【 ③朝ノ瑠璃:20点 】
【 活動開始:2018年5月2日 】
【 チャンネル登録者数:17.2万人 】
【 直近再生回数(平均):8558回 】
【 概要 】
VTuberユニット「朝ノ姉妹」の長女。瑠璃の活動は2018年5月からだが、チャンネル自体はもう少し前からあり、他のチャンネルと比べても古参の部類に入る。
いくつものキャラを高品質で演じ分ける声優としての技量と、磨かれた歌唱力はVTuber界でもトップクラス。
私は彼女が、歌広場さんみたいな彼とコラボして歌ったあのMVが大好きなのだが、歌唱力がズバ抜けている事に加え、オリジナル版の柴咲コウに寄せて歌い切る様は見事の一言だ。身に付けた演技力や表現力が、他のVTuber達と比べても頭一つ抜きん出ている。
2022年1月に妹設定の茜が脱退した事で、現在は瑠璃が1人でチャンネルを回している。瑠璃・茜共にぽこピーと特別相性のいい性格だとは思えないが、コラボ回数は意外と多い。
【 問題点その①:運営が病気 】
今のVTuber業界の中核を担うのは、2018年初頭にデビューした中堅組である。
それより半年単位、年単位で先行していた者達の多くは勢いを失い、後にデビューした者は埋もれて苦戦を強いられている。
2022年になった今、VTuberは企業に所属しないと基本的に売れない状況である。
同じ中堅所と比べて、「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」の現状は悲惨だ。
登録者数が20万人を切っている事はいいとしても、毎動画・配信の再生回数が少な過ぎる。
同格のチャンネルだと再生回数常時5万回は超えていたい所で、3万を下回ると危険信号、1万前後だと早急なテコ入れが必要な状況だが、このチャンネルでは再生回数5000回を下回る事がざらにある。そして現状何のテコ入れも行われていない。
冒頭のMVにしても作画や編集に極めて力を入れ、他事務所のVTuberまで複数引き込んだ力作にも関わらず、再生回数は10万にも届かない。
毎回寄せられるコメントの数を見ても、VTuberのファン達がこのチャンネルに何の期待も寄せていない事が分かる。
メンバーの出入りが相次いで、今とうとう一人になってしまった事と併せ見ても、現状「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」は立ち枯れたような状況にある。
このチャンネルが今のような状況に陥ってしまった一番の原因は、運営の質の悪さにある。
動画に度々登場する彼らはどう見ても自分の意志で前に出てきており、朝ノ姉妹を押さえてでも自分が喋りたい、自分がボケたいという姿勢はYouTuberの運営としては最悪である。彼らが絶妙にネット民から好かれないキャラクターである事も痛い。
YouTube上には彼らと全く同じ動きをして叩かれている運営が何人もいるのに、勉強不足なのかそもそも朝ノ姉妹をダシに自分達も認知される魂胆だったのか、どちらにしても運営としては質が悪過ぎる。
朝ノ姉妹は他のVTuberと比べてかなり華のある部類なので、他所で彼女達を見かけてチャンネルを訪れた視聴者も多かったと思うが、運営が姉妹に企画を押し付けている空気があったり、自らしゃしゃり出ている様子を見てさぞ興覚めしただろうと思う。「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」はYouTube上のダメなチャンネルのテンプレなのだ。
これでは一線のプロ声優並の演者を用意して、モデルや機材にいくら金をかけても意味がない。
YouTubeチャンネルの運営は、決して自分から前に出てはいけない。
トークスキルやルックスに自信があっても、地元や職場で人気者だったとしても、演者から100%自発的にお願いされて、呼び込まれるまで出てはいけない。
余程必要に迫られない限り、居るか居ないか分からない程影に徹するべきである。
わざわざチャンネルを訪れて動画や配信をクリックする視聴者は、演者に興味を持って来ている。それ以外の人間がリードを奪っている状況を見て喜ぶ筈がない。
大体カメラに映りもしない安全な場所から、都合のいい時だけ茶々を入れて承認欲求を満たそうとする魂胆がクソである。
いくらYouTube視聴者でも、そのくらい嗅ぎ分けて忌避する感性は持っている。
このチャンネルから、演者がやたら逃げて行くのも運営のせいだろうと思う。
「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」からは既に三人の演者が去っていて、その度に運営と演者の確執が明るみに出たり、黙って中の人を変えたり揉めた演者の存在を抹消したり、さらにファンから上がった不満の声に対して演者である瑠璃一人に釈明させたり・・不穏な出来事が後を絶たない。瑠璃に自己紹介の際、必ず事務所の名前を言わせるようにしているのも不気味である。
はっきり言ってしまうと瑠璃に付いている運営と、その後ろにある会社はブラックなのだ。
ブラックな会社のDQNな社員だから不手際やクズムーブが止まらず、演者を守る発想自体無く、しかし企業勢なので資金だけは豊富で、それで揃えたハイレベルな演者とモデル、機材と撮影環境のおかげでなんとかチャンネルとしての体は保てている、そんな状況である。
VTuberの運営として模範的なのは、富士葵についている「キクノジョー」だろう。表でも裏でも実力を発揮し、需要があっても極力前に出ず、富士を立てる事に全神経を集中する様子は運営の鏡である。
しかし富士のチャンネルは運営の仕事が至れり尽くせりで、富士自ら努力する姿を見せきれていない事で伸び悩んでいる。
つまりキクノジョーの手厚い仕事と富士を大事に思う気持ちが、かえって富士の首を絞めている状態で、VTuber活動における運営と演者の関係というのは難しい物だと思わされる。
ぽこピーのように運営と演者を兼ねているVTuberはこの辺の問題を最初からクリア出来る訳だが、代わりに両方の仕事を同時にこなすモチベーションと技量が必要となり、やはり簡単にはいかない。
【 問題点その➁:瑠璃がリア充 】
VTuberが成功する為に必要な素養に順位を付けるとするなら「①声や性格・趣味嗜好、トークスキルや笑いのセンスを含めた演者自身、➁チャンネルの方向性・企画の質、③高い編集スキルや美麗なモデル・質のいい機材」となる。
①と➁が揃っていれば③については素人の作った2Dモデルでも、何なら動かない一枚絵でも視聴者は付いて来るし、①が無くて➁がブレていて、③だけ揃っていても人気は出ない。面白くないし回数も回っていないのにガワだけがいい、哀しい動画がチャンネルに並ぶ事になる。
ちなみに①より重要な⓪というのもあって、それは「⓪このご時世、そもそも企業に入っていなければ①~③が揃っていても誰も観ない」である。
「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」の場合③は申し分ない。
➁については主に運営の質が悪い為ダメである。
①の瑠璃自身どうか、という点は難しい所だ。
ネット民の多くは、リアルではパッとしない日陰者である。
その傾向が特に強いVTuberの視聴者には演者の、「ガチのオタクである」「プライベートでは陰キャのコミュ障である」「家族と仲が良い」のような素朴かつ非リアな設定が強く刺さる。
配信等で瑠璃が見せる素のキャラは、少々チャラめのリア充である。離職率が高く平均年齢の低い、例えば全国でチェーン展開している大手居酒屋の若手社員のような語り口は、現実社会でそういう人達に圧迫されて来たネット民達から共感を得られず、主に自分を大きく見せる為に、表面だけ格好よく整えられたトークスタイルは薄っぺらで奥行きがなく、笑い所も何もない。
まだ口にしている所を見た事はないが、きっと彼女は家族、仲間、夢、愛みたいな言葉が大好きだろう。
そういうスタイルが悪いとは言わない。
VTuberのファンの中にも、少数だとしてもそういう類の人達はいて、そういったニッチな層を狙うのは戦術としてありだからだ。
KMNZやMZMはそういった層に働きかけて成功した例だと思うが、彼らもトークは全く上手くない。そして動画や配信毎の再生回数に相当なムラがあって、不安定な状況だ。
彼らはにじさんじの一線所のライバーのように配信で一人語りをしても視聴者の反応が良くない事を身をもって知っていて、代わりに歌メインの配信や動画の企画に拘る事で結果を出している。私は彼らのチャンネルのコンテンツなんか一回も観た事がないが、それでも自分の強みを分析して、そこを押す事で結果に繋げようとする姿勢は素晴らしい。
瑠璃、もしくはチャンネルの運営は、瑠璃のトーク企画への視聴者の反応が極めて悪い事を分かっていながらチャンネルの方向性を改めようとしない。
演者の長所を生かせて、尚且つモチベーションも保てる企画の中で、ウケのよかった物を擦っていく、というYouTubeでの活動の基本を、瑠璃はVTuberの先行組でありながら全く分かっていないように見える。
彼女は出役として技術を磨く努力は人一倍しているが、状況を客観視するとか先々を見据えて長期的な戦略を練る、といった事は全く出来ない。
だからこそ運営が上手く舵取りしてやるべきなのだが、彼らは瑠璃を利用する事しか考えておらず、救いがない。
彼女は付いていく相手と身を置く場所を間違えたまま、出役にとってかけがえのない若い期間の全てを、今終えようとしている。
【 AAA 】
挑戦して芽が出なかった時は即撤退、即仕切り直しが鉄則である。
一発目の挑戦で当たりを引けなかった者はこれこそ、という手応えを感じるまで、この手順を繰り返すしかない。
当たりを引くまで何年もかかるかも知れないし、一生かかっても無理かも知れない。それでもハズレと分かっている場所に、いつまでも居座っていても仕方がないのだ。
仲間だった三人はすでに出発している。瑠璃がどうするかは彼女次第だ。
いっその事事務所を蹴ってコーサカにでも泣きついて、ついでにKMNZも巻き込んでAAAみたいなフリーのグループでも作ればいいのだ。
私には誰が誰だか分からないし、おすすめに出てきたら即表示されないようにするが、長所が生きて短所は隠れ、よりウケ易い若者にアプローチ出来るし、何より好きな仲間達とわいわいやれて精神衛生的にもいいのではないだろうか。
適当に喋っている割には結構いい案だと我ながら思う。
問題はMZMやKMNZに、瑠璃と仕事をして得られるメリットが特にない、という所だろうか。
私は朝ノ瑠璃に何の思い入れもないし、話を聞いていて一回も面白いと思った事がないが、それでもはっきりとした志を持って明確に努力した若者が、ゴミみたいな大人に将来を奪われるのは、さすがに見ていて胸糞なのだ。
「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」運営のリーダーはチャンネルの惨状を尻目に、今Twitterで自分のアバターがデザインされたグッズの購入を、あろう事か自分が担当するVTuberのファン達に呼び掛けている。多分人気テレビ番組の名物ディレクターみたいな位置を狙っているのだろう。
思うにこいつは、良識とか羞恥心の類を親の腹に忘れて来たタイプの、本物のクズである。
今思えばピーナッツくんが何となく口にしていた、「再生回数3、4万回で細々やろう」「茜ちゃんは自給700円のバイトみたいにやる気のない顔してた」「人がキレる、ブラックな環境に慣れてるの?」という言葉は、全て朝ノ姉妹にぶっ刺さっていたのだ。
彼は今30過ぎぐらいだと思うが、年齢に見合わない、おっさん臭い無神経さが止まらない。細かい事故を割とたくさん起こしているので、追っていると結構楽しめるだろう。
→【 ④剣持刀也 】に続く