【 不定期VTuberレビュー vol.2 】c.ミミック:12点

VTuber



【 YouTube : ミミックチャンネル
【 活動開始:2018年7月7日 】
【 チャンネル登録者数:2.43万人 】
【 直近再生回数(平均):1.96万回 】



【 概要 】
 ミミックはぽこピーより半年程遅れて活動を開始したVTuber。優しい声質と柔らかな物腰、華奢で中性的な3Dモデルが特徴。モチーフは悪魔。ジャンルは絞っていないがグルメ系の動画が人気。

ぽこピーが最もコラボを重ねているVTuberの一人で、三人でホラーゲームに挑戦する動画が彼のチャンネルでは一番再生回数を稼ぐ。個人勢だが技術面で長けていて、機材も十二分に揃えている。度々フルトラで撮影に挑んでいる事から身近、恐らく自宅にフルトラでの撮影環境がある。

2018年の夏に活動を開始しているので古株の部類だが、登録者数2万人強は個人勢とは言えかなり寂しい数字だ。同時期に活動を開始した者で彼と同じぐらいの登録者数しかいないVというのはちょっと思い付かない。皆もう辞めているのではないだろうか。

失敗しているVTuberの生態を観察するのが大好きな私は意気揚々と彼のチャンネルへ出向いたのだが、毎動画の再生回数を見ると意外に回っていて、特にテーマをグルメに絞りだしてから再生回数は毎回1万を超えている。毎回1万越えというのは活動開始が同じ2018年で登録者数は10倍近くある「朝ノ姉妹ぷろじぇくと」に勝り富士葵の生配信に迫る程で、これは結構な数の固定ファンがいなければ達成出来ない数字だ。




しかし最低限観て貰えてはいるもののやはり彼は古株VTuberの中では底辺の部類に入るだろう。同時期に活動を開始し業界を牽引するような存在になったV達と彼を分けた要因は一体何だったのか。同じ個人勢VTuberでその代表格とも言える①おめがシスターズ、➁ぽこピーと比較する形で考察してみたい。


【①おめがシスターズとミミック】
 活動開始当初から優れた技術力で注目されたVと言えばやはりおめシスだが、フルトラを自由に使える環境というのはさすがのおめシスも持てていない。見ている側には分からない事だが上半身だけ動かせる装置と全身を動かせる装置ではかかる費用に相当な差があるらしく、彼女らがフルトラで撮影出来るスタジオを利用した際に動画内では「(フルトラ装置にかかった費用は)数千万円」と言われていた。もしミミックが金持ちのボンボンで、親に用意して貰った超高級フルトラ装置を使用してこの状況なのだとしたら笑いが止まらない。今夜の酒は美味くなりそうだ。

おめシスの場合初期の活動でフル活用していたのは装置と言うより技術だったが、他のVより初期からいい手札を持っている両者がそれを用いて生み出した企画にセンスと発想力の差が出ている。可愛い女子のモデルの首をもいだり体の一部を変形させて新し過ぎるシュールさを演出したおめシスに対してミミックはフルトラ環境内でローションを撒いて滑ったりバランスボールに挑戦したり、「全身を動かして見せる」以上の事をしていない。他のVより優れた技術や機材を持っていてもそれを活用して独自の企画が組めないのなら意味はないのだ。ついでに言えば業界に先行出来ても活動にかける資金が豊富でも同じように意味がない。人気商売で成功する為に必要と言われている物を多く揃えられていてもその人自身がダメなら結局成功しない、という事が彼を見ていればよく分かる。正直ローションを使うのはそこそこ面白いしいい画が撮れていると思うが綺麗過ぎるモデルと振り切れていないテンションで今ひとつ笑えないというのが実際の所だろう。

激辛系のような体を動かさなくても出来る企画をフルトラでやっているのを見ると笑ってしまう。彼のやっているフルトラはトラッカーを体中に装着すれば出来る簡易的な物らしく、その程度で出来てしまうのに他のV達が真似していない様子を見るとフルトラというのは採用の優先順位がさして高い技術ではないのだろう。VRChatでのホラーゲームやグルメ系の企画に絞り始めてから彼自身フルトラを使わなくなっているのがいい証拠だ。

「常時フルトラ」を売りとする微妙なセンスや独自の企画を生み出せない発想力の無さが活動開始当初から同じく他より優れた武器を持っていたおめがシスターズとの差を生み出している。資金や技術力でガワだけ固めても中身がダメなら成功出来ない、というのはある意味希望の持てる、気持ちのいい話ではないか。


【➁ぽこピーとミミック】
 ぽこピーはミミックを直の後輩として可愛がっていてホラー企画の度に呼び出し仲良く動画を撮影している、と言えば聞こえはいいが実際はミミックを可愛がっているぽこピーが彼に再生回数と登録者数を恵んでやっている、というのが正しいだろう。ミミックのチャンネルで一番観られているのはぽこピーとのコラボ動画で、単独で撮っている他の動画の倍程も再生回数を稼ぐ。

一体何が良くてぽこピーがミミックをこんなにも贔屓にしているのか私には分からないが、ぽんぽことピーナッツくん両方と平等に仲が良いVというのは結構珍しい。富士キクを除けば彼ぐらいではないだろうか。以前ミミックのチャンネルに上げるホラーゲームの収録に三人で臨んでいた際にぽんぽこがあまりの怖さにキレてしまい、ピーナッツくんが「他人(ひと)のチャンネルでキレんな!」とつっこんでいたが多分ぽんぽこは「他人の」チャンネルに来ている気がしていないのだ。ピーナッツくんと近い雰囲気で少々頼りなく、従順に言う事を聞いてくれるミミックが内心ずっと欲しかったであろう弟のように見えているのではないだろうか。

ミミックとぽこピーのコラボ動画で両者を比べてまず目につくのはお互いのモデルのテイストの差だ。垢抜けない田舎娘と赤ちゃん妖怪のようなぽこピーに対してミミックのモデルは美麗さを追求した華奢な美少年で、お互いがイメージしているVTuber像の違いが読み取れる。少々ハズしが過ぎてイモい雰囲気のぽこピーのモデルからはモデルを一新出来る程に売れても決して浮つかない腰の低さと親しみ易さが窺え、彼らが視聴者に持たれたい印象や向けられたい感情、目指すVTuber像もその通りなのだろう。

対してミミックは視聴者に可愛いと思われたいようだ。幼く美麗過ぎる顔立ちや折れそうな程細い手脚は女性が声を当ててもいい程に中性的で、中の人の声質やキャラクターには過ぎた物だ。彼のモデルは誰が見ても彼自身のスペックをオーバーしている。私はモデルの全体的な雰囲気から初見時とっさに兎鞠まりが思い浮かんだが、彼女の中の人はボイスチェンジャーを用いて声を極端に可愛く変換している。中の人が冷静で客観的な視点を持てる人なら自分のスペックをオーバーしているモデルを手心も加えずそのまま着るなんて恥ずかしくて出来ないだろう。

自分のスペックを極端にオーバーした見た目のキャラを装着してしまう、というのは素人の男性VRChatプレイヤーがよくやってしまうやつだ。コナンぐらいの身長で目がキラキラの可愛いアバターが成人男性の声で話す様子はやはり一抹の痛々しさを放ってしまう。個人でやる分には自由だが出役が同じスタイルをとれば視聴者は引いてしまうだろう。ミミックは一目で分かる事故臭を常に放っているのだ。事故の種類が素人のやるような物で中の人が客観性と冷静さ、センスを欠いている事が一目で分かるのでコラボ先で初見の視聴者に期待を持たれる事はまずないだろう。

テロップをやたらに多く入れたりちょっとしたゲームのルール説明に手間や時間をかけ過ぎる様子を見ていると彼に対する期待と信頼はどんどん薄まっていく。センスがあって面白いVならそんなつまらない所に力を入れる事など絶対にないからだ。

中の人に対してどんなモデルを当てがうか、というのはVTuberにとって一番と言ってもいい程に大事なポイントだ。この辺りの舵取りに関してホロライブやにじさんじ等の大手は天才的に上手く、V達をデザインしたり中の人の面接・採用を担当しているスタッフは相当な人間だろうと思う。月ノ美兎剣持刀也樋口楓等トップクラスのライバー達でもモデルは地味に、装飾も最低限に抑えてデザインされている。美麗なモデルを被せるのは本職の声優並の声を生まれ持った者だけに限っており、これは視聴者がモデルと中の人の落差を目の当たりにして失望する事のないようにとの配慮だろう。にじさんじで中の人のスペックがモデルを下回っている例など卯月コウぐらいのもので、やはり苦戦を強いられているではないか。中の人が実在しているのかどうかすら怪しい程に妖精ながうる・ぐらなどもっと美麗なモデルでも勝負出来るのにあえて正統派を外してデザインされている。そしてそのミスマッチが絶妙な愛嬌を生み視聴者を惹き付けるのだ。

毎動画のサムネに関しても同じ事が言える。ぽこピーの動画のサムネはピーナッツくんが担当しているが、ぽんぽこを中央に大きく描き自分は脇に寄せ目立たなくし、明るい表情を取らせる事はあっても決して可愛くはならないよう徹底している。あくまでチャンネル主で花形のぽんぽこが主役で自分はサポートに過ぎないという事を客観的に捉えているから出来る事で、一見狂った個性を持っているように見えても大事な所では冷静に自制出来るから彼は強いのだ。サムネと実際の二人のキャラクター、動画の内容や雰囲気に全く乖離がないのもいい。どんな二人がどんな関係性で、どんな雰囲気の動画を上げているのかをたった一枚の絵で的確に表現する事をピーナッツくんは毎回当たり前のようにやっているのだが、ミミックの動画のサムネが彼自身を的確に表現していた事などない。これもモデルと同じく「可愛い自分でありたい」という欲だけが先行している事の表れで、非常に痛々しい。実際より盛られた詐欺のようなサムネを作るVに好感や信頼感、期待感を抱く視聴者などいないし、実際のミミックを知った上でサムネを見ると「こいつやってんなぁ」と思わざるを得ない。一番最初の、腹を出したモデルを着ていた時のサムネなど本当に酷い。詩子お姉さん的な視聴者を求めていたのか彼自身がああいった男児への変身願望があるのか、どちらにせよ欲が前に出過ぎているし生々し過ぎて正視に耐えない。

実際の声やキャラクターに対して可愛すぎるミミックのサムネ。

実際の二人を的確に表すぽこピーのサムネ。


自分自身の才能やスペックを客観的に捉えて視聴者に最もいい形で受け取って貰えるようモデルのデザインや企画の方向性を決めていく事を「ブランディング」と呼ぶが、ミミックはこのブランディングが絶望的に下手だ。自分のやっている事が他人から見ると寒くてダサくて痛々しいという事を直感的に察知する能力が極めて低く、それは同業でミミックより成功しているVTuberどころか素人の一般人男性にも劣るレベルだ。加えて自分達を冷静に見極め決して高望みをしないぽこピーと何度も一緒に仕事をして間近に見ていても彼には改善の兆しが一向に見られない。つまりミミックは業界を研究するだとか身近な成功例からいい所を盗むというような向上心を伴った試行錯誤を行えないタイプだという事だ。業界研究からブランディング、あらゆる面のスキルアップを全て一人で担わなければならない単体の個人勢VTuberという職自体が彼には重荷過ぎる。


【ミミックの今後】
 本人も感覚的に分かっている事だと思うが、再生回数の回るグルメ系の動画やぽこピーとのコラボを擦って活動しても単体のVTuberとしては先が見えているだろう。「ぽこピーに再生回数や登録者数を恵んで貰っている」という現状を鑑みればぽんぽこちゃんねるのスタッフ兼準レギュラーという形で彼らに雇われるのがミミックにとって一番いい身の振り方なのではないだろうか。活動方針を決めたり自己プロデュースをする力がないのならそれが上手くて成功している同業者の傘下に入れば済む話だ。編集やサムネ作成の能力は高いので現状ぽこピーがこなしている、二人でなくとも出来るような裏方作業の大部分を引き受ける事が出来るだろう。ぽこピーとコラボしてもこれといった爪痕を残さないミミックだが、それでも二人が彼を度々呼び出すのは肌馴染みが良くて絡み易く、人として信頼出来て一緒にいると安心するからだろう。鈍いミミックはそこにもピンと来ていなさそうだがぽこピーの両方に同時にそう思って貰える人間はなかなかおらず、一心同体になって彼らを表と裏の両方からサポートする事に関して彼以上の適役はいないだろう。良くも悪くも癖が無く、撮影に参加しても何も足さず何も引かず只カサだけ増やす、例えるなら生理食塩水のような彼がぽんぽこちゃんねるに半分スタッフのような形で参加しても拒否感を示すファンなどいない筈だ。

ミミックのこの一年ぐらいの動画はぽんぽこちゃんねるの動画と似た企画の物が多く、どれを見ても「ここにぽこピーがいればどれだけ面白いか」と思わない事はない。ミミック単体で面白いシーンが全くないとは言わないが苦手な食材をかき氷にするにしてもアイスを限界まで食べるにしてもぽこピーと一緒にやった方が何倍も面白くなるだろう。彼はVTuberとして培ったノウハウや自作の企画を自分と共にぽんぽこちゃんねるに持ち込むべきなのだ。

個人の動画勢Vは皆「一人では厳しい」と口にする。中の人のセンスやスペックが他より劣っているミミックならそれは猶の事身に染みているだろう。居るか居ないか分からないようなVTuberとして残りの活動期間を消化するぐらいなら自分を痛く気に入ってくれている兄さん姉さんに身を預け、持っている能力をフル活用する方がずっと夢があって面白く、生産的なVTuber人生を送れるのではないだろうか。


→【 d.ぽこピーへ続く 】

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