ムーブだ。「ぽんぽこ24」に出演していた多種多様なゲスト達の大半に繋ぎを付けたのはぽんぽこだが「ポコリーグ」のような、テレビ世代ならではの大型企画の数々を発案したのはピーナッツくんだろう。

「ぽこピーフレンドパーク」や「POSUKE」に関しても古臭いテレビ番組のパクリに過ぎないのだが、松本人志イズムをそのまま流用している事と同様、こちらもちゃんと面白い。V業界における独自性も十分でぽこピーのブランディングにもなってきており、ピーナッツくんは苦手を押して変に同業者と関わるよりこういったコンテンツの量産に努めていた方がずっと生産的なのだ。前々から思っていた事だがピーナッツくんが逐一ぽんぽことニコイチになって動く意味などない。ピーナッツくんがおめシスと絡んで一体どこに何が産まれているのか一つでいいから具体的に挙げてみて欲しいものだ。

ぽこピーが企業化して箱の中に人が増えた時、ぽんぽこはともかくピーナッツくんが毎動画必ず顔を出す必要は無くなる。プロデューサー・ディレクターとして後ろに控え、企画の考案やユニット・事務所の方向性について思案する時間を十分に取れるようになれば今のようにユニットごと不必要な停滞を続けたり仕事をする相手を間違えたりというボケた迷走を行う事も無くなるだろう。司令塔が最前線で間断なく働き続けている事がぽこピーにとって最大の害の一つになっている事だけは間違いない。




【③.クリエイターとして次の次元へ】
✔ 先日単身「POP YOURS(幕張メッセで開催された大型ライブ)」の大舞台に立つという事があったようにピーナッツくんは音楽活動の方もいいペースで行っているようだが、問題はライブの集客や楽曲のセールスをぽこピーの知名度に全依存している事だ。端的に言えばピーナッツくんはそれ単体でウケる曲を「刀ピー」関連以外で一つも作れていない。ぽこピーはぽんぽこが主体のユニットでピーナッツくんはあくまで補佐で脇役に過ぎないのだから実質妹を利用して自分の曲を世間に拡散している形になり、クリエイターとして非常に情けない。「楽曲製作の人」として一人前に数える事など到底出来ない。

ピーナッツくんのどの曲を聴いてもそれ単体で売れる物に仕上がっていない理由は明確だ。どの曲も自身の日々の悩みや体験談を綴っていて、全くリスナー目線ではないのだ。さえきやひろがピーナッツくんのアルバム曲に「VTuberが初めてモデルを装着して動かしてみた瞬間の衝撃が綴られている事」と「さりげなく自分の名前を入れてくれた事」に感銘を受けている切り抜きを観たが中の人や同業者をターゲットに曲を作っても一般のリスナーには当然ウケない。悪くないテーマだとは思うがせいぜいアルバム曲の中に紛れ込んでいるぐらいが相場だろう。

「刀ピー」関連の曲が空前の大ヒットを記録しているのが「剣持刀也」と「BL」というVの界隈の視聴者に刺さり過ぎる二つのキーワードを盛り込んでいるお陰なのは明白だ。ピーナッツくんが刀ピーのクリスマスソングのヒットをどう捉えているのか知らないがアーティスト活動というのは「世間に刺さる楽曲とはどういう物か」というのを考え続ける事に他ならない。気ままに自分のやりたいように作った曲というのはどんなに売れたアーティストの物でもアルバム曲としてしか扱えない。今ピーナッツくんは売れる曲の一つも書けていない身分でありながら自分が言いたい事だけを曲に盛り込むという大名仕事をやり続けている状態なのだ。

ぽこピーが居を構える滋賀の隣県京都府が岡崎体育というピーナッツくんと同世代の有名アーティストを輩出していて、彼が売れるまでに作り続けていた楽曲と、現在とっているスタンスを見てもピーナッツくんのやっている製作の方向性が完全に間違っている事が分かる。

岡崎体育と言えば彼を一躍有名にした「MUSIC VIDEO」のイメージが強いが、この曲も、この曲以前に彼がなけなしの金をはたいてMVまでセットで製作した楽曲のどれもがリスナーの「あるある」を刺激する事と芸人的なギャグ要素で笑わせようとする事に必死だ。

2015年製作の「FRIENDS」では非リアで友達が居なさ過ぎておかしくなってしまった男をテーマにソロで活動する孤独感も盛り込み、「にじさんじじゃねえか!」と吠えるピーナッツくんよろしく「バンドはメンバーが多い分ギャラが少ないじゃねえかザマーミロ!」と毒吐く。

2014年製作の「家族構成」は全編ふざけ通しているようなテイストだが「(家族同士で)同じ笑い方」とか「洗濯物がどうのこうのって小さな喧嘩」等誰もが分かるあるあるを盛り込んでいて非常に上手い。全力でボケ続ける事と完全にこちらに目線を合わせたあるあるで引き込む作りの、サービス精神に溢れる一曲だ。

2013年製作「鴨川等間隔」は地味め大学生の休日の歌だ。将来に漠然とした不安を抱きながら惰性でゲームに手を伸ばしたり大した用もないのに街に出かけたり、服屋で地味で守ったいつもと同じようなカラーの服を買った帰り道鴨川沿いに等間隔で並んで座っているカップルを見かけて川に蹴り落としてやりたくなったという、京都・滋賀・大阪あたりの人間なら誰でも分かる「あるある」を盛り込んである。

大多数のリスナーの琴線に触れる「あるある」を芸人然としたギャグテイストとポップな曲に乗せ、歌詞も努めて聞き取り易く分かり易い物ばかりを選んでいた岡崎体育だが、2016年に「MUSIC VIDEO」で成功してから「」や「」などといったそれまでと全く違う抽象的で意味が受け取り辛く、手嶌葵を思わせるようなシックで難しい曲を度々作るようになる。

要するに岡崎体育が100%自由に曲を作ると「式」や「龍」のような物が出来るのだが、売れる前からそういった難しい曲ばかり出していても聴いて貰える筈もないので売れるまでは我慢、と割り切って「MUSIC VIDEO」に代表されるような世間の大多数に受け取って貰い易い曲を意識的に作っていた、という事だ。

ピーナッツくん製作の曲は「刀ピー」を除き、最新アルバム「Walk Through the Stars」収録の一曲一曲を見てもリスナー目線に立って分かり易いように、受け取って貰い易いように、ぽこピーなんか知らない人でも楽しめるようにという姿勢で作られた物が一つもなく、日記や備忘録みたいなスタンスで書かれた物ばかりになっている。もちろんぽこピーを知らない人がこのアルバムに感化される事はないしピーナッツくんにアーティストとしての価値を見出す事はない。

VTuberを観るようなサブカル畑の視聴者がどんな感性をしていて何を求めているかを理解しているからこそそういった層に刺さる企画を量産出来ているピーナッツくんが楽曲の製作になると突然独り善がりを貫く理由は一つしかない。彼は自力で自身の楽曲をヒットさせる気が端からないのだ。

「ぽこピーの知名度で集まった観客の前でリサイタル的に歌う事が出来れば満足」というのはクリエイター・アーティストとして最悪の部類に入る活動姿勢だ。目下の身内に先陣を切らせて自分はサポートに回り、その活動で得た知名度を自身の利益に変換する、というのはYouTube界隈で言えばあの悪名高きゆたぼんの父親と同じやり口になる。

そんなイタ過ぎる実態を解消するには「ぽんぽこがいなくなったとしても一切困らない」となる程に自分一人で一人前にこなせる、大きな何かを確立する事が必要だ。それは妹やユニットに頼らずとも売れる曲を自在に作れるアーティストとしての技量だったり現在東京色の強いV界で関西系Vの分野を打ち立て確立する偉業を成し遂げる事だったり、事務所を作って数多くのVに貢献する事だったり事務所の社長という肩書だったり。ぽんぽこを切り離した状態で、単体で出来る事なら何でもいい。

企業化して人を雇いサムネ作成のような他の者でも出来る仕事を肩代わりさせ、そのタイミングでおめシスと絡むとか将来性のない昔馴染みのVとサッカーのゲームで馴れ合うとか生産性のないあれこれをカットして、楽曲製作や企画考案のような本当に才能のある分野を自室に籠って深化させる事でしかピーナッツくんは次の段階へ進めない。妹を使って一発当てた残り汁を卑しくいつまでも啜って安穏と過ごしている場合ではないのだ。



【④.クリエイターにとって欠かせない「不労所得」の獲得】
✔ ナルトやバクマンがど真ん中なピーナッツくんは恐らく今30代前半ぐらいの年齢だと思うが、それにしては老化が早い。若い女性Vの区別がつかなくて名前を間違えてしまう様子は孫の区別がつかなくて名前がごっちゃになる田舎のお祖父ちゃんそっくりだし、体臭の管理が出来なくて鼻毛まで飛び出しているというのは最早若者の特徴ではない。「ぽこピープロデュース」で選出した三人のVに対する雑で乱暴で無神経な絡みは前時代的過ぎてYouTubeぐらいにしか居場所の無くなったオワコンテレビディレクターのようだ。

ピーナッツくんは恐らく40代に突入した辺りからインプットやアップデートがどんどん出来なくなっていくタイプのクリエイターだろう。そういったクリエイターは様々な分野に本当に多数存在していて、例えば日曜朝に放送している仮面ライダーシリーズの製作陣などがそうだ。ガッチマン兎鞠よろしく私も仮面ライダーが好きで平成シリーズをずっと追ってきているが、ここの製作陣はせいぜい2000年代中頃で頭が止まってしまっており「強くなりたい…!」「セカイを守る!」みたいな台詞しか思い浮かばなくなっていて、作中のキャラ造形やストーリー展開、ノリも何もかも足掛け20年同じ事を繰り返している。

そんな前後不覚の情けないおっさんクリエイターでも全盛期に培ったキャリアや組織内での立場の強みで活動自体は続けられるし、作品の質が悪くても競合他者がいない場合需要もそれなりに尽きなかったりはするのだが仮面ライダーに限って言えばストーリーやセリフ、世界観等の脚本部分を評価している視聴者など信者の中にも最早いまい。ガッチマンや兎鞠にしても仮面ライダーというジャンルは好きで追い続けていてもストーリー部分などはまともに見てもいない筈だ。

ピーナッツくんが仮面ライダーの製作スタッフみたいにどうしようもない仕事しか出来ないクリエイターになるとすれば、今から不労所得の源になる物を作っておくのがベストな選択だ。ぽこピーを企業化して社長だか会長だかの地位に就き、会社の運営が上手くいけば毎日動画制作に励まなくても座っているだけで金が入って来るようになる。

先の話をすればそうなるのだが、そもそも物作りに優れたクリエイタータイプの人間というのはYouTubeでの活動のように収益を気にして毎日の製作作業に縛り付けられているべきではない。毎日のノルマ的な作業を後回しにしてでもインプットに努め自然に起こるインスピレーションに合わせて製作を行うのが一番いい形なのだ。ピーナッツくんにとっても有名アーティストの印税生活よろしく会社の長に就いて不労所得を得ながら自室でマイペースに創作活動に励むのが一番いい形だろう。

また埋もれた仲間のV達を集めてグループアイドル的に売り出す案についても度々触れているが自社プロデュースのアイドル達に、中田ヤスタカ的に楽曲を提供する事で製作の腕を上げていくアプローチは面白いかも知れない。自分用ではなく人に提供する曲であればさすがに世間が受け取り易いように意識して作るしかないし、楽曲製作のプロになればぽこピーがオワコン化してしまってもぽんぽこに頼らず自分一人で食っていけるようになる。



企業化しないまま次の段階へ進む事は出来ない

✔ 私がぽこピー関連の記事を書き始めて思うようになったのは、ピーナッツくんは成功しているVTuberユニットのブレーンとしては相当残念な部類の人間だという事だ。ぽんぽこを含めた自分達への評価を実態よりかなり低く設定していて、次の段階へ登る発想を持てていないし付き合うVも「自分達なんかの相手をしてくれる」中から選ぶというイモの引き具合で、「現状維持に走ったYouTuberは死ぬ」という法則をそのまま実践しようとしている自分達にも全く気付いていない。

何より自分の持ち合わせた才能を深化させてフル活用する前から誰かのお陰で得た知名度に頼ってセールスを望むなんてクリエイターとしてつまらないの極みじゃないか。卓越した楽曲製作のスキルに関西由来のハイレベルな笑いのセンスを併せ持っているのだから同タイプでルックスまで似たり寄ったりな岡崎体育やレキシに倣い、それ単体で聴いて貰える曲の製作に励むぐらいの甲斐性は見せて欲しいものだ。

ブレーンとして発想力やスケールの大きさに欠ける事は業界研究や今後の活動方針について十分に思案する時間を作る事、吉本興業における大崎会長のような超優秀な、第二のブレーンとも呼ぶべき裏方スタッフを雇い入れるかで解決が見込め、中途半端な創作活動は起業して自分が出ずっぱりにならなくとも箱が回るような仕組みを整えれば改められる。

どちらにしてもぽこピーを企業化して所帯を構える事が必須で、それなしではピーナッツくんはVTuberとしてもユニットのブレーンとしても、クリエイターとしても次の段階へ進む事は出来ない。自分自身を向上させないままネタだけ打ち続けるYouTuberは数年ネタ切れ・モチベ切れに苦しみながら現状維持した後再生回数が回らなくなって死ぬのがお決まりだ。ピーナッツくん自身3年後、5年後の自分達がどうなっているか何も見えていないまま活動をしているのが実際ではないだろうか。




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