→映画批評.35 に続く
※※※※※※※※※※※ ネタバレを含みます ※※※※※※※※※※※
✔ 良キャラではあったものの今まで日の目を見なかったMCUキャラ(主にゴースト)を魅力的に描写。
✔ 殴る・蹴るのアナログなアクションシーンの出来がそれなりに良い。──────イチオシなのはバッキー。
✔ 全体的にテンポ感が良くギャグ・台詞もそれなりに冴え、割と楽しく観られる。登場キャラに好きなメンバーが何人かいれば観て損はないレベル。
✔ メインヴィラン兼新アベンジャーズメンバーの〝セントリー〟の存在がマジで要らない。──────能力はつまらない「スーパーマンタイプ」、キャラはありがちな「リボーン(のツナ)タイプ」、アクションシーンはトロくてノロくて発想力が無くて退屈。彼を軸に展開する終盤の暗くてダルくて長ったらしい一連のシーンがこの映画を駄作の域に留めた最たる理由。
✔ 主人公エレーナのビジュアルが早くも劣化。序盤の一人語りのシーンなどむくんでるわ髪色は汚いわ服はボロいわで警察のボディカメラに映っているゴロつき白人女性のよう。──────コンディションが悪かっただけと信じたい。
✔ タスクマスターたん…………😢
✔ 「MCUのスーサイド・スクワッド」的立ち位置の作品。「スーサイド・スクワッド」よりは〝悪人度〟で言えばかなりマシなメンバーで構成されている。
メインキャラクター達の小粒さから事故作を想像した人も多いのではないかと思うが意外とそうでもなく、例えば「バッキーが好き」という人はグラサンにハーレー(ではない何か別の大型バイク)に跨りショットガンを振るう、T-800みたいになった彼の豪快アクションが拝めるし、地味にゴースト推しだったという人は前回登場時(=「アントマン&ワスプ(2018)」)より垢抜けたサイバーパンク衣装に身を包みスタイリッシュに出たり消えたりするその姿に萌えることが出来るし、エレーナ&レッド・ガーディアンが好きな人は二人の不器用な親子絡みをまた楽しむことが出来る。
それぞれのキャラクターにMCUファンが寄せるイメージを十分理解したままその良さをさらに引き延ばす形で全員分作品に投下出来ている時点でこの監督は仕事が十分出来ているし、ファンからの需要もその時点で十分満たせている。マイナーな監督だが下がったハードルの上を悠々と飛び越すぐらいの仕事はちゃんとやって除けている。
本作最大の見せ場の一つとして〝地下施設での乱戦〟があるが、それに参戦している4人の戦法・所作を観ても監督のキャラそれぞれへの理解度の高さが及び知れる。特に〝キャップのパチもん〟ことU.S.エージェントがキャップが絶対にやらない「盾片手にハンドガンを連射」という戦法をやっている様は物凄く〝キャップのパチもん〟度が高く、それでいて撃ち終わりにマガジンを(片手が盾で塞がっているが故に)外側に飛ばす所作なんかは割と格好良く、キャラ立てと映えが両立出来ている。タスクマスターも盾で銃弾を一個ずつブロックする不気味な程に精密な動きが「ブラック・ウィドウ(2021)」でのそれをしっかりと引き継いでいて、ファンとしては嬉しい。
タスクマスターはその地下施設でのシーンであっさり殺害されて退場になるのだが、彼女は強化兵(U.S.エージェントやレッド・ガーディアン、バッキー、キャップ等)に相当するキャラ付けだった筈なので、「実は生きている」線に個人的には賭けたい。今後戻って来ても一旦こういう扱いを受けてしまうとメイン処で活躍するのは無理だろうし、U.S.エージェントやゴーストとキャラが被っているので扱いに困るところだろうが、それでも。
僕は好きなんです、ゴーストとかタスクマスターとか、ああいった影のある美人キャラが。


